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リチャード帰りの馬車の中

「はぁ~ シャル可愛かった~」
麗しいお顔がニコニコ……いやニヤニヤ

「リチャード様 お顔が崩れておりますぞ」
同乗している男爵

「そう言われても シャル可愛いでしょ♡」

(あの 恐ろしいと皆に囁かれている
このお方がここまで……変態とは…)
決して口には出せない男爵


「男爵」

「はい」

「今日は シャルとダンス出来なかったので 後日また行うことにした」

「今日のお茶会ではご満足いただけませんでしたでしょうか?」

「今日のお茶会は 非常に満足したよ」

「それでば 宜しいかと思われますが」

「いや お茶会はお茶会
ダンスはダンスだろう?」

「そうでごさいますか?」

「そうだろう?」

なかなか折れないリチャードと男爵

「リチャード様 嫁入りなどは 先の先の話でございますが 我が一族に連なる者ですので 大事に大事にしてまいりたいので御座います」

「そうだね 分かるよ 男爵の気持ちも
でもそれを言ったら 私の方でも 我が一族じゃないか」

「んぐっ!」

「ぐうの音が出ちゃったね」

「ん!ん!」

「おや ぐうの音が出なくなったね
くっくっくっ」


「はぁ~ 負けました…
私が負けるなど 年をとってしまいましたかな……」

「いや 私が素晴らしいのだと思う」

「左様でございますか」

「フフフ」



男爵はシャルのお母様の叔父様
リチャードはシャルのお父様の甥
リチャードとシャルは従兄妹になるが
リチャードのお父様とシャルのお父様は
実の兄弟ではない シャルのお父様が養子に入った経歴である

だが兄弟仲が非常に良く
同じ敷地の離宮にシャル達親子は住んでいた為 リチャードは良く遊びに行っていた

シャルの父親のエドワードには剣術を教えてもらっていたし 
シャルの母親のロゼリアは聖女だった
側にいるだけで 温かい気持ちになった為
リチャードはロゼリアの所には毎日の様に通っていた

そして ロゼリアに赤ちゃんができると聞いて 楽しみにしていたのだ

「叔母様 僕赤ちゃんが生まれてくるの楽しみです」

「あら リチャード様 そうなのですか?」

「はい 叔母様と叔父上の赤ちゃんだったら凄く可愛い女の子に決まってますから」

「女の子なのですか?男の子かもしれませんよ ふふ」

「いいえ 女の子だって分かってますから 名前はシャーロットです」

「まぁ エドワード様~エドワード様~」
聖女らしくなく 人を大声で呼ぶのである

「どうした?ロゼリア」

「うふふ 今ですね リチャード様が
この子に名前をつけてくださったのですよ」

「本当か!で リチャード 名前は何に決めたのだ?」

「叔父上!この子は シャーロットです!」

「お…女の子なのか?」

「はい 女の子ですから ねぇシャーロット」
そう言って ロゼリアのお腹に話しかける
すると ぐるりとお腹の子供が動いたのだ


「まぁ!見ました?エドワード」
ビックリするロゼリア

「あぁ 見たよ 動いたな」
こちらもビックリするエドワード

得意顔のリチャード
「ね?赤ちゃんも分かってるんですよ
名前はシャーロットですね!
父上にもお知らせしよう」
ニッコリ






「どうされました?リチャード様」

沈黙のリチャードに話しかける


「うん 遠い昔の……愛しい人達と過ごした時間を……少しだけ思い出してた…」

目を瞑ったまま 少しだけ下を向いた


それが 姪のロゼリアと夫君のエドワード様達との思い出だろうと察しのついた男爵は


「私も良く思い出します ただ年も取ってきておりますれば 薄れる記憶もありました 寂しく思っておりました ただシャーロットが戻って来てくれてからは 夫婦で楽しい時間を過ごさせて貰っております たまにロゼリアとシャーロットの面影が重なる時もあり その時は胸がえぐられる気持ちにもなります」
男爵もまた 目を瞑り 下を向くのである







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