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61話 プロキオンからの旅立ちです

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 ミリオンとの決闘が終わったオレは、宿屋に戻って早速リュカオンとリナにスカウトの相談をした。

「私は大丈夫だよ! カイトとパーティー組んでれば楽しいし!」

『強い魔獣が倒せるなら、その方がヤツらの駆逐が早くなるぞ』

 と、ふたりとも拍子抜けするくらいあっさりと賛成してくれた。なんか……悩んだのはオレだけみたいだ。
 それなら思い切って国王軍に入ってみようかと決意する。なにせ最終目標は最強ハンターになるのと、魔獣の駆逐だからな。

 翌日には王都アトリアの騎士団を通して、国王に入隊すると告げた。一度プロキオンに戻って、いろいろと整理してからまた戻ってくることになった。



     ***



「カイトが国王軍に行くとか、実感わかねぇな」

 オレがずっと住んでいたプロキオンの家は、ムルジムさんが管理がてら住んでくれることになった。母さんとの思い出がつまった家だから、処分したくなかったんだ。
 今日は家の明け渡しの日だ。

「まぁ、近いですから月に一度は戻ってきますよ。母さんの墓参りもしたいし」

「そうか……その時はここに泊まるんだろう? 美味い飯食わせてやるからな!」

「あはは、楽しみにしてますね! じゃぁ、この家をよろしくお願いします」

「ああ、任せとけ!」




 プロキオンを出発する前に、8年間通ったギルドにも顔を出した。

「あ! カイトさん! もう出発ですか?」

 マリーさんが寂しそうに声をかけてくれる。

「そうなんです。街を出る前にご挨拶したくて……ギルド長に会えますか?」

「もちろんですよ! 部屋に案内しますね」



 ギルド長の部屋に案内されると、そこにはエリアさんやディーノさん、セシルさんも集まってくれていた。

「えっ、みなさん集まってくれたんですか? ……ありがとうございます」

「当たり前だろ! ウチの優秀なハンターの門出だからな」

 やっぱりエリアさんの爽やかな笑顔はキラキラしている。この人のおかげで、被害者が出ることなくレッドドラゴンを倒せたんだ。感謝しかない。

「カイト、たまにはプロキオンに戻ってきてください。その時はぜひ声をかけてくださいね」

 ディーノさんはオレがここで働きやすいように、いろいろ手を回してくれたのは知ってる。本当にありがたかった。

「カイト……リナ、私のこと忘れないでよぉぉぉ!」

「うぅ……お姉さまーー!!」

 セシルさん……最後までモフモフって言われてたけど、可愛がってくれたんだよな。意外と涙もろい人なんだな。


「ギルド長……本当にお世話になりました。雷神も大切に使います。ありがとうございました」

「いや、僕はただ恩を返しただけだよ」

「? そんなのないと思いますけど?」

「そんなことより、これからも君たちの活躍を期待しているよ」


「「はい!」」

 こうして、24年過ごしたプロキオンの街をそっと旅立った。


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