上 下
70 / 169
4章 ゴールデンウィーク編

桃ちゃん家へ 6

しおりを挟む
「じゃあ、さっそく始めよー!」

 美柑さんの声かけで罰ゲーム付きのゲームが始まる。

「まずはトランプをするよ!」

 とのことで、俺たちはトランプで遊ぶため、床に腰掛ける。

「何をするんだ?」
「そうですね。ババ抜きはいかがでしょうか?」
「お、いいね」

 異論はないので、俺は素直に頷く。

「じゃあウチが配るね」

 俺の返答を聞いて美柑さんがトランプを配り始める。
 そして配り終えたトランプを受け取り、カードを整頓している時…

「美柑、サポートをお願いしますね」
「任せて、お姉ちゃん。ウチが完璧なアシストをするから」

 と、2人が何かを話している声が聞こえた。

「……どうした?」
「ううん!気にしなくていいよ!」
「……?」

 何やら怪しい気配を感じたが、コソコソ話しているだけで疑うのも悪いため、気にせずババ抜きに集中する。

(手持ちにジョーカーを持ってることを悟らせるわけにはいかないな)

 残念なことにババ抜き開始時点でジョーカーを手に入れてしまった。

「えーっと、じゃあ時計回りに手札を取っていこうか」

 時計回りに取るとのことで、俺が桃ちゃんの手札を取り、桃ちゃんが美柑さんの手札を、美柑さんが俺の手札を取る順番でババ抜きが開始する。

「あ、揃いました!」
「ウチもー!」

 最初はみんな順調に手札を減らしていく。
 俺も2人と同じように順調に手札を減らすが…

(おかしい。美柑さんが全然ジョーカーを引いてくれないぞ)

 何故か美柑さんがジョーカーを引いてくれない。
 そんな中、「あがりました!」との声が聞こえてくる。

「あー、一位はお姉ちゃんかぁ」
「そ、そのようだな」

 桃ちゃんがあがったことで、俺と美柑さんだけが残される。
 残りの枚数は俺が2枚で美柑さんが1枚。
 そして今から美柑さんが俺の手札を引く。

 美柑さんが俺の持っているジョーカーを引けば俺にも勝つチャンスが巡ってくるが…

「これだっ!」
「あーっ!」

 残念ながら美柑さんがジョーカーを引かず、あがってしまう。

「はい!リン様が罰ゲームね!」
「嘘だろ。一回も美柑さんがジョーカーを引かなかったんだが。俺、駆け引き下手だなぁ」
「ウチを騙そうなんて100年早いからね!あ、言っとくけど、書かれている罰ゲームは絶対だよー!」
「もちろんだ。罰ゲームを放り出す男はカッコ悪いからな」

 俺は美柑さんの言葉に堂々と答え、用意された箱に手を入れる。
 そして1枚の紙を取り出す。

 そこには…

『1位の人に5分間膝枕をしながら頭を撫でる』

 と書かれていた。

「……なんだ?この罰ゲームは?」
「一位の人に膝枕と頭ナデナデだね」
「いや、書いてる文字が読めなかったわけじゃないから」

 俺はボソッと美柑さんにツッコミを入れる。

「この罰ゲームはさすがに無理だろ」
「あれー?そんなこと言っていいのかなー?」

 俺の言葉に美柑さんがニコニコしながら言ってくる。

「さっきカッコいいこと言ってたよねー?」
「うっ……」

 紙を引く前にどんな罰ゲームでも受けることを堂々と宣言をしてしまった。

(桃ちゃんに嫌がられたら泣く自信があるんだが……ここはやるしかないっ!)

 俺は腹を括り、その場で正座をする。
 そして桃ちゃんを手招きして自分の太ももを“ポンポン”と叩く。

「ど、どうぞ」
「はいっ!」

 嬉しそうに答えた桃ちゃんが、俺の太ももに頭を乗せる。

「ど、どうだ?」
「ふぁぁ~。夏目様から膝枕、最高です」

 蕩け切った顔の桃ちゃんが嬉しそうな声で呟く。

「そ、そうか」

 嫌がられていないことに一安心しながら、俺は桃ちゃんの綺麗な黒髪を触る。
 そして優しく頭を撫でる。

「これくらいの力加減でいいか?」
「はい。ものすごく気持ち良いです」

 気持ちよさそうな声で言いながら、桃ちゃんが目を細める。

「お姉ちゃん、だらしない顔になってるよ……って聞いてないや」

 俺に撫でられるのが気持ち良いのか、俺の太ももの上で幸せそうな顔をしている桃ちゃん。
 そんな桃ちゃんを見て俺の頬が緩む。

(普段はビシッとしてるから、無防備な桃ちゃんがすごく可愛いく見えるぞ)

 そんなことを思いながら、俺は桃ちゃんの頭を撫で続けた。
しおりを挟む
感想 20

あなたにおすすめの小説

髪を切った俺が芸能界デビューした結果がコチラです。

昼寝部
キャラ文芸
 妹の策略で『読者モデル』の表紙を飾った主人公が、昔諦めた夢を叶えるため、髪を切って芸能界で頑張るお話。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

