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学園編

133 面会

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「お疲れ様ー」

パーティーは筒がなく終わり、私は棒読みが常の部下から報告を受けた。

「手筈通りかしら?」
「うん、よゆーでクリア。くまなく抹殺した」

いつも無表情な彼がほんのり嬉しそうということは、それなりな強者がいたのだろう。

「……怪我してないでしょうね?」
「モチロン」

私は怪しいと、じっくり観察して……もわからないので鑑定魔法を使う。

「……その肩の傷は?随分ざっくりいってるわね」
「……ちっ」

おい、今舌打ちしましたよ、この影。

「……傷見ると思い出すから。サラ様、綺麗に治すじゃん」
私はけろりとそう言ってのける部下に呆れた。
戦闘狂にも程がある。

「じゃあ、無理矢理治しまーす『氷牢アイスプリズン』」
「あっ!止めて、折角受けたのに!」

久しぶりの攻防戦は、今回も私の勝ちであった。

「ーーーじゃあ、仕事しまーす……」
「ちゃんと、起きててね?」

傷をわざと負った部下を無理矢理治して、私の護衛という仕事に戻らせた。
あいつ、私のときにのみ護衛にやる気がない。
まあ私がサーチして影より先に対処してしまうからなのだが。

私は天井へと消えていった影を見送り、静かに歩きだす。
向かう先は、王城に唯一ある客間という名の牢獄。
そこには見知った顔……というか、色がいた。

「……!!」
「ごきげんよう、メロディさん」

メロディは驚愕して、その表情を憤怒に変えていく。

「っこの、悪役令嬢が!!!」
「ふふふ、負け犬の遠吠えかしらね」

私が嘲笑うように言うと、ますます顔を赤らめる。
パーティーの際、近衛たちに連れ去られた二人は片や部屋で軟禁、片や牢送りになった。
まさか捕まえられるのだと思っていなかったメロディは、牢に入れられてもなお暴れたので、魔力吸収の手枷をはめられている。
お陰でぐったりとしているので、表情で訴えはしても、椅子の上からは動かない。

「……さて、今後の貴女の処遇のことだけれど、貴女は今から男爵令嬢では無くなるわ。代わりにといってはあれだけれど、貴女はとある侯爵家に養子として入ってもらい、侯爵令嬢になってもらいます」
「……地方に閉じ込めるってこと?」

「あら、違うわよ?確かに地方だけれど、国の三大侯爵家って分かるかしらね?貴女はその家の私生子……あー、使用人と当主の間に生まれた子供だとわかったからね」
「ーーーまさか……。ふ、ふふふふふ……!じゃあ、あんたに命令出来るのね!ここから出せ!!!」

ーーーん~、どうしてそう思ったのかしら?
あ、偉い貴族になったからってこと?
だとしたらメロディ、爵位とか分からない感じね。

「いえ、それは私に命令しようとしなくてもその内待っていたら出られるわ。ここは牢ではなく、客間なのよ?」
……あくまでね。

「そうなの?じゃあ命令損じゃん!」
「そうね、真偽のほどは定かではないけれど」

私はにこりと作り笑い。
上から部下の嗤う声が聞こえる気がした。
あれは後からお説教するとして、相手がメロディで良かったと内心息を吐く。

「ねぇ、いつここから出られるの?」
窓もない部屋で、そうだと悟っているのか、横暴に問われた言葉の裏には不安が見隠れしていた。
「ああ、もうすぐお迎えが来るわ。それまで待っていてちょうだい」
なるべく笑顔で、ゆっくり言う。

「では、さようなら」
私は牢獄を後にした。
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