【完結】竜公子の婚約者

文字の大きさ
上 下
9 / 34

8

しおりを挟む
「メル ちょっと 外に行きたい」

「外ですか?」

日も落ちて すっかり暗くなり
夜空には 星が瞬いている
気候的には 少し暑い位だが
夜だと 気温が下がって
過ごしやすい


ハリ―様は 私と手を繋ぎながら
外を歩き出した

「ハリ―様 暗いので 足元をお気をつけ…あっ!」

言った矢先に 私が躓いた

地面に……膝が……服が!と目をつぶっていたら
何もおきなくて
「メルは そそっかしい」

ハリ―様の片腕に 掬われた形になっている

自分で立つと

「ありがとうございます
昔から そそっかしいのは 変わりません
よく 母に
落ち着きなさい!と言われます」

「メルの伯爵家は
みなが 近いな
どこの貴族も同じなのか?」

「どうでございましょう
うちは 王都 中央から 離れておりますし
元々のご先祖様から 
貰える土地はどこでも良いという 
家風でしょうか
変わっているかもしれませんね

ハリ―様の帝国のご家族は如何でしょうか?」


喋りながら 二人歩いていく
少し岡になっている 一番上にきた
ハリ―様が ポケットから ハンカチを出されて
私が座るように ひいてくれた

「メル 座ろう」
「はい ありがとうございます」

こんな 何気ない行動が 嬉しかったりする
優しいし 女性として扱ってくれている
胸が キュンとなる

「そうだな 父上 母上も 優しい
ただ 兄弟は あまり 仲がよくないな
仕方ないことだが
皇帝になりたいか と聞かれたら
別になりたいとは 思わないのだけどな
やはり 魔力の大きいものが ならねば
国が 民が守れぬゆえ
仕方ないと思っている

それに 付き合わせるが
メルすまぬ
だが 
先程 母上殿に伝えたように
メルは守るから
不安も沢山あると思うけど
僕の所に来て」

「えぇ ハリ―様をもっと知りたいので
ハリ―様の所に 参りますわ」

「ホントに?
ありがとう メル すごく嬉しい

ちょっと飛びたい
少し下がって
見てて」


そういうと
ハリ―様は
竜になり 両翼を広げた
1度羽ばたき 2度 3度
足が 地面からはなれ 少し上昇して
飛び始めた

今は 月が 出て
ハリ―様の反対部分が月に照らされ
こちら側が 影になっている

影絵の様で 凄く綺麗だ

「竜……綺麗 一緒にいたら ずっと見れる」

そのまましばらく
飛んでいるところを見ていたら
ハリ―様が 降りてきた

「お待たせ メル
退屈だったろ?」

「お帰りなさい ハリ―様
全然 退屈じゃなかったですよ
綺麗でした ハリ―様が竜になって
飛ぶところ

また 見たいです」

「ホントに?
嬉しいな 
気に入ってもらえたなら
また 何時でも見せるよ
その時は言って」

「はい  ハリ―様
お疲れではないですか?」

「そうだね 少し時間がたったかな?
心配するかもしれないから 
帰ろうか?」

「はい」

二人でニコニコしながら
帰りつくと

「お帰りなさいませ」
先程のゾ―ンさんが 外で待っていてくれた

「只今帰りました」

「お二人とも ご機嫌ですな ふふん」

「ハリ―様が 月夜を飛んでいらっしゃるところを見て 綺麗で 感動していました」

「そうですか それは よろしかったです」







しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

心の声が聞こえる私は、婚約者から嫌われていることを知っている。

木山楽斗
恋愛
人の心の声が聞こえるカルミアは、婚約者が自分のことを嫌っていることを知っていた。 そんな婚約者といつまでも一緒にいるつもりはない。そう思っていたカルミアは、彼といつか婚約破棄すると決めていた。 ある時、カルミアは婚約者が浮気していることを心の声によって知った。 そこで、カルミアは、友人のロウィードに協力してもらい、浮気の証拠を集めて、婚約者に突きつけたのである。 こうして、カルミアは婚約破棄して、自分を嫌っている婚約者から解放されるのだった。

