スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部

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3章 7人の婚約者編

告白 5

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 ルーリエさんとフォーレを目指して出発する。

「ところで、フォーレには何の仕事で行くんですか?」

 俺は馬車を運転しているルーリエさんに話しかける。

「定期報告という目的もありますが、カミトさんとメルさんが冒険者学校の生徒たちを引き連れてダンジョンに行った時の事件を伝えに行くことがメインですね」

 ダンジョンでの事件とは、俺とユメのレベル差によって引き起こされたエンシェントドラゴンの出現だろう。
 その時、俺とユメのレベル差が4,000を越えていたため、エンシェントドラゴンという強力なモンスターが出現したが、何が起こるか分からないのがダンジョンということで、注意喚起を促すらしい。

「事件を伝えるだけじゃなくて定期報告も行うんですね。普通、定期報告となればギルドの役職持ちが行うことだと思いますが」
「あれ?カミトさんはご存知ないのですか?」
「ん?何をですか?」
「私、王都の冒険者協会で副支部長をしてるんですよ」
「へー、すごいですね……副支部長!?」

 理解するまでに時間がかかり、リアクションがワンテンポ遅れる。

「はい!」

 そんな俺を見て嬉しそうな顔をする。

「え、えーっと……ル、ルーリエさんって今、何歳ですか?」

 見た目は20代前半と言われても納得してしまう容姿をしており、メルさんよりも大きくて張りのある巨乳は若さの象徴だと思う。
 だが、たくさん職員が働いている王都の冒険者協会で副支部長を務めているということは見た目より歳をとっているのかもしれない。
 今まで気になっていたが聞く機会はなかったため、失礼だとは思うが思い切って聞いてみる。

「ふふっ、秘密です」

 しかし妖艶な笑みで秘密と言われ教えてくれない。

「でもカミトくんが責任をとってくれるなら、教えてもいいですよ?」
「せ、責任ですか?」
「そうです。乙女の秘密を知るのですから、それ相応の責任が必要となります。だから、カミトさんが責任をとってくれた時、教えますよ」

(揶揄われてるなぁ……)

 歳上の余裕というものを見せつけられている気がする。

「ちなみに、カミトさんにしか自慢しませんが、私ってすごく優良物件なんですよ?」
「そうですね。ルーリエさんは王都の冒険者協会で副支部長をされてて、優しくて綺麗な女性です。俺も優良物件だと思いますよ」

 俺は本心で思っていることを伝え、ルーリエさんの発言に同意する。

「むぅ……」

 しかし、何故か膨れっ面になる。

「あ、あれ?」
「ふんっ!カミトさんの鈍チンさん!」

 そう言ってルーリエさんは前方を向く。

(こ、これは後でご機嫌取りのようなことをした方がいいかもしれない……)

 そんなことを思った。



 その後、休憩を挟みつつ交互に馬車を運転する。

「今日はこの辺りで野宿しましょう」

 とのことで木々に包まれた静かな場所で馬車を止め、野営の準備に取り掛かる。

「私、料理が趣味なんですよ。旅行中はカミトさんにとびっきり美味しい料理を提供しますね!」
「おー!楽しみにしてます!」

 時間魔法が施されているアイテムバックに食材を入れていたため、新鮮な食材でご飯を食べることができる。
 料理はルーリエさんにお願いし、俺はテントを建てることにするがおかしな点に気がつく。

「あれ?テントが一つしか見当たりませんね。もう一つはどこにありますか?」
「テントは一つしか用意してませんので、もう一つなんてありませんよ」
「………え?」
「テントは一つしか用意してませんので、もう一つなんてありませんよ」
「いえ、聞こえてます」

 聞き返したわけではなく、言葉を理解できなかっただけだ。

「つまり、俺はルーリエさんと同じテントで寝るんですか?」
「そうなりますね!」

 何故か嬉しそうな笑顔で告げるルーリエさん。
 今回、2人で野宿をすることに加えルーリエさんは戦えないため、夜の見張りは賢者さんにお願いし、俺たちはゆっくり休む予定だ。
 しかしテントが一つしかないとなれば俺とルーリエさんは狭いテントの中で2人きりで寝ることになる。

「なるほど。アウトだと思うので俺は馬車の中で……」
「大丈夫ですよ、カミトさん!私がセーフだと思ってますので!あ、ご飯できましたね!」

 ちょうどタイミング良くご飯が完成したようで、ルーリエさんは話が終わったかのように、料理を皿に盛り付ける。

「あ、あのぉ……」
「冷めない内に食べましょう!」
「あ、はい……」

 その後、テントの話題に転換することができず、俺たちはご飯を食べ終えた。



「俺は少し辺りを警戒してから寝ますので先に寝てていいですよ」

 と言ってテントの中へ促すが何故か俺の隣に腰掛ける。

「ルーリエさん?」
「カミトさん。少しお話ししませんか?」

 真剣な表情のルーリエさんを見て、俺はテントへ促すのをやめる。

「私、リブロでカミトさんのことをずっと見てました。ソフィア会長からサポートをお願いされたという理由もありますが、スライムしか倒せないと言われ、冒険者協会で不遇な対応を受ける中、クレアちゃんのために頑張ってるカミトくんから目が離せなかったんです。だから率先してカミトさんのサポートをしてました」
「そうだったんですね。てっきり、会長からお願いされたからと思ってました」
「そんなことありませんよ。いくら会長からのお願いとはいえ、嫌な人のことを率先してサポートはしたくありません」

 確かに、俺だって嫌な人のサポートはお願いされてもしたくない。

「だから私、カミトさんの良いところをたくさん知ってます。優しいところや婚約者たち……ううん、たくさんの方々を大事にするところ。他にも数え切れないくらい良いところを知ってます」
「そ、そんなに褒められると照れますね」
「私はクレアちゃんに次いで、2番目に長くカミトさんと関わってると思ってます。だからカミトさんのことは結構見てますよ」
「た、確かに、クレアに次いで2番目に多く関わってますね」

 言われて気づく。
 俺とルーリエさんの関係は3年以上にもなっていることに。

「そんな中、私の中でとある気持ちが芽生えました。それはカミトさんなら私を幸せにしてくれるだろうって」
「………え?」

 その言葉の意味を理解する前にルーリエさんが続きの言葉を発する。

「私、ずっと前からカミトさんのことが好きです。私をカミトさんの婚約者にしてくれませんか?」

 ルーリエさんの告白が静寂に包まれた森の中に響き渡った。
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