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学園編
74 約束のもの
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『サラー、菓子くれー』
「あ、ソォーさん。こんにちわ」
期末考査も終わって、いよいよ夏休みに入る三日前。
ひょっこりと地の妖精王であるソォーが現れた。
褐色で幼さを表す丸みを帯びた柔肌と、左右に垂らすツインテールが可愛らしい。
私はソォーを歓迎するべく、急いで棚から茶と菓子を取り出し、机に置く。
今日は極東から仕入れた緑茶だ。
『ん?なんじゃこれ?青い、紅茶か?』
「ふふっ、これは東方のお茶ですの。『煎茶』と言うそうですわ。今日のお菓子にはこれが合うと思って、入手しましたの」
今日のお菓子という単語で、ソォーが反応する。
ソォーの目がキラキラと輝くのを確認して、私はお菓子の入ったカンカンを開いた。
そう、煎餅である。
『ふぉおおお~!』
醤油や磯の香りがふわりと香り、食欲をそそる。
懐かしいそれは、賢者時代によく食べたもので、自然と和む雰囲気を持つものだ。
胡麻はもちろん、ついでに海苔も用意している。
塩も向こうのものを使い、本格的だ。
「こちらは、フェルさんたち用のお土産です」
私は箱とは別に皿に菓子を盛ったものも机に置く。
『これは、食べていいんじゃな?』
「はい、召し上がれ」
そう言うと、真っ先に胡麻煎餅に手を付けた。
よほど楽しみにしていたのだろうか。
ソォーががっつき気味で煎餅を口にいれると、パリッと美味しそうな音がする。
醤油煎餅はこれが初だと思うので、反応が楽しみだ。
私も一応醤油煎餅を一枚口にした。
うん、美味しい。
私は煎餅は醤油派なので作ってよかったと苦労分の対価を感じた。
その間もソォーは無言で煎餅にかぶりつく。
あっという間に食べ終わってパサついた口を潤すために茶を取った。
ごくごくと音を鳴らし、嚥下する。
『ぷはっ!うまいっ!良い味と食感だ、サラっ!』
「お口に合って良かったですわ」
『うむ、これならルスピニーたちも喜ぶだろう。ルリミアの奴も好みそうな味じゃ』
ルリミアは、甘いものは好きだが、大好きというほどではないので、好みが今まで不明だったのだが、成る程香ばしいものが好きなのだろうか?
『光のは味より香りが好みなのじゃ』
予想は的中だったらしく、香りが好きらしい。
ふむ、次は香水か香り袋でも作ってみるか……。
ソォーは茶の葉を要求して、満足げに消えていった。
ソォーが帰ったところで、部屋にチェニーが入ってくる。
妖精王たちは基本、私との一対一を望むので、チェニーには控えてもらっていたのだ。
「お嬢様、タファ様がいらっしゃっています」
「あら、待たせてしまったかしら?通して頂戴」
「畏まりました」と一礼してお兄様を呼びに行った。
しかし、お兄様が来たことを伝えないのはわざとなのかしら?
なぜなのか知らないが、メイドことチェニーと、お兄様は犬猿の仲である。
決して表には出さない二人だが、そばにいれば常に睨めつけ合い、相手の遣り損じを探り合う。
しかし、二人とも優秀なので、なかなか言い合いになることはない。
その大体はお兄様のシスコンからくるものが多いが、それはお兄様のせいなので、反論しない。
うーむ、チェニーは生真面目だからかねぇ?
それが、同種(片やシスコン片やお嬢様命)であることが原因であるということはサラは知りもしないのであった。
「あ、ソォーさん。こんにちわ」
期末考査も終わって、いよいよ夏休みに入る三日前。
ひょっこりと地の妖精王であるソォーが現れた。
褐色で幼さを表す丸みを帯びた柔肌と、左右に垂らすツインテールが可愛らしい。
私はソォーを歓迎するべく、急いで棚から茶と菓子を取り出し、机に置く。
今日は極東から仕入れた緑茶だ。
『ん?なんじゃこれ?青い、紅茶か?』
「ふふっ、これは東方のお茶ですの。『煎茶』と言うそうですわ。今日のお菓子にはこれが合うと思って、入手しましたの」
今日のお菓子という単語で、ソォーが反応する。
ソォーの目がキラキラと輝くのを確認して、私はお菓子の入ったカンカンを開いた。
そう、煎餅である。
『ふぉおおお~!』
醤油や磯の香りがふわりと香り、食欲をそそる。
懐かしいそれは、賢者時代によく食べたもので、自然と和む雰囲気を持つものだ。
胡麻はもちろん、ついでに海苔も用意している。
塩も向こうのものを使い、本格的だ。
「こちらは、フェルさんたち用のお土産です」
私は箱とは別に皿に菓子を盛ったものも机に置く。
『これは、食べていいんじゃな?』
「はい、召し上がれ」
そう言うと、真っ先に胡麻煎餅に手を付けた。
よほど楽しみにしていたのだろうか。
ソォーががっつき気味で煎餅を口にいれると、パリッと美味しそうな音がする。
醤油煎餅はこれが初だと思うので、反応が楽しみだ。
私も一応醤油煎餅を一枚口にした。
うん、美味しい。
私は煎餅は醤油派なので作ってよかったと苦労分の対価を感じた。
その間もソォーは無言で煎餅にかぶりつく。
あっという間に食べ終わってパサついた口を潤すために茶を取った。
ごくごくと音を鳴らし、嚥下する。
『ぷはっ!うまいっ!良い味と食感だ、サラっ!』
「お口に合って良かったですわ」
『うむ、これならルスピニーたちも喜ぶだろう。ルリミアの奴も好みそうな味じゃ』
ルリミアは、甘いものは好きだが、大好きというほどではないので、好みが今まで不明だったのだが、成る程香ばしいものが好きなのだろうか?
『光のは味より香りが好みなのじゃ』
予想は的中だったらしく、香りが好きらしい。
ふむ、次は香水か香り袋でも作ってみるか……。
ソォーは茶の葉を要求して、満足げに消えていった。
ソォーが帰ったところで、部屋にチェニーが入ってくる。
妖精王たちは基本、私との一対一を望むので、チェニーには控えてもらっていたのだ。
「お嬢様、タファ様がいらっしゃっています」
「あら、待たせてしまったかしら?通して頂戴」
「畏まりました」と一礼してお兄様を呼びに行った。
しかし、お兄様が来たことを伝えないのはわざとなのかしら?
なぜなのか知らないが、メイドことチェニーと、お兄様は犬猿の仲である。
決して表には出さない二人だが、そばにいれば常に睨めつけ合い、相手の遣り損じを探り合う。
しかし、二人とも優秀なので、なかなか言い合いになることはない。
その大体はお兄様のシスコンからくるものが多いが、それはお兄様のせいなので、反論しない。
うーむ、チェニーは生真面目だからかねぇ?
それが、同種(片やシスコン片やお嬢様命)であることが原因であるということはサラは知りもしないのであった。
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