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いつものお宿

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いつもとなんの変化もなく
馬を駆け 領地を行く
途中
「アラン様~お出かけですか~」
「ああ そうだよ~」
「お気をつけて~」
「ありがとう!」

「アラン様~ ちょっと~待って~!」
少し走るのを緩めて
「どうしたんだい?」
よく知ったおばちゃんが
「これこれ!食べて~」
と持ってきた この地方の昔からの素朴なお菓子 だけどうちの家族達もこれが大好きで 僕もいつも食べている
「うわ こんなに?」
「ええ そろそろお届けにいかれるかと思って 作ってたんですよ~ 途中食べてくださいな」
「ありがとう 嬉しいよ!」
「じゃあ お気をつけて~
ロイさんも食べてね アラン様を頼むよ~」
「わかってるさ ありがとなおばちゃん」

お行儀悪いが ロイと1個ずつつまみ食い
「美味しい!やっぱおばちゃんのが1番だよ」
「ですね~」
「嬉しいこと言ってくれるねぇ
また 返ってくる頃に作っておくよ」

「ありがとう 行ってきます」
「気をつけるんですよ~」

うちの辺境伯領は 領民と僕達との距離が近い アイリス叔母上の時からだ
隣国からの侵攻に勝った時も クリストファー叔父上とアクア叔母上との婚姻式の時も それからはエドワードが生まれた時も
無礼講で館の前庭を開放して
領民もカトラリーや食事も持ち寄って
一緒にお祝いする

「うちの領地って良いよね~」
「そうですね~ この国自体も明るい雰囲気ですし」
色々と話しながら 進むと
「アラン様 いつもの宿で大丈夫ですか?」
「ああ そうしよう」


カランコロン
「いらっしゃいませ~」
「今日も頼むよ 二人で」
慣れたようにカウンターに立つ
女性に宿泊の依頼をすると
「いつもありがとうございます
いつものお部屋が空いてます
鍵どうぞ~ お夕食はどうされますか?」
「ああ 頼むよ」
「かしこまりました~
では 夕食になりましたら お声掛けいたしますね~」
「ありがとう」



慣れた部屋のベットにゴロンと横になる

「ふう お茶でも飲みたいところだけど
仕方ないね」
「そうですね それに もうすぐ……」

コンコン

「カミラ?」

「はい アラン様」

「入って」

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