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本編裏話
11.5話編(濡れ場なし)
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コンさんが俺の胸の中で幸せそうに蹲っている。肌に当たる柔らかい髪が、胸にかかる息遣いが、全てが愛おしい。
だがコンさんからは「今は性行為はしない」とはっきり告げられてしまったのは、内心は複雑な感情が動いていた。子供を性的に搾取したくはないし、コンさんの方からもそれにNOと言ってくれたのが嬉しかったのは、紛れもなく本心だ。だが、俺が決して穢れなき天使ではないこともまた事実だった。
コンさんが少し蠢き、腰同士が擦れる音がする。この時ばかりは徹底的にアナニーしておいてよかったと思った。前立腺はすぐに疼く性感帯と化しているが、俺の息子はそう簡単には屹立しなくなっているため、劣情を少なからず抱いているのはなんとか隠し通せそうだ。
そういえばコンさんの匂いを覚えれば、衣類をおかずにできるかもしれない……いやそれはどうなんだ?アウトじゃないか?と思いつつも、思いついたままにコンさんの匂いを嗅いでしまう。
……無臭!ほぼ匂いがしない!戦闘用生物兵器なのだから、匂いで追跡されないようになっているのは当然かと、邪念を実行に至る前に打ち砕かれて、がっかりしたような安堵したような心地になる。
ふとコンさんがこちらを見て微笑んでいるのに気づく。嬉しそうなその顔は、どこか俺の邪念を見透かしたように思えた。
「どうしたんだ?コンさん」
「んー、ニカさんの心臓の音が聞こえます。」
「心臓の音?」
不思議に思って問いかけた。コンさんは続ける。
「はい。心臓が脈打つ音がして、胸が上下して、体温のあたたかさがあります。」
「そういうのを感じるたびに、ニカさんは生きてるんだなぁって思うんです。」
「生きている人が、触れられるほど側にいて、それでいて殺さなくてもいいなんて、不思議だなぁって。」
その答えを聞いて、氷に触れたような冷たさを俺は感じていた。コンさんの置かれた環境が、どれだけ無機質で冷たいものだったのか。それを当たり前として受け入れる心の、まだ冷たいところに触れたような、思わず手を引っ込めたくなるような心地だった。
その冷たいところに、俺は再び手を伸ばした。
「俺で良ければ、いくらでも触れてくれ。」
そう言ってコンさんの背中に腕を回す。不思議なことに、あれだけ劣情に満ちていた心が、コンさんを前にすると愛の言葉しか出力しなくなるのだ。ただこの子が幸せになれますようにと、祈るばかりになってしまう。
本当に、不思議な感覚だった。自分が浄化されたような心地だ。けれどそれは、決して嫌な心地ではなかった。
コンさんの体温を感じる。ただ暖かく、心底安心するような、身体の重みと鼓動の音がした。
やがて俺の意識は、安堵の底、眠りへと落ちていく。服越しにしか触れ合っていないのに、今までで一番暖かい触れ合いだった。
だがコンさんからは「今は性行為はしない」とはっきり告げられてしまったのは、内心は複雑な感情が動いていた。子供を性的に搾取したくはないし、コンさんの方からもそれにNOと言ってくれたのが嬉しかったのは、紛れもなく本心だ。だが、俺が決して穢れなき天使ではないこともまた事実だった。
コンさんが少し蠢き、腰同士が擦れる音がする。この時ばかりは徹底的にアナニーしておいてよかったと思った。前立腺はすぐに疼く性感帯と化しているが、俺の息子はそう簡単には屹立しなくなっているため、劣情を少なからず抱いているのはなんとか隠し通せそうだ。
そういえばコンさんの匂いを覚えれば、衣類をおかずにできるかもしれない……いやそれはどうなんだ?アウトじゃないか?と思いつつも、思いついたままにコンさんの匂いを嗅いでしまう。
……無臭!ほぼ匂いがしない!戦闘用生物兵器なのだから、匂いで追跡されないようになっているのは当然かと、邪念を実行に至る前に打ち砕かれて、がっかりしたような安堵したような心地になる。
ふとコンさんがこちらを見て微笑んでいるのに気づく。嬉しそうなその顔は、どこか俺の邪念を見透かしたように思えた。
「どうしたんだ?コンさん」
「んー、ニカさんの心臓の音が聞こえます。」
「心臓の音?」
不思議に思って問いかけた。コンさんは続ける。
「はい。心臓が脈打つ音がして、胸が上下して、体温のあたたかさがあります。」
「そういうのを感じるたびに、ニカさんは生きてるんだなぁって思うんです。」
「生きている人が、触れられるほど側にいて、それでいて殺さなくてもいいなんて、不思議だなぁって。」
その答えを聞いて、氷に触れたような冷たさを俺は感じていた。コンさんの置かれた環境が、どれだけ無機質で冷たいものだったのか。それを当たり前として受け入れる心の、まだ冷たいところに触れたような、思わず手を引っ込めたくなるような心地だった。
その冷たいところに、俺は再び手を伸ばした。
「俺で良ければ、いくらでも触れてくれ。」
そう言ってコンさんの背中に腕を回す。不思議なことに、あれだけ劣情に満ちていた心が、コンさんを前にすると愛の言葉しか出力しなくなるのだ。ただこの子が幸せになれますようにと、祈るばかりになってしまう。
本当に、不思議な感覚だった。自分が浄化されたような心地だ。けれどそれは、決して嫌な心地ではなかった。
コンさんの体温を感じる。ただ暖かく、心底安心するような、身体の重みと鼓動の音がした。
やがて俺の意識は、安堵の底、眠りへと落ちていく。服越しにしか触れ合っていないのに、今までで一番暖かい触れ合いだった。
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