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学園編
134 閑話
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翌日、メロディ・バロン・リリアムは解放され、メロディ・アール・ハーピックとなった。
これで自由に動き回っていた剣は鞘に納まった訳である。
今頃彼方さんは忙しくしていることだろう。
一方、私はーーー。
「……お兄様」
「にいにぃ~」
「……にいに、邪魔なんですが」
お兄様に抱き抱えられながら椅子に座らされていた。
急に私の執務室に入ってきたと思えばこれである。
「だって、サァラってば折角家に帰ってきたのに、ずっと本を読んでるんだもん。つまんなーい」
「……」
私たちはパーティーが終わり次第、公爵家に戻ってきた。
それからはファニと遊ぶか本を読むかしかしていない。
もちろん、仕事はしているが、元より豊かな土地である公爵家のため政策には困っていない。
現在進行形で上下水道を作っているくらいかな?
魔法の研究も学生生活中に一段落付いてしまったので、なにかと暇ではある。
それを知っているお兄様は自信は暇では無いくせに、ハイスピードで仕事を終わらせては公爵家に帰って私に突っ掛かっているというわけだ。
「……そうですね、私もそろそろちゃんと婚活しなくては、ですかね」
「それは駄目」
「じゃあにいにも早く婚約者の一人や二人、見つけてきてください」
「……サァラと似た娘なら考える」
いや、居ないだろ。
自分でいうのもなんだが、私みたいなのが二人もいたら困るだろう、国王が。
肩書きが迷子になるような令嬢だぞ?
見た目だって、こんなつり目のぐるぐるパーマだし……。
「にいにならもっと好条件のお方を射止められますわ」
切実に拳を握りしめた。
「……僕、今遠回しに告ーーー」
「そうだっ、ニコラス家で夜会を開きましょう!婚活パーティーです!チェニー!」
「いや、だからーーー」
「了解しました、お嬢様」
「……」
(ざまぁ)
全く相手にされていない宿敵の無様な姿に、チェニーはぷふっと意地の悪い笑みを浮かべ、用意をするべく執務室を後にするのであった。
これで自由に動き回っていた剣は鞘に納まった訳である。
今頃彼方さんは忙しくしていることだろう。
一方、私はーーー。
「……お兄様」
「にいにぃ~」
「……にいに、邪魔なんですが」
お兄様に抱き抱えられながら椅子に座らされていた。
急に私の執務室に入ってきたと思えばこれである。
「だって、サァラってば折角家に帰ってきたのに、ずっと本を読んでるんだもん。つまんなーい」
「……」
私たちはパーティーが終わり次第、公爵家に戻ってきた。
それからはファニと遊ぶか本を読むかしかしていない。
もちろん、仕事はしているが、元より豊かな土地である公爵家のため政策には困っていない。
現在進行形で上下水道を作っているくらいかな?
魔法の研究も学生生活中に一段落付いてしまったので、なにかと暇ではある。
それを知っているお兄様は自信は暇では無いくせに、ハイスピードで仕事を終わらせては公爵家に帰って私に突っ掛かっているというわけだ。
「……そうですね、私もそろそろちゃんと婚活しなくては、ですかね」
「それは駄目」
「じゃあにいにも早く婚約者の一人や二人、見つけてきてください」
「……サァラと似た娘なら考える」
いや、居ないだろ。
自分でいうのもなんだが、私みたいなのが二人もいたら困るだろう、国王が。
肩書きが迷子になるような令嬢だぞ?
見た目だって、こんなつり目のぐるぐるパーマだし……。
「にいにならもっと好条件のお方を射止められますわ」
切実に拳を握りしめた。
「……僕、今遠回しに告ーーー」
「そうだっ、ニコラス家で夜会を開きましょう!婚活パーティーです!チェニー!」
「いや、だからーーー」
「了解しました、お嬢様」
「……」
(ざまぁ)
全く相手にされていない宿敵の無様な姿に、チェニーはぷふっと意地の悪い笑みを浮かべ、用意をするべく執務室を後にするのであった。
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