49 / 104
49話 ミリオンパーティーの行く末は 13
しおりを挟む
俺たちが近衛騎士団のテントで待っていると、カイトが両手を後ろで縛られて連れてこられていた。
やっと、俺が認められるんだ! やっとあの街から抜け出せるんだ!! カイト! お前が追い詰められるのを、俺が見届けてやる!!
「ファルコ団長! 先ほど報告にあがった者を連れて参りました!!」
一際大きくて立派なテントにむかって、近衛騎士が胸を張って報告している。
これから起こるであろう、カイトの断罪の場面を想像してミリオンは久しぶりに上機嫌だった。
ティーンやトレット、サウザンもカイトの様子に興味津々でテントの隙間から覗き見ている。
「そうか! よく連れて参った……おい」
なぜか近衛騎士団長から、腹に響くような低い声が聞こえてくる。
「はっ! 如何なさいましたか?」
「なぜこの国の国王の命を救った英雄が、後ろ手に縛られているのだ!!!!」
ファルコ団長は、カイトの扱いに対して大激怒していた。ミリオンたちは、なぜ団長が怒り狂っているのか理解できない。
は……? なんで騎士団長は怒っているんだ? だってあんな危険なヤツは、縛っておかないと安心できないじゃないか!?
「今すぐ縄を取らんか!!!!」
「はっ!? はいっ!」
カイトを連れてきた騎士は慌てて、縄をほどいていた。そしてカイトの前に近衛騎士団長が膝をついて頭を下げる。
「我が国の英雄に大変無礼な真似をして、まことに申し訳ございません。私の謝罪では不十分でしょうが、どうかお許しいただけませんか?」
「いやいやいや! 頭を上げてください! ぜんぜん! まったく平気ですから!」
カイトも驚いたのか、頭を下げた騎士団長に慌てて駆け寄っていた。騎士団長はしぶしぶだが、立ち上がり姿勢をただした。
カイトを連れてきた騎士はすでに退場している。
「それでは国王がお話しをされたいと申しております。お時間をいただけますか?」
「は、はい……大丈夫です」
待て! 待て待て! なぜこんな展開になるんだ!?
なぜ、カイトが国王に謁見するんだ!? おかしいだろう! なんで魔獣と融合してるやつが英雄なんだよ!?
このハンター派遣に賭けてきた、最後の望みもカイトが持っていってしまうのか!? なんなんだ! あいつは、どこまで俺の邪魔をするんだ!!
ミリオンはジッとしていられなかった。感情のままテントから飛び出して、騎士団長の前に出て行く。他の3人もあとを追った。
「待ってください!!」
「君は……?」
「俺はプロキオンのハンター、ミリオン・ナバスです! そいつを国王陛下の前に連れて行くのは、待ってください!!」
「それは何か理由があってのことか?」
「はい、万が一、国王陛下に危険が及んではならないと考え進言しに参りました」
「ふむ……国王陛下に及ぶ危険とはなんだ?」
ファルコ騎士団長は、眼光鋭くミリオンを睨みつける。
国王陛下に危険が及ぶことなら、全てに対処しなければならないのだ。
「こいつは、カイト・シーモアは魔獣と融合しているんです! むしろ英雄ではなくて、危険な存在なんです!!」
「そうです、ファルコ騎士団長様! 野放しにしていたら、危険すぎます!」
「こいつは、魔獣の姿にもなるんです! あれで襲われたら、ひとたまりもありません!」
「今のうちに身柄を押さえないと、危険です!」
ミリオンの言葉に、ティーン、トレット、サウザンも続いた。全員ここで認めてもらって、なんとか国王軍に入りたいのだ。
「その報告は聞いている。だが、彼がレッドドラゴンを倒して、多くの命を救ったのも事実だろう」
「え、それなら、なぜ!? たまたま人助けしたからって、魔獣と融合している危険人物を捕まえないんですか!?」
「それは私から説明しようか」
その場に凛としたよく通る声が響いた。
姿を表したのは、このアルファルド国の国王、ランベール・ディ・アルファルドだった。
やっと、俺が認められるんだ! やっとあの街から抜け出せるんだ!! カイト! お前が追い詰められるのを、俺が見届けてやる!!
