【完結】竜公子の婚約者

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「お父様 お母様只今帰りました
すみません 勝手に出たりして」

「そこは 僕も謝ろう
何も言わないで メルを連れ出して
すまなかった」

「ハリ―様がついているだろうし
もう 成人ですから あまり言いませんが
今後は一言 お願いします
それで 何処に行ってたんだい?」

「ただ 歩いてただけなんだけど
岡の方にいって
 後はハリ―様の竜で飛ぶところを見ていたの 
凄く綺麗だったわ」

「ほう 良かったな
では 明日は帝国に移動するから
もう 寝なさい」

「はい おやすみなさい 皆さん」

「メル お休み」

「ハリ―様も お休みになってくださいね
お休みなさい」


私は ハリ―様が飛んでいるところを
思い出しながら 眠りについた





応接室では 少し話が続いていて

「それでは 明日は 篭の準備が出来たら
ひとまず 帝国にメルを連れていく
両親だけに 会わせて 
父上に 説明をして 帰ってくる
それで大丈夫だろうか?」

「畏まりました
メルベルの事 
宜しくお願い致します」

「心配だろうが
 私のつがいと
ようやく 側にいられる
これで 私も落ち着ける」

「ハリ―様
メルベルは 
帝国で受け入れて貰えるでしょうか
ハリ―様のつがいとはいえ
人間でございます
竜人の方々と 違いが浮き彫りになれば
反対するものも いるのではないでしょうか」

「誤魔化しせずに ハッキリ言おう
反対するものは 多いと思った方がいい
だが 今まで 人間のつがいが居ないわけではない
現に 叔父上の奥方も 人間だ
叔父上の時にも 反対するものは
 いたというからな
だが つがいという存在で
魔力は増大する
国民として 喜ばしいことだから
最終的には 皆が納得するはずだ
両親ともそう話をして 了解を得ている」

「そこまで 話されているのですね
分かりました 
それでは 明日 お願い致します」
伯爵夫妻は ハリ―にお辞儀をして 
立ち去った

「お前達も 明日は往復するから
早目に休むことだ」

「では 交代で……」

「いや メルが側にいるので 魔力が強い
結界を張っておくので
二人供 休むがいい」

「はっ!ありがとうございます 
それでは 失礼致します」

二人を見送って 自分も部屋に戻る

伯爵家の敷地に結界を張り巡らして
ハリ―も休むのだった





翌朝


コンコン
「入れ」

「失礼致します
おはようございます
ハリ―様 よくお眠りになられましたか?」
ゾーンが 入ってくる

「あぁ おはよう
ぐっすりとは言えないが
まぁ 眠れた」

「おや 熟睡出来ませんでしたか?
何か?」

「メルが 一緒に寝ていなくて
寂しかったから」

「あははは それはそれは
今しばらくの辛抱ですので」

「そうだな」

「もう少しで 朝食でございます
メルベル様が 
簡単な料理をされているらしいですぞ」

「メルが?行く!」

ガバッと 飛び起きて
身支度を整え あわてて降りていく

「メル おはよう」

「ハリ―様 おはようございます」

「メル 料理……作ってくれてるの?」

「料理と言うのもおこがまし限りですが
朝食なので 簡単なのです
すぐ できますので
どうぞ お席のほうに」

「わかった」

皆が 席に座ると
料理が運ばれてきた

目玉焼き
カリカリベ―コン
焼きたてのパン
サラダにス―プ


非常に一般的な朝御飯

「どうぞ 定番の朝御飯で 恐縮ですが」

「メル 大事に食べるね」
ハリ―は メルベルに微笑んで 
朝食をとりだした

「はい ありがとうございます」
うふふ

和やかな朝食を終えて
いよいよ 帝国へと向かう準備

「これに 乗って行くのね」
伯爵が用意してくれていた 篭を見て
メルベルが 呟いた
それは 
人1人が膝を抱えて乗れるくらいの大きさだった

背中に乗るのと違い
かなりの安心感

そんなことを考えていると
「メル もうそろそろ 出掛けるよ?
準備は大丈夫?」

ハリ―様が近くと 私の手をとる

またもや ドキドキ
慣れなくっちゃ!

「はい 着替えてまいります
ドレスは無理なので 
ワンピースにしてきますね 
すぐ参りますわ」

「うん 待ってるよ」
そう言って
私の指先に キスした


もう!
ドキドキが最高潮に
私 これに 耐えられるかしら?

そんな動揺を見せないように
慌てて 走り出した
お母様に見られたら
きっと 叱られるわね



待たせること10分

「お待たせしました」

動きやすいが
メルベルの薄い金色の髪ににあう
薄紫の ハリ―の瞳と同じワンピース

髪は乱れるであろうとふんで
緩く編み込みでアップしている
着いた後に 今一度整え安いように

一応 ドレスは持っていくため
少し大きめの 鞄が一つ

「荷物はそれだけでいいの?」

「はい 少し略式になってしまいますが
失礼にあたらないようには出来ると思います」

「わかった あちらにも 
メルに贈ろうと思っていた物があるから
大丈夫だと思う
じゃあ 行こうか」

そう言った途端
ハリ―様が 竜へと変身

やっぱり
太陽の下でみても
青銀の鱗は綺麗だ

篭を首にぶら下げ固定して
首を下ろしてもらって
篭の中に

「なんだか ちょっと 笑うわね」

『そんなことないぞ 僕は楽しい』

「きゃっ!」

頭の中にハリ―様の声が聞こえてきて

『念話だから 慣れてね』

「はい でも ビックリしました
念話ってこんな感じなんですね
でも 途中で お話出来ますね
楽しみです」

『僕もだよ さぁ 行こう』

羽を広げ 
見送りをしてくれている人達を1度見て
コクりと 頷いた

「お気をつけて
メルベル しっかり
ハリ―様にお任せするんだぞ」

「気を付けるのよ
乗り出したりしないでね
いってらっしゃい」

お母様 
子供ではありませんから
乗り出したりは流石にしないと思います


そして 
3頭の竜は 羽ばたいていった











    
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