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2章 芸能界デビュー編
秋吉小町との初仕事 1
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翌日以降も大変な学園生活を過ごした俺は、小町との収録日を迎え、神里さんの車で移動していた。
「今日の収録は声優である秋吉小町さんとのラジオ収録です。生放送ではないので安心して収録に臨んでください」
「分かりました」
俺の初仕事は小町との収録となる。
そのことをメッセージで伝えたら『ウチがクロ先輩の初めてを奪ったってことですね!』と誤解しそうな発言をしていた。
「そういえば小町さんとは知り合いとお聞きしました。どこで接点があったのですか?」
「あ、小町は俺と紫乃の幼馴染なんですよ。中学の頃、小町が引っ越したので小町との交流は無くなりましたが、今年、小町が俺と同じ大学に通うようになって交流が増えました」
引っ越して以降は会ってなかったので、小町が声優デビューした時は驚いたし、大学内で小町から声をかけられた時も驚いた。
「昔は紫乃を交えた3人でよく遊んでました。再会してからは小町が人気声優なので遊んではいませんが、大学内では時々話してますよ」
今では大学内で話す程度しか交流はないが、いつも『クロ先輩っ!』と駆け寄ってくるので嫌われてはいないと思う。
ちなみに昔は俺のことを「先輩」と呼んでいなかったが、大学内で再会してからは俺のことを「先輩」と呼んでいる。
そんな話をしながら車で収録場所へ向かっていると、一つの建物に到着する。
俺は神里さんに促され建物内へ入ると「あっ!クロせんぱーいっ!」との声が聞こえてきた。
「おはようございます、先輩っ!」
「おはよう、小町。今日も元気だな」
「ウチの取り柄は元気ですから!」
そう言って可愛い笑みを向ける。
秋吉小町。
薄い赤色の髪を肩のあたりで切り揃えており、愛嬌のある顔立ちをした美少女。
背は低く胸も小さいことがコンプレックスらしいが、それを補うくらい魅力的な笑顔をしている。
「ウチ、先輩のことずーっと待ってました。今から休憩室に行くなら案内しますよ?」
その提案に俺は神里さんを見る。
「私はここでやることがあるので小町さんに案内をお願いします。休憩室に荷物を置いたらディレクターがいる部屋まで来てください」
「分かりました」
とのことで神里さんと別れ、俺は小町についていく。
その道中…
「見て!あの人がクロ様よ!」
「きゃぁぁっ!やっぱり生のクロ様はカッコいいっ!」
「写真集で見るよりも数百倍カッコいいね!」
「今は小町さんがいて話かけにくいから後で話しかけよ!」
等々、俺を見て盛り上がる女性スタッフたち。
「さすがクロ先輩。女性スタッフたちからチヤホヤされてますね」
「あはは……全然慣れないけど」
大学内でも女子大生からチヤホヤされているが、全く慣れる気配はない。
「ウチがいなかったら今頃クロ先輩の近くに女性スタッフが集まってましたね」
「だな。小町が気を利かせて俺のことを待っててくれたおかげだ。ありがと、小町」
俺は小町に笑顔で感謝を伝える。
「~~~っ!そ、その顔は反則です!ある程度耐性のあるウチでなかったら天に召されてましたよ!」
「ご、ごめん?」
どうやら俺の顔には浄化作用があるらしいが、俺の素顔を何度も見ている小町は問題ないみたいだ。
そんなことを思っていると小町が「こほんっ!」と咳払いを挟み、話題を変える。
「先輩がどういった経緯でデビューすることになったかは紫乃ちゃんから聞きました。そして自分自身の自己評価が間違っていたことにも気づいたみたいですね」
「あぁ」
小町からも俺の自己評価は間違っていると言われていたため、俺の自己評価が正されたことを知り、嬉しそうな顔をする。