貞操観念逆転世界におけるニートの日常

猫丸
恋愛
男女比1:100。 女性の価値が著しく低下した世界へやってきた【大鳥奏】という一人の少年。 夢のような世界で彼が望んだのは、ラブコメでも、ハーレムでもなく、男の希少性を利用した引き籠り生活だった。 ネトゲは楽しいし、一人は気楽だし、学校行かなくてもいいとか最高だし。 しかし、男女の比率が大きく偏った逆転世界は、そんな彼を放っておくはずもなく…… 『カナデさんってもしかして男なんじゃ……?』 『ないでしょw』 『ないと思うけど……え、マジ?』 これは貞操観念逆転世界にやってきた大鳥奏という少年が世界との関わりを断ち自宅からほとんど出ない物語。 貞操観念逆転世界のハーレム主人公を拒んだ一人のネットゲーマーの引き籠り譚である。

百合系サキュバスにモテてしまっていると言う話

釧路太郎
キャラ文芸
名門零楼館高校はもともと女子高であったのだが、様々な要因で共学になって数年が経つ。 文武両道を掲げる零楼館高校はスポーツ分野だけではなく進学実績も全国レベルで見ても上位に食い込んでいるのであった。 そんな零楼館高校の歴史において今まで誰一人として選ばれたことのない“特別指名推薦”に選ばれたのが工藤珠希なのである。 工藤珠希は身長こそ平均を超えていたが、運動や学力はいたって平均クラスであり性格の良さはあるものの特筆すべき才能も無いように見られていた。 むしろ、彼女の幼馴染である工藤太郎は様々な部活の助っ人として活躍し、中学生でありながら様々な競技のプロ団体からスカウトが来るほどであった。更に、学力面においても優秀であり国内のみならず海外への進学も不可能ではないと言われるほどであった。 “特別指名推薦”の話が学校に来た時は誰もが相手を間違えているのではないかと疑ったほどであったが、零楼館高校関係者は工藤珠希で間違いないという。 工藤珠希と工藤太郎は血縁関係はなく、複雑な家庭環境であった工藤太郎が幼いころに両親を亡くしたこともあって彼は工藤家の養子として迎えられていた。 兄妹同然に育った二人ではあったが、お互いが相手の事を守ろうとする良き関係であり、恋人ではないがそれ以上に信頼しあっている。二人の関係性は苗字が同じという事もあって夫婦と揶揄されることも多々あったのだ。 工藤太郎は県外にあるスポーツ名門校からの推薦も来ていてほぼ内定していたのだが、工藤珠希が零楼館高校に入学することを決めたことを受けて彼も零楼館高校を受験することとなった。 スポーツ分野でも名をはせている零楼館高校に工藤太郎が入学すること自体は何の違和感もないのだが、本来入学する予定であった高校関係者は落胆の声をあげていたのだ。だが、彼の出自も相まって彼の意志を否定する者は誰もいなかったのである。 二人が入学する零楼館高校には外に出ていない秘密があるのだ。 零楼館高校に通う生徒のみならず、教員職員運営者の多くがサキュバスでありそのサキュバスも一般的に知られているサキュバスと違い女性を対象とした変異種なのである。 かつては“秘密の花園”と呼ばれた零楼館女子高等学校もそういった意味を持っていたのだった。 ちなみに、工藤珠希は工藤太郎の事を好きなのだが、それは誰にも言えない秘密なのである。 この作品は「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルアッププラス」「ノベルバ」「ノベルピア」にも掲載しております。

勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス

R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。 そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。 最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。 そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。 ※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

実力を隠し「例え長男でも無能に家は継がせん。他家に養子に出す」と親父殿に言われたところまでは計算通りだったが、まさかハーレム生活になるとは

竹井ゴールド
ライト文芸
 日本国内トップ5に入る異能力者の名家、東条院。  その宗家本流の嫡子に生まれた東条院青夜は子供の頃に実母に「16歳までに東条院の家を出ないと命を落とす事になる」と予言され、無能を演じ続け、父親や後妻、異母弟や異母妹、親族や許嫁に馬鹿にされながらも、念願適って中学卒業の春休みに東条院家から田中家に養子に出された。  青夜は4月が誕生日なのでギリギリ16歳までに家を出た訳だが。  その後がよろしくない。  青夜を引き取った田中家の義父、一狼は53歳ながら若い妻を持ち、4人の娘の父親でもあったからだ。  妻、21歳、一狼の8人目の妻、愛。  長女、25歳、皇宮警察の異能力部隊所属、弥生。  次女、22歳、田中流空手道場の師範代、葉月。  三女、19歳、離婚したフランス系アメリカ人の3人目の妻が産んだハーフ、アンジェリカ。  四女、17歳、死別した4人目の妻が産んだ中国系ハーフ、シャンリー。  この5人とも青夜は家族となり、  ・・・何これ? 少し想定外なんだけど。  【2023/3/23、24hポイント26万4600pt突破】 【2023/7/11、累計ポイント550万pt突破】 【2023/6/5、お気に入り数2130突破】 【アルファポリスのみの投稿です】 【第6回ライト文芸大賞、22万7046pt、2位】 【2023/6/30、メールが来て出版申請、8/1、慰めメール】 【未完】

処理中です...