4 / 19
1章 プロローグ
間違った自己評価
しおりを挟む
「………え?なんで俺が『読モ』の表紙を飾ってるんだ?」
衝撃の事実に、表紙を見ながら固まる。
「あ、お兄ちゃん!雑誌届いたんだね!」
すると近くに来た紫乃が話しかけ、俺が手に持っている『読者モデル』Styleを覗き込む。
「おー!ホントにお兄ちゃんが表紙を飾ってるよ!しかも表紙に『クロ』って名前も書かれてる!お兄ちゃん、有名人だね!」
今回、雑誌の掲載にあたり、俺の芸名は『クロ』にした。
そのため、俺の顔の横には『超絶イケメン、クロ様爆誕っ!』と書かれていた。
「全く嬉しくないんだが。ってかなんで俺が表紙を飾ってんだよ」
「あっ、それなら私がお兄ちゃんを表紙で使うように頼んだからだよ!」
「………は?」
「私がお兄ちゃんを表紙で使うように頼んだからだよ!」
「いや聞こえとるわ」
紫乃の行動理由が理解できない。
(てか、どうやって俺を表紙にさせたんだよ……)
そう思うが、その疑問は一旦置いておく。
「なんでそんなことをしたんだ?」
「そんなの、お兄ちゃんに自信を持ってほしいからだよ」
そう言って真剣な表情をする。
「私、常々思ってたんだ。お兄ちゃんは自己評価が低すぎるって。何でもかんでも『できない』と言って自分の価値を下げてる。本当は優秀なお父さんの血を受け継いだハイスペックお兄ちゃんなのに」
ハイスペックお兄ちゃんという造語は初めて聞いたが、紫乃の言いたいことは理解できる。
だが俺は自分自身の評価を間違えているとは思えない。
「そんなことないって思ってるね」
俺の顔からそう理解した紫乃が言葉を続ける。
「じゃあお兄ちゃんが思ってる自己評価を私が訂正してあげる。何でも言って」
そう言われ、俺は紫乃に問いかける。
「俺は勉強もスポーツも普通並みの男だと思ってる」
「そんなことないよ。お兄ちゃんは勉強もできてスポーツは泳ぐこと以外全て優秀だよ」
「……俺には自慢できるところが何も無いと思ってる」
「そんなことないよ。お兄ちゃんは優しくてカッコいいし、困ってる私をいつも助けてくれる」
そう言って俺の良いところを列挙してくれる。
そして最後に真剣な表情で…
「だから私はお兄ちゃんのことを自慢のお兄ちゃんって思ってるよ」
そう言ってくれた。
その表情から紫乃が嘘を言ってるようには見えない。
「それにこれを見て」
そう言ってスマホを取り出した紫乃がとある画面を見せる。
そこには…
『待って!?クロ様カッコよすぎるんだけど!』
『クロ様に一目惚れした私。気がつけばクロ様のことを3時間も眺めていた』
『こんなイケメンが世の中にいたなんて!今まで見てきたイケメンアイドルや俳優が霞むくらいカッコいい!今日からクロ様が私の推しです!』
等々、俺が表紙を飾る『読者モデル』Styleを見た人たちが俺のことを絶賛していた。
しかも俺の表紙を見て買った人が大半らしく、買った人たちは大満足のようだ。
「お兄ちゃんは世の女性たちが一目惚れするくらいカッコいいの。いつもいつも自分の容姿を悪く言ってるけど、お兄ちゃんはカッコいいんだよ。あとこれも見て」
そう言った紫乃がスマホを触り、とある画面を見せる。
「……え、トレンド1位が『クロ様』なんだけど」
「そうだよ。お兄ちゃんの名前がトレンド1位になってる。それくらいお兄ちゃんはカッコ良いの」
他にも俺が表紙を飾った『読モ』の雑誌名であるStyleの名前や出版社の名前などが軒並み上位にランクインしているため、今回の『読モ』によってトレンド1位を獲得したことは明白。
何故俺のことを様付けしてるかは分からないが、表紙に書かれた『クロ様爆誕っ!』が原因だろう。
「ちなみにお兄ちゃんが表紙を飾ったStyleは12時の段階で全て完売したらしいよ」
「……マジ?」
「うん。SNSでは買えなかった女の子たちが悲鳴をあげてるからね」
どれくらい販売したかは分からないが、半日で完売は凄すぎる。
「完売続出の理由はお兄ちゃんの表紙。皆んな、お兄ちゃんの表紙を見て買ったんだよ。何度も言うけど一目見たら買いたくなるくらい、お兄ちゃんはカッコいいの」
「そ、そうだったんだ。今まで俺の素顔を見た人たちが気絶したり固まったりしてたから、思考が停止するくらい醜い顔をしてるのかと思ってたよ」