【完結】烏公爵の後妻〜旦那様は亡き前妻を想い、一生喪に服すらしい〜

七瀬菜々
恋愛
------ウィンターソン公爵の元に嫁ぎなさい。 ある日突然、兄がそう言った。 魔力がなく魔術師にもなれなければ、女というだけで父と同じ医者にもなれないシャロンは『自分にできることは家のためになる結婚をすること』と、日々婚活を頑張っていた。 しかし、表情を作ることが苦手な彼女の婚活はそううまくいくはずも無く…。 そろそろ諦めて修道院にで入ろうかと思っていた矢先、突然にウィンターソン公爵との縁談が持ち上がる。 ウィンターソン公爵といえば、亡き妻エミリアのことが忘れられず、5年間ずっと喪に服したままで有名な男だ。 前妻を今でも愛している公爵は、シャロンに対して予め『自分に愛されないことを受け入れろ』という誓約書を書かせるほどに徹底していた。 これはそんなウィンターソン公爵の後妻シャロンの愛されないはずの結婚の物語である。 ※基本的にちょっと残念な夫婦のお話です

婚約者の心の声が聞こえるようになったけど、私より妹の方がいいらしい

今川幸乃
恋愛
父の再婚で新しい母や妹が出来た公爵令嬢のエレナは継母オードリーや義妹マリーに苛められていた。 父もオードリーに情が移っており、家の中は敵ばかり。 そんなエレナが唯一気を許せるのは婚約相手のオリバーだけだった。 しかしある日、優しい婚約者だと思っていたオリバーの心の声が聞こえてしまう。 ”またエレナと話すのか、面倒だな。早くマリーと会いたいけど隠すの面倒くさいな” 失意のうちに街を駆けまわったエレナは街で少し不思議な青年と出会い、親しくなる。 実は彼はお忍びで街をうろうろしていた王子ルインであった。 オリバーはマリーと結ばれるため、エレナに婚約破棄を宣言する。 その後ルインと正式に結ばれたエレナとは裏腹に、オリバーとマリーは浮気やエレナへのいじめが露見し、貴族社会で孤立していくのであった。

さよなら私の愛しい人

ペン子
恋愛
由緒正しき大店の一人娘ミラは、結婚して3年となる夫エドモンに毛嫌いされている。二人は親によって決められた政略結婚だったが、ミラは彼を愛してしまったのだ。邪険に扱われる事に慣れてしまったある日、エドモンの口にした一言によって、崩壊寸前の心はいとも簡単に砕け散った。「お前のような役立たずは、死んでしまえ」そしてミラは、自らの最期に向けて動き出していく。 ※5月30日無事完結しました。応援ありがとうございます! ※小説家になろう様にも別名義で掲載してます。

鈍感令嬢は分からない

yukiya
恋愛
 彼が好きな人と結婚したいようだから、私から別れを切り出したのに…どうしてこうなったんだっけ?

妻のち愛人。

ひろか
恋愛
五つ下のエンリは、幼馴染から夫になった。 「ねーねー、ロナぁー」 甘えん坊なエンリは子供の頃から私の後をついてまわり、結婚してからも後をついてまわり、無いはずの尻尾をブンブン振るワンコのような夫。 そんな結婚生活が四ヶ月たった私の誕生日、目の前に突きつけられたのは離縁書だった。

7年ぶりに私を嫌う婚約者と目が合ったら自分好みで驚いた

小本手だるふ
恋愛
真実の愛に気づいたと、7年間目も合わせない婚約者の国の第二王子ライトに言われた公爵令嬢アリシア。 7年ぶりに目を合わせたライトはアリシアのどストライクなイケメンだったが、真実の愛に憧れを抱くアリシアはライトのためにと自ら婚約解消を提案するがのだが・・・・・・。 ライトとアリシアとその友人たちのほのぼの恋愛話。 ※よくある話で設定はゆるいです。 誤字脱字色々突っ込みどころがあるかもしれませんが温かい目でご覧ください。

【完結】生贄になった婚約者と間に合わなかった王子

ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
フィーは第二王子レイフの婚約者である。 しかし、仲が良かったのも今は昔。 レイフはフィーとのお茶会をすっぽかすようになり、夜会にエスコートしてくれたのはデビューの時だけだった。 いつしか、レイフはフィーに嫌われていると噂がながれるようになった。 それでも、フィーは信じていた。 レイフは魔法の研究に熱心なだけだと。 しかし、ある夜会で研究室の同僚をエスコートしている姿を見てこころが折れてしまう。 そして、フィーは国守樹の乙女になることを決意する。 国守樹の乙女、それは樹に喰らわれる生贄だった。

処理中です...