「良かったです!先輩の間違った自己評価のせいでウチはお手上げ状態でしたから!ようやく次のステップに移ることができます!」
「そうか、よく分からんが心配かけたな」
次のステップというのは全く分からなかったが、俺の自己評価のせいで苦労をかけてしまったことは理解した。
「はいっ!先輩の素顔をたくさんの人が知ってしまったことは想定外ですが、ウチは頑張ります!」
「……?おう、頑張ってくれ」
後半から話の内容についていけなかったため、とりあえず応援しておく。
そんな会話をしていると休憩室へ辿り着き、俺は荷物を置いてディレクターのいる部屋へと向かう。
「おはよう、クロくん。今日はよろしく」
「あ、はいっ!お願いします!」
俺はディレクターの羽柴さんへ挨拶をする。
羽柴さんは今から収録するラジオ番組でディレクターを務める男性で、パーソナリティを務める小町とイヤホンやマイクで連絡を取り、収録を進める役割を担っている。
年齢は50歳後半でディレクター歴も長い方だ。
「近くで見ると本当にイケメンだな。小町ちゃんがクロくんとの共演を薦めた理由がわかったぞ」
「そっ、そんなことは言わなくていいんです!」
羽柴さんの言葉に顔を真っ赤にして慌て出す小町。
「ははっ!確かにそうだな。じゃあ俺は準備に戻るから、しばらくそこで待っててくれ」
と言って羽柴さんが他のスタッフのもとへ向かう。
「ホント羽柴さんは要らない事ばかり言います」
どこか諦めたようなトーンで呟く。
おそらく今までも羽柴さんの言葉に振り回され続けたのだろう。
「別に要らない言葉じゃないだろ。俺も小町と仕事できて嬉しいんだから。むしろ小町もそう思ってくれて俺は嬉しかったぞ」
「っ!せ、先輩もそう思ってたんですね……」
どこか諦めたような表情から一転、ニマニマと嬉しそうな顔となる。
「だから今日は目一杯楽しもう。初めての収録だから失敗するかもしれないがサポートしてくれると助かるよ」
「はいっ!任せてください!」
その後、小町と雑談しながら収録開始まで過ごした。
「今日の収録は声優である秋吉小町さんとのラジオ収録です。生放送ではないので安心して収録に臨んでください」
「分かりました」
俺の初仕事は小町との収録となる。
そのことをメッセージで伝えたら『ウチがクロ先輩の初めてを奪ったってことですね!』と誤解しそうな発言をしていた。
「そういえば小町さんとは知り合いとお聞きしました。どこで接点があったのですか?」
「あ、小町は俺と紫乃の幼馴染なんですよ。中学の頃、小町が引っ越したので小町との交流は無くなりましたが、今年、小町が俺と同じ大学に通うようになって交流が増えました」
引っ越して以降は会ってなかったので、小町が声優デビューした時は驚いたし、大学内で小町から声をかけられた時も驚いた。
「昔は紫乃を交えた3人でよく遊んでました。再会してからは小町が人気声優なので遊んではいませんが、大学内では時々話してますよ」
今では大学内で話す程度しか交流はないが、いつも『クロ先輩っ!』と駆け寄ってくるので嫌われてはいないと思う。
ちなみに昔は俺のことを「先輩」と呼んでいなかったが、大学内で再会してからは俺のことを「先輩」と呼んでいる。
そんな話をしながら車で収録場所へ向かっていると、一つの建物に到着する。
俺は神里さんに促され建物内へ入ると「あっ!クロせんぱーいっ!」との声が聞こえてきた。
「おはようございます、先輩っ!」
「おはよう、小町。今日も元気だな」
「ウチの取り柄は元気ですから!」
そう言って可愛い笑みを向ける。
秋吉小町。
薄い赤色の髪を肩のあたりで切り揃えており、愛嬌のある顔立ちをした美少女。
背は低く胸も小さいことがコンプレックスらしいが、それを補うくらい魅力的な笑顔をしている。
