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46話 本領発揮①
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ルシアンは駆けつけた医師の診察を受けて、すぐに適切な治療が開始された。
医師の見立てでは毒物を摂取したとのことで、国王の指揮のもと王太子暗殺未遂事件として調査が進められる。
アマリリスはずっとルシアンのそばに寄り添い、早く目が覚めるように祈った。ルシアンは医師の診察と治療を受けているが、いまだ目覚める気配がない。
それから三日後、アマリリスは国王から話があると内密に呼び出しを受け、執務室へやってきた。そこでアマリリスは疑問に思っていたことを国王に問いかける。
「陛下。あの毒はルシアン様を狙ったものではなく、犯人の狙いは私です」
「ふむ、それはこちらも掴んでおる。証言から最初に毒入りのシャンパンを受け取ったのは、其方であると」
「では、なぜ王太子暗殺未遂にまで事件を大きくしたのですか?」
国王は眉間の皺を深めて、アマリリスへ鋭い視線を向けた。ここからが国王の本題なのだと、アマリリスも身構える。
「この国の貴族は四大公爵家が大きく取りまとめているのは当然知っているな?」
「はい、北のミクリーク公爵家、西のアンデルス公爵家、南のカーヴェル公爵家、東のバックマン公爵家です」
「うむ。それぞれ公爵家は王家に忠誠を誓い、王家もまた特別な権限を与え、この国を発展させてきた。しかし、それだけでは満足できない者が出てきたのだ」
「………カーヴェル公爵家ですね」
北のミクリーク公爵家は国中の鉱山、西のアンデルス公爵家は世界規模の商会、南のカーヴェル公爵家は農産物、東のバックマン公爵家は国中の流通の全権限がそれぞれ与えられている。
どれかひとつが欠けても民はもちろん自分たちの生活がままならなくなるので、四大公爵家は互いに協力関係にあった。
しかし、この五年間は稀に見る天候不順で農産物の収穫が思うようにいかず、カーヴェル公爵家の運営がかなり厳しいと聞いている。悪天候にも強い品種の改良も進めているが、予算が取れないことでうまくいっていない。
「そうだ。王家にも援助の打診をもらったが、カーヴェル家の現状を調べたところ私財は国家予算の三年分相当あり断ったのだ。ギリギリまで粘れとは言わんが、こちらとて民のための予算を金のある奴らに割くわけにはいかん」
「当然の判断ですわね」
「だが、カーヴェル家はそれを理解せずに、野心を抱いた」
「まさか、謀反を……?」
「なかなか尻尾を掴めなかったが、今回の事件はカーヴェル公爵の手駒が起こした事件だ。そこでアマリリスに頼みがある」
アマリリスはゴクリと唾を飲み込んだ。
「其方の能力を使って、ルシアンを毒殺しようとした犯人を捕まえてほしい」
つまり、王太子ルシアンを餌にして、大物を釣り上げろということだ。国王はそれを眉ひとつ動かさずアマリリスに命じた。
(なるほど、ルシアン様の父親だけあるわ。この事態に取り乱すどころか反乱分子を炙り出そうとするなんて………)
ルシアンの気質は、おそらく王家で脈々と受け継がれてきたものだろう。だからこそ、カレンベルク王国は発展を遂げてきたのかもしれない。
「承知いたしました。私も大切な婚約者に手を出されて黙っている気はありませんでした。必ずや、犯人を突き止めてみせましょう」
アマリリスは艶然と笑みを浮かべた。
医師の見立てでは毒物を摂取したとのことで、国王の指揮のもと王太子暗殺未遂事件として調査が進められる。
アマリリスはずっとルシアンのそばに寄り添い、早く目が覚めるように祈った。ルシアンは医師の診察と治療を受けているが、いまだ目覚める気配がない。
それから三日後、アマリリスは国王から話があると内密に呼び出しを受け、執務室へやってきた。そこでアマリリスは疑問に思っていたことを国王に問いかける。
「陛下。あの毒はルシアン様を狙ったものではなく、犯人の狙いは私です」
「ふむ、それはこちらも掴んでおる。証言から最初に毒入りのシャンパンを受け取ったのは、其方であると」
「では、なぜ王太子暗殺未遂にまで事件を大きくしたのですか?」
国王は眉間の皺を深めて、アマリリスへ鋭い視線を向けた。ここからが国王の本題なのだと、アマリリスも身構える。
「この国の貴族は四大公爵家が大きく取りまとめているのは当然知っているな?」
「はい、北のミクリーク公爵家、西のアンデルス公爵家、南のカーヴェル公爵家、東のバックマン公爵家です」
「うむ。それぞれ公爵家は王家に忠誠を誓い、王家もまた特別な権限を与え、この国を発展させてきた。しかし、それだけでは満足できない者が出てきたのだ」
「………カーヴェル公爵家ですね」
北のミクリーク公爵家は国中の鉱山、西のアンデルス公爵家は世界規模の商会、南のカーヴェル公爵家は農産物、東のバックマン公爵家は国中の流通の全権限がそれぞれ与えられている。
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しかし、この五年間は稀に見る天候不順で農産物の収穫が思うようにいかず、カーヴェル公爵家の運営がかなり厳しいと聞いている。悪天候にも強い品種の改良も進めているが、予算が取れないことでうまくいっていない。
「そうだ。王家にも援助の打診をもらったが、カーヴェル家の現状を調べたところ私財は国家予算の三年分相当あり断ったのだ。ギリギリまで粘れとは言わんが、こちらとて民のための予算を金のある奴らに割くわけにはいかん」
「当然の判断ですわね」
「だが、カーヴェル家はそれを理解せずに、野心を抱いた」
「まさか、謀反を……?」
「なかなか尻尾を掴めなかったが、今回の事件はカーヴェル公爵の手駒が起こした事件だ。そこでアマリリスに頼みがある」
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つまり、王太子ルシアンを餌にして、大物を釣り上げろということだ。国王はそれを眉ひとつ動かさずアマリリスに命じた。
(なるほど、ルシアン様の父親だけあるわ。この事態に取り乱すどころか反乱分子を炙り出そうとするなんて………)
ルシアンの気質は、おそらく王家で脈々と受け継がれてきたものだろう。だからこそ、カレンベルク王国は発展を遂げてきたのかもしれない。
「承知いたしました。私も大切な婚約者に手を出されて黙っている気はありませんでした。必ずや、犯人を突き止めてみせましょう」
アマリリスは艶然と笑みを浮かべた。
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