「そんなことないよ。みんなお兄ちゃんのカッコ良さに固まってたんだから」
衝撃の事実に俺は理解が追いつかないが、嘘を言っている様子はなく、SNSの反応からも冗談では無いだろう。
「つまり俺の自己評価は間違ってたのか……」
自慢できるところなんて何も無いと思ってた俺を紫乃は『自慢のお兄ちゃん』と言ってくれた。
それだけで俺には誇れるところが沢山あると思えた。
「俺は父さんが亡くなってから自分の能力を過信しないようにしていた。だが、これからは自分自身をしっかりと再評価しなければならないようだ」
そう呟いた俺は紫乃を見る。
「ありがとう、紫乃。気づかせてくれて。今はまだ容姿しか自慢できるところはないが、これからしっかり自己分析して、紫乃がもっともっと自慢できるお兄ちゃんになるよ」
「うんっ!期待してるね!」
そう言って紫乃が可愛い笑みを向けてくれる。
「それじゃあ髪を切っても問題ないね!」
「……そうだな」
自分の容姿に自信がなかった俺は髪を伸ばして顔を隠していたが、その必要はなくなった。
「俺の顔を見ても怖がられることがないなら切っても問題ないのか」
「うんうん!どうかな?」
紫乃の問いかけに俺は考える。
「……そうだな。俺が変わるいいキッカケになるだろう。よしっ!じゃあ切りに行くか!」
というわけで、俺は紫乃がオススメする美容院へ行くこととなった。
衝撃の事実に、表紙を見ながら固まる。
「あ、お兄ちゃん!雑誌届いたんだね!」
すると近くに来た紫乃が話しかけ、俺が手に持っている『読者モデル』Styleを覗き込む。
「おー!ホントにお兄ちゃんが表紙を飾ってるよ!しかも表紙に『クロ』って名前も書かれてる!お兄ちゃん、有名人だね!」
今回、雑誌の掲載にあたり、俺の芸名は『クロ』にした。
そのため、俺の顔の横には『超絶イケメン、クロ様爆誕っ!』と書かれていた。
「全く嬉しくないんだが。ってかなんで俺が表紙を飾ってんだよ」
「あっ、それなら私がお兄ちゃんを表紙で使うように頼んだからだよ!」
「………は?」
「私がお兄ちゃんを表紙で使うように頼んだからだよ!」
「いや聞こえとるわ」
紫乃の行動理由が理解できない。
(てか、どうやって俺を表紙にさせたんだよ……)
そう思うが、その疑問は一旦置いておく。
「なんでそんなことをしたんだ?」
「そんなの、お兄ちゃんに自信を持ってほしいからだよ」
そう言って真剣な表情をする。
「私、常々思ってたんだ。お兄ちゃんは自己評価が低すぎるって。何でもかんでも『できない』と言って自分の価値を下げてる。本当は優秀なお父さんの血を受け継いだハイスペックお兄ちゃんなのに」
ハイスペックお兄ちゃんという造語は初めて聞いたが、紫乃の言いたいことは理解できる。
だが俺は自分自身の評価を間違えているとは思えない。
「そんなことないって思ってるね」
俺の顔からそう理解した紫乃が言葉を続ける。
「じゃあお兄ちゃんが思ってる自己評価を私が訂正してあげる。何でも言って」
そう言われ、俺は紫乃に問いかける。
「俺は勉強もスポーツも普通並みの男だと思ってる」
「そんなことないよ。お兄ちゃんは勉強もできてスポーツは泳ぐこと以外全て優秀だよ」
「……俺には自慢できるところが何も無いと思ってる」
「そんなことないよ。お兄ちゃんは優しくてカッコいいし、困ってる私をいつも助けてくれる」
そう言って俺の良いところを列挙してくれる。
そして最後に真剣な表情で…
「だから私はお兄ちゃんのことを自慢のお兄ちゃんって思ってるよ」
そう言ってくれた。
その表情から紫乃が嘘を言ってるようには見えない。
「それにこれを見て」
そう言ってスマホを取り出した紫乃がとある画面を見せる。
そこには…
『待って!?クロ様カッコよすぎるんだけど!』
『クロ様に一目惚れした私。気がつけばクロ様のことを3時間も眺めていた』
『こんなイケメンが世の中にいたなんて!今まで見てきたイケメンアイドルや俳優が霞むくらいカッコいい!今日からクロ様が私の推しです!』
等々、俺が表紙を飾る『読者モデル』Styleを見た人たちが俺のことを絶賛していた。
しかも俺の表紙を見て買った人が大半らしく、買った人たちは大満足のようだ。