「ウチ、先輩のことずーっと待ってました。今から休憩室に行くなら案内しますよ?」
その提案に俺は神里さんを見る。
「私はここでやることがあるので小町さんに案内をお願いします。休憩室に荷物を置いたらディレクターがいる部屋まで来てください」
「分かりました」
とのことで神里さんと別れ、俺は小町についていく。
その道中…
「見て!あの人がクロ様よ!」
「きゃぁぁっ!やっぱり生のクロ様はカッコいいっ!」
「写真集で見るよりも数百倍カッコいいね!」
「今は小町さんがいて話かけにくいから後で話しかけよ!」
等々、俺を見て盛り上がる女性スタッフたち。
「さすがクロ先輩。女性スタッフたちからチヤホヤされてますね」
「あはは……全然慣れないけど」
大学内でも女子大生からチヤホヤされているが、全く慣れる気配はない。
「ウチがいなかったら今頃クロ先輩の近くに女性スタッフが集まってましたね」
「だな。小町が気を利かせて俺のことを待っててくれたおかげだ。ありがと、小町」
俺は小町に笑顔で感謝を伝える。
「~~~っ!そ、その顔は反則です!ある程度耐性のあるウチでなかったら天に召されてましたよ!」
「ご、ごめん?」
どうやら俺の顔には浄化作用があるらしいが、俺の素顔を何度も見ている小町は問題ないみたいだ。
そんなことを思っていると小町が「こほんっ!」と咳払いを挟み、話題を変える。
「先輩がどういった経緯でデビューすることになったかは紫乃ちゃんから聞きました。そして自分自身の自己評価が間違っていたことにも気づいたみたいですね」
「あぁ」
小町からも俺の自己評価は間違っていると言われていたため、俺の自己評価が正されたことを知り、嬉しそうな顔をする。
「良かったです!先輩の間違った自己評価のせいでウチはお手上げ状態でしたから!ようやく次のステップに移ることができます!」
「そうか、よく分からんが心配かけたな」
次のステップというのは全く分からなかったが、俺の自己評価のせいで苦労をかけてしまったことは理解した。
「はいっ!先輩の素顔をたくさんの人が知ってしまったことは想定外ですが、ウチは頑張ります!」
「……?おう、頑張ってくれ」
後半から話の内容についていけなかったため、とりあえず応援しておく。
そんな会話をしていると休憩室へ辿り着き、俺は荷物を置いてディレクターのいる部屋へと向かう。
「おはよう、クロくん。今日はよろしく」
「あ、はいっ!お願いします!」
俺はディレクターの羽柴さんへ挨拶をする。
羽柴さんは今から収録するラジオ番組でディレクターを務める男性で、パーソナリティを務める小町とイヤホンやマイクで連絡を取り、収録を進める役割を担っている。
年齢は50歳後半でディレクター歴も長い方だ。
「近くで見ると本当にイケメンだな。小町ちゃんがクロくんとの共演を薦めた理由がわかったぞ」
「そっ、そんなことは言わなくていいんです!」
羽柴さんの言葉に顔を真っ赤にして慌て出す小町。
「ははっ!確かにそうだな。じゃあ俺は準備に戻るから、しばらくそこで待っててくれ」
と言って羽柴さんが他のスタッフのもとへ向かう。
「ホント羽柴さんは要らない事ばかり言います」
どこか諦めたようなトーンで呟く。
おそらく今までも羽柴さんの言葉に振り回され続けたのだろう。
「別に要らない言葉じゃないだろ。俺も小町と仕事できて嬉しいんだから。むしろ小町もそう思ってくれて俺は嬉しかったぞ」
「っ!せ、先輩もそう思ってたんですね……」
どこか諦めたような表情から一転、ニマニマと嬉しそうな顔となる。
「だから今日は目一杯楽しもう。初めての収録だから失敗するかもしれないがサポートしてくれると助かるよ」
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