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「どうしますか?アリス様はご不在とお伝えしたのですけど 待つとおっしゃられてます」

「私が対応しよう 知っている方だから」



「ジェラルド様 ご無沙汰しております」


「セバスチャン!生きていたのか!」

「生きていたのか………ジェラルド様は我々が 森に捨てられたことをご存知だったのですか?」


しまったという顔をしてしまったが もう遅い
「アリスの噂は 王都まで聞こえてきたから 生きてるんだと思って でも セバスチャンの事は分からなかった  森に捨てられたことは ベッキーが喋ってたから知っていた」

「そうでしたな アリス様から ベッキー様に乗り替えられたのでしたな ジェラルド様」
「乗り替えられた……そうだな 付き合いの悪いアリスより 付き合いやすかった ベッキーに あれは 乗り換えたというのだな」

「少し 言葉が過ぎました して 今日はどの様なご用件でしょうか?身だしなみも少し……馬車で来られたのではないのでしょうか?」
実は セバスチャンはスペンサー家の事も調べていた
  スペンサー家ではオ―ランド商会より アリスと結婚すれば 返済無しに 婚約破棄になれば 最初の融資分からの返済が求められる契約が実行されているのである
 融資分が かなりの金額で それを投資していた事業も振るわず 銀行から借りようにも 担保に出来る領地が 手をかけていないので 収益は赤字
 どこの銀行も貸してくれず 支払いで火の車 
それならば アリスと復縁か 支払を無しにしてもらえるようにジェラルドを行かせたのだが 旅費も最低限 馬車に乗って などという金額すらも無かった
 歩きで食べ物も2日に1個パンを買えるくらい 
此所に着く頃には 服はボロボロ栄養失調寸前
 以前のジェラルドと同一人物とは思えないほどに憔悴しきっていた

「セバスチャン アリスは今 幸せなのか?」
「はい 以前よりお忙しいですが ジ―ク様とお互いに助け合い この屋敷の者や領民達からも慕われ  王族の覚えもめでたく 後は結婚式を待つばかりでございますよ」

「そうか……幸せか…僕では 出来なかった事だな」
感慨深そうな ジェラルド

それを見ていたセバスチャンが
「ジェラルド様 一先ず お風呂に入られさっぱりしてお食事をどうぞ こちらです」

「ありがとう でも このままアリスに会わずに帰るよ」

「いえ その様なことをしてしまったら アリス様に叱られてしまいます」

「いや セバスチャン……」
ジェラルドは 断りをまだ入れようとしたが セバスチャンが畳み掛ける様に

「ジェラルド様 アリス様に 祝福のお言葉をかけてあげてくださいませ」

「祝福の言葉をか……僕に言われても 気持ちの良いものではないだろう?」

「いえ  アリス様は こちらでお暮らしになる前は あまり良い思いではないと思われます ですが そこでジェラルド様が 祝福して差し上げるだけで その思い出も少しは明るくなるのではないかと 私は思います」

「そうかな アリスに少しでも やってあげられる事があるなら やってみるよ ありがとうセバスチャン 僕はまた 逃げてしまうところだった 向き合って 謝るよ そして心から祝福の言葉を贈りたい」

「こちらこそ ありがとうございます ジェラルド様  そうとなれば こちらでございます どうぞ」

「お言葉に甘えるよ こんな汚い格好じゃ アリスに心配かけるしね 助かる」

「はい」


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