「お兄ちゃんは世の女性たちが一目惚れするくらいカッコいいの。いつもいつも自分の容姿を悪く言ってるけど、お兄ちゃんはカッコいいんだよ。あとこれも見て」
そう言った紫乃がスマホを触り、とある画面を見せる。
「……え、トレンド1位が『クロ様』なんだけど」
「そうだよ。お兄ちゃんの名前がトレンド1位になってる。それくらいお兄ちゃんはカッコ良いの」
他にも俺が表紙を飾った『読モ』の雑誌名であるStyleの名前や出版社の名前などが軒並み上位にランクインしているため、今回の『読モ』によってトレンド1位を獲得したことは明白。
何故俺のことを様付けしてるかは分からないが、表紙に書かれた『クロ様爆誕っ!』が原因だろう。
「ちなみにお兄ちゃんが表紙を飾ったStyleは12時の段階で全て完売したらしいよ」
「……マジ?」
「うん。SNSでは買えなかった女の子たちが悲鳴をあげてるからね」
どれくらい販売したかは分からないが、半日で完売は凄すぎる。
「完売続出の理由はお兄ちゃんの表紙。皆んな、お兄ちゃんの表紙を見て買ったんだよ。何度も言うけど一目見たら買いたくなるくらい、お兄ちゃんはカッコいいの」
「そ、そうだったんだ。今まで俺の素顔を見た人たちが気絶したり固まったりしてたから、思考が停止するくらい醜い顔をしてるのかと思ってたよ」
「そんなことないよ。みんなお兄ちゃんのカッコ良さに固まってたんだから」
衝撃の事実に俺は理解が追いつかないが、嘘を言っている様子はなく、SNSの反応からも冗談では無いだろう。
「つまり俺の自己評価は間違ってたのか……」
自慢できるところなんて何も無いと思ってた俺を紫乃は『自慢のお兄ちゃん』と言ってくれた。
それだけで俺には誇れるところが沢山あると思えた。
「俺は父さんが亡くなってから自分の能力を過信しないようにしていた。だが、これからは自分自身をしっかりと再評価しなければならないようだ」
そう呟いた俺は紫乃を見る。
「ありがとう、紫乃。気づかせてくれて。今はまだ容姿しか自慢できるところはないが、これからしっかり自己分析して、紫乃がもっともっと自慢できるお兄ちゃんになるよ」
「うんっ!期待してるね!」
そう言って紫乃が可愛い笑みを向けてくれる。
「それじゃあ髪を切っても問題ないね!」
「……そうだな」
自分の容姿に自信がなかった俺は髪を伸ばして顔を隠していたが、その必要はなくなった。
「俺の顔を見ても怖がられることがないなら切っても問題ないのか」
「うんうん!どうかな?」
紫乃の問いかけに俺は考える。
「……そうだな。俺が変わるいいキッカケになるだろう。よしっ!じゃあ切りに行くか!」
というわけで、俺は紫乃がオススメする美容院へ行くこととなった。
22
お気に入りに追加
52
あなたにおすすめの小説
髪を切った俺が『読者モデル』の表紙を飾った結果がコチラです。
昼寝部
キャラ文芸
天才子役として活躍した俺、夏目凛は、母親の死によって芸能界を引退した。
その数年後。俺は『読者モデル』の代役をお願いされ、妹のために今回だけ引き受けることにした。
すると発売された『読者モデル』の表紙が俺の写真だった。
「………え?なんで俺が『読モ』の表紙を飾ってんだ?」
これは、色々あって芸能界に復帰することになった俺が、世の女性たちを虜にする物語。
※『小説家になろう』にてリメイク版を投稿しております。そちらも読んでいただけると嬉しいです。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
こども病院の日常
moa
キャラ文芸
ここの病院は、こども病院です。
18歳以下の子供が通う病院、
診療科はたくさんあります。
内科、外科、耳鼻科、歯科、皮膚科etc…
ただただ医者目線で色々な病気を治療していくだけの小説です。
恋愛要素などは一切ありません。
密着病院24時!的な感じです。
人物像などは表記していない為、読者様のご想像にお任せします。
※泣く表現、痛い表現など嫌いな方は読むのをお控えください。
歯科以外の医療知識はそこまで詳しくないのですみませんがご了承ください。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
貞操逆転世界に無職20歳男で転生したので自由に生きます!
