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第一章 孤独な者たち

7、あの、召喚魔法って何ですか?

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 王都ブルーリアは王城を中心に、四区画に分かれている。東西南北に分かれていて、それぞれの区画にギルドは設置されていた。
 一番近かったのは、南区画にあるギルドだ。大通りに面した三階建ての建物の一階にギルドの受付が設置されている。

 恐る恐る扉をあけると正面に受付があって、若い女性が他の冒険者の対応をしていた。
 冒険者のうしろに並んで、大人しく順番を待つ。


「お待たせしました、次の方どうぞ!」

「あの、初めて来たのですが、冒険者か護衛の仕事をしたくて……」

「初めての方ですね、かしこまりました! まずは登録が必要になりますので、こちらにご記入ください。記入が終わりましたら、実力検査があります」

「わかりました」

 もらった用紙には名前、性別、活動地域、魔法適性とあった。苗字は使いたくないので、名前だけ記入する。活動地域は国内ならどこでも良かった。魔法適性は召喚魔法と書いておく。
 ……わかってもらえるといいんだけど。

「ご記入ありがとうございます。えーとレオさんですね。……あの、召喚魔法って何ですか? 申し訳ないですが、初めて聞いた言葉でして……」

「いえ、珍しい魔法なので仕方ないです。ええと、簡単に言うと精霊を呼び出す魔法です」

「へ? 精霊?」

「見てもらった方がわかりやすいです」

 そう言って俺は、今度はランクを下げて召喚魔法を披露した。

【スピリット召喚、火の精霊】

 出てきたのはワインボトルくらいの大きさの、赤い光を放つ精霊だ。可愛らしい少女の姿で、俺の周りを飛び回っている。

「ヒッ!! ギ、ギルド長————!!」

 受付の女性は慌てふためいて、逃げていった。代わりに白髪混じりのガタイのいい男性がやってきた。

「おかしなモン出したのは、お前か!?」

「おかしな物ではなくて、火の精霊です」

「っっ!! お前! 何だ、それは!? そんな魔力の塊は見たことねえぞ!!」

 おお、さすがギルド長と呼ばれる人だ。精霊の魔力がわかるんだ。この人ならわかってくれるかも知れない。

「そんなモンはいらねえから、魔法を見せろ!!」

「魔法は……これ以外使えません」

「なに? 他の魔法が使えないって、どういうことだ?」

「俺が使えるのは、この召喚魔法だけです」

「お前……まさか呪われた存在 カース・レイドか!?」

 やっぱりダメか。そこに会話が進まないように、頑張ってみたんだけどな。

「……そう呼ばれてました」

「ふざけんな!! そんな奴が冒険者の登録できるわけないだろ! しかもおかしなモン呼び出しやがって!! 俺たちまで呪われたらどうすんだ!? 今すぐ出て行け!!」

 本日二度目の出て行けを喰らってしまった。
 困ったことに冒険者や護衛の仕事をするのは、どうやら無理みたいだ。俺は素直にギルドからでて行った。

 こうなると、どんな仕事をしたらいいのか悩んでしまう。大抵のことは召喚魔法で何とかなると思うけど、まずは理解を得なければ難しいみたいだ。
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