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9話 再チェックを受けることにしました

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 オレは数時間前に出てきた、ギルドに戻ってきていた。扉を開けるなり、みんな気まずそうに視線をそらす。
 ついさっき追放宣言されたばかりだけど、朝のラッシュでかなりの人数がいたから、もう知れ渡っているんだろう。

 受付担当のマリーさんも微妙な顔つきだ。あの一部始終を見た後だし仕方ない。だけど、どうでもいいって気持ちの方が強いから、あまり気にならなかった。


「マリーさん、再チェックの申請したいんだけど」

「へっ? 再チェックですか……?」

「うん、魔力量と適性検査、どちらも頼めるかな?」

「ええ、それはもちろん……でも、余程のことがないとあまり変わらないですよ?」

 それは問題ない。もう5年も前に、その余程のことがあったから。
 いつものようにニッコリ笑って、マリーさんに今すぐチェックしたいと言ったら、慌てて準備を始めてくれた。

 登録した時にもらったハンターカードを渡して、しばらく待つ。今のハンターカードは白色だ。ランクによって色が変わるから、カードを見ればひと目でランクがわかるようになっている。

 全体の0.1パーセントしかいないSSSランクの黒いカードはレアだ。ちなみに、Fランクの白いカードも逆にレアだ。……あんまり嬉しくはないけど。

 報酬もこのカードに入金できて、そのカードで買い物や支払いもできる大変便利な代物だ。パーティーメンバー同士なら、お金のやり取りもできるようになっている。
 このカードの魔法システムを考えた人は天才的だと思う。

 そんな事をつらつら考えていると「カイトさん」と声をかけられた。




「お待たせしました」

 マリーさんが検査用の部屋に案内してくれる。
 そこには検査担当と記録用の職員がふたり、すでに準備を終えて待っていた。


「カイト・シーモアさんです! お願いしま~す」

「カイトさんね。では、まずこちらの書類にサインをしてくれる?」

 この書類は、検査は一度きりでやり直しはしないとか、結果に文句を言わないとか、そうたぐいの同意書だ。たまにゴネるやつがいるから、防衛策だろう。
 前にも読んだから、サラッと流してペンを走らせる。

 サインした書類を渡すと、検査の担当者が魔力量を検査するための道具を持ってきた。
 水晶玉に手を置いて魔力を流し込むと、水晶玉につながっている石板に、数字と該当ランクが表示される仕組みだ。

 前と同じように、手を乗せて魔力を流し込む。


 ————————————————

 カイト・シーモア male  24

 魔力量 測定不能(SSS)

 ————————————————


 表示を見た記録の担当者が固まっている。目をこすったり、何回もまばたきしたりして、確認していた。

「あの、機器が故障しているみたいなので、もう一度お願いできますか?」

「あぁ、いいけど」

 新しい道具が運ばれてきて、もう一度手を乗せる。


 ————————————————

 カイト・シーモア male  24

 魔力量 測定不能(SSS)

 ————————————————


 結果は同じだった。検査の担当者もダブルチェックをしに来て、ふたりでゴニョゴニョ話している。


「えっ、まさか……本当に?」
「だって、これ新品持ってきたんですよ!?」
「もともとFランクでしょ? それがSSSランクなんて」
「これは、ギルド長にも報告しないといけませんよね?」
「わかった、報告はマリーに頼むわ。適性検査もやろう」


 秘密にしておきたい会話なんだろうけど、オレは耳もいいから全部聞こえていた。

 そうだよなぁ……FランクからSSSランクなんて、オレも聞いたことないもんな。まぁ、誰も信じてくれなくても、討伐の依頼さえ受けられれば、構わないけどな。


「カイトさん、大変お待たせしました。続いて適性検査もお願いします」

 今度は検査用の魔石板に手を乗せる。魔力の質を読み取るための道具だ。先ほどと同じように、つながれた石板に表示される。


 ————————————————

 カイト・シーモア male  24

 適性検査結果 
 完全融合魔法 雷魔法 魔力感知 視力強化 
 聴力強化 嗅覚強化 筋力強化 敏捷強化

 特殊:対魔獣能力+20% 超自己再生 
 王者の資質 王者の覇気
 王者の恩恵 全能力+100%(全体)

 ————————————————


 また担当者がふたりとも、笑顔のまま固まっていた。


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