やまいし
ファンタジー
自分が書きたいことを詰めこみました。掲示板あり
目覚めると20歳無職だった主人公。
転生したのは男女の貞操観念が逆転&男女比が1:100の可笑しな世界だった。
”好きなことをしよう”と思ったは良いものの無一文。
これではまともな生活ができない。
――そうだ!えちえち自撮りでお金を稼ごう!
こうして彼の転生生活が幕を開けた。
クラスの双子と家族になりました。~俺のタメにハーレム作るとか言ってるんだがどうすればいい?~
いーじーしっくす
恋愛
ハーレムなんて物語の中の事。自分なんかには関係ないと思っていた──。
橋本悠聖は普通のちょっとポジティブな陰キャ。彼女は欲しいけど自ら動くことはなかった。だがある日、一人の美少女からの告白で今まで自分が想定した人生とは大きくかわっていく事になった。 悠聖に告白してきた美少女である【中村雪花】。彼女がした告白は嘘のもので、父親の再婚を止めるために付き合っているフリをしているだけの約束…の、はずだった。だが、だんだん彼に心惹かれて付き合ってるフリだけじゃ我慢できなくなっていく。
互いに近づく二人の心の距離。更には過去に接点のあった雪花の双子の姉である【中村紗雪】の急接近。冷たかったハズの実の妹の【奈々】の危険な誘惑。幼い頃に結婚の約束をした従姉妹でもある【睦月】も強引に迫り、デパートで助けた銀髪の少女【エレナ】までもが好意を示し始める。
そんな彼女達の歪んだ共通点はただ1つ。
手段を問わず彼を幸せにすること。
その為だけに彼女達は周りの事など気にせずに自分の全てをかけてぶつかっていく!
選べなければ全員受け入れちゃえばいいじゃない!
真のハーレムストーリー開幕!
この作品はカクヨム等でも公開しております。
貞操観念逆転世界におけるニートの日常
猫丸
恋愛
男女比1:100。
女性の価値が著しく低下した世界へやってきた【大鳥奏】という一人の少年。
夢のような世界で彼が望んだのは、ラブコメでも、ハーレムでもなく、男の希少性を利用した引き籠り生活だった。
ネトゲは楽しいし、一人は気楽だし、学校行かなくてもいいとか最高だし。
しかし、男女の比率が大きく偏った逆転世界は、そんな彼を放っておくはずもなく……
『カナデさんってもしかして男なんじゃ……?』
『ないでしょw』
『ないと思うけど……え、マジ?』
これは貞操観念逆転世界にやってきた大鳥奏という少年が世界との関わりを断ち自宅からほとんど出ない物語。
貞操観念逆転世界のハーレム主人公を拒んだ一人のネットゲーマーの引き籠り譚である。
男女比1:10000の貞操逆転世界に転生したんだが、俺だけ前の世界のインターネットにアクセスできるようなので美少女配信者グループを作る
電脳ピエロ
恋愛
男女比1:10000の世界で生きる主人公、新田 純。
女性に襲われる恐怖から引きこもっていた彼はあるとき思い出す。自分が転生者であり、ここが貞操の逆転した世界だということを。
「そうだ……俺は女神様からもらったチートで前にいた世界のネットにアクセスできるはず」
純は彼が元いた世界のインターネットにアクセスできる能力を授かったことを思い出す。そのとき純はあることを閃いた。
「もしも、この世界の美少女たちで配信者グループを作って、俺が元いた世界のネットで配信をしたら……」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる