上 下
41 / 165
幼少期編

11 これから

しおりを挟む
ここでは鐘の音に合わせて食事を取ったり、寝起きをする。
鐘は全部で八回、三時間毎に鳴る。
鳴り方はなぜか学校のチャイムのようなのがちょっとネックだが。
丁度六の鐘が鳴って、兄の勉強(今日の分)が全て終了した。
昼食後、数学・歴史・作法・薬学・政治などなどといろいろなものに押し潰された気がする。
数学や薬学、政治は元より知識があるから良いものの、なぜこの年になってまで勉強に押し潰さればならないのか。
まるで、受験生のような突き詰め具合で正直驚いた。
お兄様がこんな(シスコン重症)になってしまったのはこれのせいではないかと思うほどだ。
改めて兄に尊敬する、私は無理。
第一私は興味のないことに対して全くと言っていいほど努力ができないやつだった。
一応体裁もあるので最低限もしくは一般並みまでしか許容出来ないでいたのだ。
だからこそ、兄の努力に感心するし、尊敬する。
妹としては多少の心配があるが、努力しているものに水を指すのはなんなので、小さな気遣い程度でと心がけておく。
とまあこれは置いといて、これでこの世界での学問のあり方が分かった。
数学に関しては、足し算引き算までで、高等学校および、研究員たちによって今掛け算とゼロが解明されかけという感じらしい。
いや、遅すぎでしょとも思わなくはないが、大抵のことが魔法に頼るため、学問的な技術が発展しにくいのはあるだろう。
しかも、現在隣国では戦争が行われているらしく、この国でも王権が交代するまで戦争が続いたらしく、どうしても武力の方に力が寄り勝ちだった。
遅すぎる学問にイライラが募りそうなものだが、まだ幼児な私がなにかしら出来ることなどない。
逆にやったら命の危機かもしれないし、まだては出せないのだ。
数学はこれくらいか、次は歴史だが、これに関しては全くと言っていいほどに前世と違うものだった。
歴史と言っても今世じゃわからないことも多いし、人間が生まれてからの年数もそれほどたっていないことから、内容は薄め。
それに、神々の存在を強く信じているからか、半ば聖書の如くなっている。
………一からだね。
さて次、政治はどうでもいいか。
薬学これはほとんど変わらなかった。
やっぱり、あまり進んではいないが、数学に比べれば大分良い進み具合だと思う。
一つ言えば、薬学なのにほぼ全てが魔法を経由しているものであるというのが気になる。
予測だが、薬学は宗教と関連している可能性が高い。
最後は作法だが…、やりたくないのが本音だ。
精神が大人な分幼児としては大分礼儀を身に付けている方ではあるだろうが、貴族としては足りないだろう。
しかも、前世では縁の無かった社交なるものがあるために、避けては通れなさそうだ。
あ~~~、勉強は嫌いだよぉ…、引きこもり万歳。
残念だがここは腹をくくって頑張るしかないだろう、でなければ両親や家に迷惑がかかるのだから。
前世で親不孝だった分といっては変だろうが、親孝行をしてやりたい。
よし、やるか。
私は決意を新たに、今後の人生設計を始めたのであった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?

gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。 そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて 「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」 もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね? 3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。 4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。 1章が書籍になりました。

【完結】令嬢が壁穴にハマったら、見習い騎士達に見つかっていいようにされてしまいました

雑煮
恋愛
おマヌケご令嬢が壁穴にハマったら、騎士たちにパンパンされました

貧乏男爵家の末っ子が眠り姫になるまでとその後

空月
恋愛
貧乏男爵家の末っ子・アルティアの婚約者は、何故か公爵家嫡男で非の打ち所のない男・キースである。 魔術学院の二年生に進学して少し経った頃、「君と俺とでは釣り合わないと思わないか」と言われる。 そのときは曖昧な笑みで流したアルティアだったが、その数日後、倒れて眠ったままの状態になってしまう。 すると、キースの態度が豹変して……?

【完結】亡き冷遇妃がのこしたもの〜王の後悔〜

なか
恋愛
「セレリナ妃が、自死されました」  静寂をかき消す、衛兵の報告。  瞬間、周囲の視線がたった一人に注がれる。  コリウス王国の国王––レオン・コリウス。  彼は正妃セレリナの死を告げる報告に、ただ一言呟く。 「構わん」……と。  周囲から突き刺さるような睨みを受けても、彼は気にしない。  これは……彼が望んだ結末であるからだ。  しかし彼は知らない。  この日を境にセレリナが残したものを知り、後悔に苛まれていくことを。  王妃セレリナ。  彼女に消えて欲しかったのは……  いったい誰か?    ◇◇◇  序盤はシリアスです。  楽しんでいただけるとうれしいです。    

【完結】誰にも相手にされない壁の華、イケメン騎士にお持ち帰りされる。

三園 七詩
恋愛
独身の貴族が集められる、今で言う婚活パーティーそこに地味で地位も下のソフィアも参加することに…しかし誰にも話しかけらない壁の華とかしたソフィア。 それなのに気がつけば裸でベッドに寝ていた…隣にはイケメン騎士でパーティーの花形の男性が隣にいる。 頭を抱えるソフィアはその前の出来事を思い出した。 短編恋愛になってます。

【完結】今夜さよならをします

たろ
恋愛
愛していた。でも愛されることはなかった。 あなたが好きなのは、守るのはリーリエ様。 だったら婚約解消いたしましょう。 シエルに頬を叩かれた時、わたしの恋心は消えた。 よくある婚約解消の話です。 そして新しい恋を見つける話。 なんだけど……あなたには最後しっかりとざまあくらわせてやります!! ★すみません。 長編へと変更させていただきます。 書いているとつい面白くて……長くなってしまいました。 いつも読んでいただきありがとうございます!

【完結】婚約者の義妹と恋に落ちたので婚約破棄した処、「妃教育の修了」を条件に結婚が許されたが結果が芳しくない。何故だ?同じ高位貴族だろう?

つくも茄子
恋愛
国王唯一の王子エドワード。 彼は婚約者の公爵令嬢であるキャサリンを公の場所で婚約破棄を宣言した。 次の婚約者は恋人であるアリス。 アリスはキャサリンの義妹。 愛するアリスと結婚するには「妃教育を修了させること」だった。 同じ高位貴族。 少し頑張ればアリスは直ぐに妃教育を終了させると踏んでいたが散々な結果で終わる。 八番目の教育係も辞めていく。 王妃腹でないエドワードは立太子が遠のく事に困ってしまう。 だが、エドワードは知らなかった事がある。 彼が事実を知るのは何時になるのか……それは誰も知らない。 他サイトにも公開中。

逃した番は他国に嫁ぐ

基本二度寝
恋愛
「番が現れたら、婚約を解消してほしい」 婚約者との茶会。 和やかな会話が落ち着いた所で、改まって座を正した王太子ヴェロージオは婚約者の公爵令嬢グリシアにそう願った。 獣人の血が交じるこの国で、番というものの存在の大きさは誰しも理解している。 だから、グリシアも頷いた。 「はい。わかりました。お互いどちらかが番と出会えたら円満に婚約解消をしましょう!」 グリシアに答えに満足したはずなのだが、ヴェロージオの心に沸き上がる感情。 こちらの希望を受け入れられたはずのに…、何故か、もやっとした気持ちになった。

処理中です...