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17話 キメラが繁殖期だったので本気出しました
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ギルド長の依頼は、キメラの討伐依頼だった。
ピーコック山脈での目撃情報があるものの、常に移動しているようで、どこで出くわすかわからない。
そのため、Sランクのパーティーかソロハンターしか入山できないと、受付のマリーさんから聞いた。
移動は黒狼の姿になれば早いので、他の人に見つからないように裏道を走り抜ける。ほんの2時間ほどで山の麓までやってこれた。
「匂いで追えば、すぐ終わりそうだな」
人間の姿に戻って、山の中を歩き回った。
途中、出会った魔獣は片っ端から倒していく。討伐証明の部位と、いい素材があれば回収していった。
「グアオオォォォ!!」
咆哮を上げてむかってきたのは、パラリシスベアーだ。マヒ爪さえ気をつければ、そんなに危険な相手ではない。
振り上げられたマヒ爪をヒラリとかわして、青い稲妻を一撃くらわせる。
「青の破雷」
「ギャアアオオォォォ!!」
断末魔の叫びを上げながら、パラリシスベアーは倒れていく。ミリオンたちが歯が立たなかった魔獣を、あっさり倒し、討伐証明のマヒ爪を回収して、キメラ探しを再開した。
「ん? この匂い……コイツがキメラだな」
食べ物が腐ったような匂いを感じとる。強い魔獣は大体こんなイヤな匂いだ。獲物を多く捕食してるから、こんな風になるんだと思う。
ライオンのような体、背中に山羊の頭、そして尻尾は蛇になった魔獣を見つけた。翼がついていないということは、メスだな。オスだと、コウモリのような翼がついている。
『ふん、すばしっこいだけの、毒と魔法しか使えないヤツだ。我なら余裕だ』
「そうだな。まぁ、サクッと片付けてギルド長に報告しよう」
カイトはキメラにむけて、右手をかざして青い稲妻を放つ。
「青い一撃」
青い稲妻が、キメラにむかって一直線に走った。突然の攻撃にキメラは動けなくなる。リュカオンの雷魔法は、一定の確率でマヒの効果を付与できる。
今回は上手くいったようだ。すぐにトドメを刺そうと右手をかざしたら、頭上から火の玉が降ってきた。
『カイト!』
「うわっ! 危なっ!」
バックステップで避けて、見上げると翼のついたキメラが、咆哮を上げながら続けて火の玉を放ってきた。木の間をすり抜けながら、避けていく。
最初に攻撃したメスのキメラも復活して、2匹で火の玉をオレにむけて放ってきた。
「オスもいたのか! キメラって群れを作るのか!?」
『もしかすると、繁殖期かも知れんな。だとしたら、奴らは相当イラついてるぞ』
何……だと!? オレなんて万年独り身なのに、アイツら繁殖期だって!? ふざけんな! イラつくのはこっちだっつーの!!
「よし、全力で一瞬でケリつけよう」
『……いつになくヤル気だな』
最後のリュカオンの一言はスルーして、魔力を解放する。
「青い衝撃」
オレの両手から出た青い稲妻は、キメラに直撃して焼き焦がしていく。オーバーキルな一撃で、無事に討伐をおえた。
「さ、帰ろうか。リュカオン」
『我には物足りない相手であった』
討伐証明のコウモリのような翼と、蛇の尻尾を回収してギルドへと戻った。
***
「え? キメラを討伐してきた? いやいや、ピーコック山脈ですよ? どんなに早くても往復で2日はかかりますよね?」
ギルドの受付嬢、マリーさんは信じてくれない。まぁ、裏技使ったから、それは仕方ない。
「じゃぁ、討伐証明出すから鑑定してもらえる? それで問題なかったら、ギルド長に取り次いで欲しいんだけど」
報酬がもらえたら、こんな街すぐにでも出て行ってやる。母さんの墓参りに、月に一度戻るだけにしよう。
ハンター愛用の空間魔法のかかった巾着袋から、回収した討伐証明を出していく。
ヒヒグマの右手×3
ジャイアントラビットの耳×5
パラリシスベアーのマヒ爪×1
角猪の角×2
キメラの翼×1
キメラの尻尾×1
「えっ……! 本当にキメラの翼と尻尾!? 2匹も!?」
「うん、鑑定頼むね。オレ食堂で飯食ってくるから」
「は、はい…………」
