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2章 王都編

S級冒険者へ昇格

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 セリアさんとソラさんは宿屋に残り、俺は1人で冒険者協会に到着する。

 そして中に入ると…

「アイツがメルさんと一緒にS級ダンジョン『奈落』を攻略したらしいぞ」
「ってことはアイツが新しいS級冒険者か」
「この街に2人のS級冒険者がいるのはありがたい。王都地下にあるS級ダンジョンは消滅したが、まだ王都周辺に3つもS級ダンジョンがあるからな。王都が危険な場所なのは変わりない」

 そんな会話が聞こえてくる。

「あ、カミトさん!目が覚めたんですね!」

 俺が周りの会話に注意を向けているとルーリエさんが話しかけてくる。

「ご心配をおかけしました。この通り、無事ですので」

 俺はルーリエさんを安心させるために、その場で数回ジャンプをする。

「よかったです。カミトさんが大怪我したことはメルさんから聞いてましたから」

 ルーリエさんが安堵の表情となる。

「あ、そういえばカミトさんのことを会長が呼んでました!今から案内しますね!」

 思い出したかのようにルーリエさんが発言し、俺を会長室へ案内する。
 そして案内された会長室へ入ると、ソフィアさんとメルさんがいた。

「カミト!元気になったのね!」

 何やら話し込んでいたようだったが、その会話を中断してメルさんが俺に声をかける。

「この通り怪我は治りました。メルさんにも心配をかけましたね」
「そんなこと気にしなくていいわよ。ボス戦では何の役にも立たなかったから心配くらいさせてほしいわ」
「大怪我を負ったと聞いて心配してたが元気になったんだな」
「はい。ソラさんのおかげです」
「それはよかった」

 俺の返答を聞き、メルさんとソフィアさんが心の底から安心した表情となる。

「それにしてもメルが男であるカミトくんと普通に接しているなんて……」

 俺たちのやり取りを見てソフィアさんが呟く。

「カミトくん。ダンジョンでメルと何かあったのか?」
「それ、セリアさんにも聞かれました。俺は何もなかったと思いますよ」
「そうなのか?メル?」

 質問の矛先を俺からメルさんへと変える。

「えっ!と、当然よ!何もなかったわ!全然、これっぽっちも無かったわ!」

 顔を真っ赤にしつつ一所懸命否定するメルさん。

「……何かあったんだな」
「何も無かったって言ってるでしょ!?」

 そう言って微笑ましい親子喧嘩を繰り広げる。

「もうっ!私、帰るから!カミトが元気な姿も見れたし!」

 そして可愛い顔を見せながらメルさんが部屋を出る。
 その姿を優しい目で見送ったソフィアさんが俺に向けて頭を下げる。

「メルのことを助けてくれてありがとう。30階層のボスはカミトくんが1人で戦ったと聞いてるよ」
「いえ。メルさんに怪我がなくて良かったです。なので頭を上げてください」

 そう言ってソフィアさんのお礼を受け取る。

「ありがとう。ではさっそくだが本題に入ろう。病み上がりのカミトくんに長話をするわけにはいかないからな」

 そう前置きした後、ソフィアさんが俺を呼んだ理由を話し始める。

「今回、カミトくんがS級ダンジョン『奈落』の攻略に貢献したことが評価され、カミトくんが6人目のS級冒険者に認められた」
「ま、まじですか?」
「マジだ。よってE級冒険者からS級冒険者への昇格が決まった。これがS級冒険者の証である金の冒険者カードだ。受け取ってくれ」
「あ、ありがとうございます」

 俺は素直に昇格の件を受け入れ、ソフィアさんから金の冒険者カードを受け取る。

「これでカミトくんはこの世界に6人しかいないS級冒険者の1人だ。そのカードに恥じない活躍を期待しているぞ」
「はい!」

 俺は会長に返事をして金の冒険者カードをアイテムバックに入れる。

「それと別件だが、今回、カミトくんとメルは長年悩まされていた王都地下にあるS級ダンジョンを攻略してくれた。そのことで褒美を与えたいと、女王陛下が仰った」
「え!?」

 まさか女王陛下が出てくるとは思わず、驚きの声を上げる。
 国王陛下は十数年前に亡くなったため、現在は女王陛下が王都で1番上だ。

「先程メルにも話したがメルとカミトくんは王宮へ招待されたんだ。日時はカミトくんが目覚めたら教えてほしいとのことだったからまだ未定だ」
「待ってください!俺、女王陛下にお会いすることなんてできませんよ!」

 急すぎて心の準備ができていない俺は声をあげる。

「大丈夫だ。カミトくんは礼儀正しい男だから問題ない。それにメルがカミトくんのことをサポートしてくれる予定だ。ちなみに女王陛下の娘たちもカミトくんに会うのを楽しみにしているぞ」

 そこまで言われると断ることはできない。

(まぁ、女王陛下の誘いを断る度胸なんてないから無理なんだけどね)

 そう思い俺は返事をする。

「分かりました。日時が決まったら教えてください」

 とのことで俺は王宮へ招待された。
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