「ファルコ団長! 先ほど報告にあがった者を連れて参りました!!」
一際大きくて立派なテントにむかって、近衛騎士が胸を張って報告している。
これから起こるであろう、カイトの断罪の場面を想像してミリオンは久しぶりに上機嫌だった。
ティーンやトレット、サウザンもカイトの様子に興味津々でテントの隙間から覗き見ている。
「そうか! よく連れて参った……おい」
なぜか近衛騎士団長から、腹に響くような低い声が聞こえてくる。
「はっ! 如何なさいましたか?」
「なぜこの国の国王の命を救った英雄が、後ろ手に縛られているのだ!!!!」
ファルコ団長は、カイトの扱いに対して大激怒していた。ミリオンたちは、なぜ団長が怒り狂っているのか理解できない。
は……? なんで騎士団長は怒っているんだ? だってあんな危険なヤツは、縛っておかないと安心できないじゃないか!?
「今すぐ縄を取らんか!!!!」
「はっ!? はいっ!」
カイトを連れてきた騎士は慌てて、縄をほどいていた。そしてカイトの前に近衛騎士団長が膝をついて頭を下げる。
「我が国の英雄に大変無礼な真似をして、まことに申し訳ございません。私の謝罪では不十分でしょうが、どうかお許しいただけませんか?」
「いやいやいや! 頭を上げてください! ぜんぜん! まったく平気ですから!」
カイトも驚いたのか、頭を下げた騎士団長に慌てて駆け寄っていた。騎士団長はしぶしぶだが、立ち上がり姿勢をただした。
カイトを連れてきた騎士はすでに退場している。
「それでは国王がお話しをされたいと申しております。お時間をいただけますか?」
「は、はい……大丈夫です」
待て! 待て待て! なぜこんな展開になるんだ!?
なぜ、カイトが国王に謁見するんだ!? おかしいだろう! なんで魔獣と融合してるやつが英雄なんだよ!?
このハンター派遣に賭けてきた、最後の望みもカイトが持っていってしまうのか!? なんなんだ! あいつは、どこまで俺の邪魔をするんだ!!
ミリオンはジッとしていられなかった。感情のままテントから飛び出して、騎士団長の前に出て行く。他の3人もあとを追った。
「待ってください!!」
「君は……?」
「俺はプロキオンのハンター、ミリオン・ナバスです! そいつを国王陛下の前に連れて行くのは、待ってください!!」
「それは何か理由があってのことか?」
「はい、万が一、国王陛下に危険が及んではならないと考え進言しに参りました」
「ふむ……国王陛下に及ぶ危険とはなんだ?」
ファルコ騎士団長は、眼光鋭くミリオンを睨みつける。
国王陛下に危険が及ぶことなら、全てに対処しなければならないのだ。
「こいつは、カイト・シーモアは魔獣と融合しているんです! むしろ英雄ではなくて、危険な存在なんです!!」
「そうです、ファルコ騎士団長様! 野放しにしていたら、危険すぎます!」
「こいつは、魔獣の姿にもなるんです! あれで襲われたら、ひとたまりもありません!」
「今のうちに身柄を押さえないと、危険です!」
ミリオンの言葉に、ティーン、トレット、サウザンも続いた。全員ここで認めてもらって、なんとか国王軍に入りたいのだ。
「その報告は聞いている。だが、彼がレッドドラゴンを倒して、多くの命を救ったのも事実だろう」
「え、それなら、なぜ!? たまたま人助けしたからって、魔獣と融合している危険人物を捕まえないんですか!?」
「それは私から説明しようか」
その場に凛としたよく通る声が響いた。
姿を表したのは、このアルファルド国の国王、ランベール・ディ・アルファルドだった。
1
お気に入りに追加
1,665
あなたにおすすめの小説
ゴミアイテムを変換して無限レベルアップ!
桜井正宗
ファンタジー
辺境の村出身のレイジは文字通り、ゴミ製造スキルしか持っておらず馬鹿にされていた。少しでも強くなろうと帝国兵に志願。お前のような無能は雑兵なら雇ってやると言われ、レイジは日々努力した。
そんな努力もついに報われる日が。
ゴミ製造スキルが【経験値製造スキル】となっていたのだ。
日々、優秀な帝国兵が倒したモンスターのドロップアイテムを廃棄所に捨てていく。それを拾って【経験値クリスタル】へ変換して経験値を獲得。レベルアップ出来る事を知ったレイジは、この漁夫の利を使い、一気にレベルアップしていく。
仲間に加えた聖女とメイドと共にレベルを上げていくと、経験値テーブルすら操れるようになっていた。その力を使い、やがてレイジは帝国最強の皇剣となり、王の座につく――。
※HOTランキング1位ありがとうございます!
※ファンタジー7位ありがとうございます!