呆気に取られているマリーさんにお願いをして、ギルドの中で運営されている食堂にむかった。
ピーコック山脈での目撃情報があるものの、常に移動しているようで、どこで出くわすかわからない。
そのため、Sランクのパーティーかソロハンターしか入山できないと、受付のマリーさんから聞いた。
移動は黒狼の姿になれば早いので、他の人に見つからないように裏道を走り抜ける。ほんの2時間ほどで山の麓までやってこれた。
「匂いで追えば、すぐ終わりそうだな」
人間の姿に戻って、山の中を歩き回った。
途中、出会った魔獣は片っ端から倒していく。討伐証明の部位と、いい素材があれば回収していった。
「グアオオォォォ!!」
咆哮を上げてむかってきたのは、パラリシスベアーだ。マヒ爪さえ気をつければ、そんなに危険な相手ではない。
振り上げられたマヒ爪をヒラリとかわして、青い稲妻を一撃くらわせる。
「青の破雷」
「ギャアアオオォォォ!!」
断末魔の叫びを上げながら、パラリシスベアーは倒れていく。ミリオンたちが歯が立たなかった魔獣を、あっさり倒し、討伐証明のマヒ爪を回収して、キメラ探しを再開した。
「ん? この匂い……コイツがキメラだな」
食べ物が腐ったような匂いを感じとる。強い魔獣は大体こんなイヤな匂いだ。獲物を多く捕食してるから、こんな風になるんだと思う。
ライオンのような体、背中に山羊の頭、そして尻尾は蛇になった魔獣を見つけた。翼がついていないということは、メスだな。オスだと、コウモリのような翼がついている。
『ふん、すばしっこいだけの、毒と魔法しか使えないヤツだ。我なら余裕だ』
「そうだな。まぁ、サクッと片付けてギルド長に報告しよう」
カイトはキメラにむけて、右手をかざして青い稲妻を放つ。
「青い一撃」
青い稲妻が、キメラにむかって一直線に走った。突然の攻撃にキメラは動けなくなる。リュカオンの雷魔法は、一定の確率でマヒの効果を付与できる。
今回は上手くいったようだ。すぐにトドメを刺そうと右手をかざしたら、頭上から火の玉が降ってきた。
『カイト!』
「うわっ! 危なっ!」
バックステップで避けて、見上げると翼のついたキメラが、咆哮を上げながら続けて火の玉を放ってきた。木の間をすり抜けながら、避けていく。
最初に攻撃したメスのキメラも復活して、2匹で火の玉をオレにむけて放ってきた。
「オスもいたのか! キメラって群れを作るのか!?」
『もしかすると、繁殖期かも知れんな。だとしたら、奴らは相当イラついてるぞ』
何……だと!? オレなんて万年独り身なのに、アイツら繁殖期だって!? ふざけんな! イラつくのはこっちだっつーの!!
「よし、全力で一瞬でケリつけよう」
『……いつになくヤル気だな』
最後のリュカオンの一言はスルーして、魔力を解放する。
「青い衝撃」
オレの両手から出た青い稲妻は、キメラに直撃して焼き焦がしていく。オーバーキルな一撃で、無事に討伐をおえた。
「さ、帰ろうか。リュカオン」
『我には物足りない相手であった』
討伐証明のコウモリのような翼と、蛇の尻尾を回収してギルドへと戻った。
***
「え? キメラを討伐してきた? いやいや、ピーコック山脈ですよ? どんなに早くても往復で2日はかかりますよね?」
ギルドの受付嬢、マリーさんは信じてくれない。まぁ、裏技使ったから、それは仕方ない。
「じゃぁ、討伐証明出すから鑑定してもらえる? それで問題なかったら、ギルド長に取り次いで欲しいんだけど」
報酬がもらえたら、こんな街すぐにでも出て行ってやる。母さんの墓参りに、月に一度戻るだけにしよう。
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ヒヒグマの右手×3
ジャイアントラビットの耳×5
パラリシスベアーのマヒ爪×1
角猪の角×2
キメラの翼×1
キメラの尻尾×1
「えっ……! 本当にキメラの翼と尻尾!? 2匹も!?」
「うん、鑑定頼むね。オレ食堂で飯食ってくるから」
「は、はい…………」
呆気に取られているマリーさんにお願いをして、ギルドの中で運営されている食堂にむかった。
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