異世界転移「スキル無!」~授かったユニークスキルは「なし」ではなく触れたモノを「無」に帰す最強スキルだったようです~
夢・風魔
ファンタジー
林間学校の最中に召喚(誘拐?)された鈴村翔は「スキルが無い役立たずはいらない」と金髪縦ロール女に言われ、その場に取り残された。
しかしそのスキル鑑定は間違っていた。スキルが無いのではなく、転移特典で授かったのは『無』というスキルだったのだ。
とにかく生き残るために行動を起こした翔は、モンスターに襲われていた双子のエルフ姉妹を助ける。
エルフの里へと案内された翔は、林間学校で用意したキャンプ用品一式を使って彼らの食生活を改革することに。
スキル『無』で時々無双。双子の美少女エルフや木に宿る幼女精霊に囲まれ、翔の異世界生活冒険譚は始まった。
*小説家になろう・カクヨムでも投稿しております(完結済み
うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生
野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。
普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。
そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。
そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。
そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。
うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。
いずれは王となるのも夢ではないかも!?
◇世界観的に命の価値は軽いです◇
カクヨムでも同タイトルで掲載しています。
辺境で魔物から国を守っていたが、大丈夫になったので新婚旅行へ出掛けます!
naturalsoft
ファンタジー
王国の西の端にある魔物の森に隣接する領地で、日々魔物から国を守っているグリーンウッド辺境伯爵は、今日も魔物を狩っていた。王国が隣接する国から戦争になっても、王国が内乱になっても魔物を狩っていた。
うん?力を貸せ?無理だ!
ここの兵力を他に貸し出せば、あっという間に国中が魔物に蹂躙されるが良いのか?
いつもの常套句で、のらりくらりと相手の要求を避けるが、とある転機が訪れた。
えっ、ここを守らなくても大丈夫になった?よし、遅くなった新婚旅行でも行くか?はい♪あなた♪
ようやく、魔物退治以外にやる気になったグリーンウッド辺境伯の『家族』の下には、実は『英雄』と呼ばれる傑物達がゴロゴロと居たのだった。
この小説は、新婚旅行と称してあっちこっちを旅しながら、トラブルを解決して行き、大陸中で英雄と呼ばれる事になる一家のお話である!
(けっこうゆるゆる設定です)
ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い
平山和人
ファンタジー
侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。
ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。
かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。
最難関ダンジョンで裏切られ切り捨てられたが、スキル【神眼】によってすべてを視ることが出来るようになった冒険者はざまぁする
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
【第15回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞作】
僕のスキル【神眼】は隠しアイテムや隠し通路、隠しトラップを見破る力がある。
そんな元奴隷の僕をレオナルドたちは冒険者仲間に迎え入れてくれた。
でもダンジョン内でピンチになった時、彼らは僕を追放した。
死に追いやられた僕は世界樹の精に出会い、【神眼】のスキルを極限まで高めてもらう。
そして三年の修行を経て、僕は世界最強へと至るのだった。
パーティーから追放され婚約者を寝取られ家から勘当、の三拍子揃った元貴族は、いずれ竜をも倒す大英雄へ ~もはやマイナスからの成り上がり英雄譚~
一条おかゆ
ファンタジー
貴族の青年、イオは冒険者パーティーの中衛。
彼はレベルの低さゆえにパーティーを追放され、さらに婚約者を寝取られ、家からも追放されてしまう。
全てを失って悲しみに打ちひしがれるイオだったが、騎士学校時代の同級生、ベガに拾われる。
「──イオを勧誘しにきたんだ」
ベガと二人で新たなパーティーを組んだイオ。
ダンジョンへと向かい、そこで自身の本当の才能──『対人能力』に気が付いた。
そして心機一転。
「前よりも強いパーティーを作って、前よりも良い婚約者を貰って、前よりも格の高い家の者となる」
今までの全てを見返すことを目標に、彼は成り上がることを決意する。
これは、そんな英雄譚。
あらゆる属性の精霊と契約できない無能だからと追放された精霊術師、実は最高の無の精霊と契約できたので無双します
名無し
ファンタジー
レオンは自分が精霊術師であるにもかかわらず、どんな精霊とも仮契約すらできないことに負い目を感じていた。その代わりとして、所属しているS級パーティーに対して奴隷のように尽くしてきたが、ある日リーダーから無能は雑用係でも必要ないと追放を言い渡されてしまう。
彼は仕事を探すべく訪れたギルドで、冒険者同士の喧嘩を仲裁しようとして暴行されるも、全然痛みがなかったことに違和感を覚える。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる