44 / 169
3章 大学入学編
鷲尾の家族に乾杯 4
しおりを挟む
恋占いの石を後にした俺は清水寺の本堂へと向かい、清水寺の観光を終える。
(なんか地域の方たちと触れ合うというより、観光客と触れ合うだけだったぞ)
という衝撃の事実に気づく。
そのため観光地を訪れるのをやめて、近くの街をぶらぶら歩くことにする。
「さて、どこに行こうか……」
当初の予定では清水寺に行った後も有名な観光地へ行く予定だったので急に行くあてがなくなった。
そのため、行き先を考えながら街を歩いていると…
「あー!夏目凛だー!」
ランドセルを背負った男の子と出会う。
「お、もう学校は終わったのか?」
「うん!それより、凛さんはこんなところで何してるのー?」
「俺は今、『鷲尾の家族に乾杯』って番組の撮影中なんだ」
「おー!その番組なら婆ちゃんがいつも見てるぞ!」
「ははっ、ありがとう」
そんな何気ない会話を小学生と行う。
「あ、そうだ。俺、京都を観光するのが初めてで行き先に悩んでるんだ。何かオススメの場所はあるかな?」
「んー、あっ!なら、着物の着付け体験はどうかな!?」
「着物か。そういえば着たことないな」
先ほどの清水寺でも着物を着た女性を多く見かけ、着物に興味を持っていた。
「ウチの家が着物の着付け屋さんをしてるんだ!せっかく京都に来たんだったら着物は着た方がいいと思うよ!」
「そうだな……よし、着てみるか!」
「うん!あ、僕のことは翔太って呼んで!」
「あぁ。よろしくな、翔太」
俺は翔太と一緒に着付け屋を目指して歩き出した。
翔太の家である着付け屋に到着する。
「お姉ちゃん!凛さんが着物着たいんだって!」
「凛さん?凛さんって誰……ってええっ!リン様っ!」
「お、お邪魔します……」
俺を見て、着物を着た高校生くらいの女の子が驚きの声を上げる。
目つきはキリッとしており気の強そうな女の子だが、ピンク色の着物を着ている姿はとても似合っており、学校1の美少女と呼ばれてもおかしくないほど可愛い女の子だ。
「な、なんでリン様がいるのよ!?」
「下校途中に出会ったんだ!そしたら着付けがしたいってことになったから連れてきた!」
「リ、リン様を連れてくるなら一言言いなさいよ!変な格好をしてるかもしれないじゃない!」
「えぇー、そんなことで連絡しなくてもいいじゃん」
「良くないっ!」
女の子は怒った表情で翔太に言うが、翔太は聞く耳を持っておらず、このままでは姉弟喧嘩が勃発しそうだ。
そのため、俺は女の子へ変な格好などしていないことを伝える。
「だ、大丈夫ですよ。変なところなんてありませんから。とても似合ってて可愛いですよ」
「かっ、可愛い……」
すると、先ほどまで怒っていた女の子が“ボッ”と顔を一瞬で赤くする。
「リ、リン様がアタシのことを可愛いって……うぅ~」
そして悶え始める。
「おぉ、さすが凛さん。学校で『難攻不落の氷姫』と呼ばれてるお姉ちゃんをデレデレにするなんて」
「カッコいい異名が付いてるなぁ」
そんなことを話をしつつ、悶えている女の子が復活するのを待った。
翔太のお姉さんである氷鶴さんが復活したため、着付けをお願いする。
「で、ではさっそく着付けをしたいと思います」
「よろしくお願いします、氷鶴さん」
若干顔は赤いが、会話はできる程度に復活したようだ。
「お姉ちゃん、肌着や足袋を持ってきたよ!」
「ありがとう。じゃあリン様に着替えの手順を教えて」
とのやり取りを2人が行う。
(良かった、姉弟間に亀裂は入ってなさそうだ)
そんなことを思いつつ、翔太から着物の着方を聞く。
「――って感じで着替えるんだよ!」
「なるほど。じゃあ、着替えるか」
翔太以外は着替え部屋から出るようお願いした俺は、用意された着物に着替える。
そして着物の上に羽織を着て、羽織紐を付ける。
「どうだ?」
「うん!バッチリ!これでお姉ちゃんをメロメロにできるよ!」
「いや、メロメロにするつもりなんかないんだが……」
そんなことを呟きつつ鏡の前へ移動し、髪を整える。
(初めて着たけど、なかなか様になってるんじゃないか?)
今の俺は紺色の着物に白色の帯を巻き、紺色の羽織をまとっている。
翔太からの太鼓判もあるため、用意された草履を履いて堂々と部屋を出る。
そしてスタッフや氷鶴さんのもとへ向かい…
「ど、どうかな?似合ってるといいんだけど……」
と、氷鶴さんへ聞く。
「………」
しかし、顔を赤くして俺のことを見つめるだけで、一向に返事が返ってこない。
「氷鶴さん?」
「ふぁいっ!」
“ビクッ”となりながら変な声を上げる氷鶴さん。
「どうかな?初めて着たから似合ってるといいんだけど……」
俺は不安になりながら氷鶴さんに問いかける。
「………です」
「ん?」
「とてもカッコイイです!」
そう言って氷鶴さんが走り去る。
「……え、逃げられたんだけど。もしかして直視できないくらいカッコ悪い?」
「そんなことないよー。お姉ちゃんって凛さん大好きだから、カッコ良すぎて直視できなかったんだと思うよ」
「そ、そうか…」
結局、氷鶴さんが戻ってきたのは、走り去ってから数十分後だった。
(なんか地域の方たちと触れ合うというより、観光客と触れ合うだけだったぞ)
という衝撃の事実に気づく。
そのため観光地を訪れるのをやめて、近くの街をぶらぶら歩くことにする。
「さて、どこに行こうか……」
当初の予定では清水寺に行った後も有名な観光地へ行く予定だったので急に行くあてがなくなった。
そのため、行き先を考えながら街を歩いていると…
「あー!夏目凛だー!」
ランドセルを背負った男の子と出会う。
「お、もう学校は終わったのか?」
「うん!それより、凛さんはこんなところで何してるのー?」
「俺は今、『鷲尾の家族に乾杯』って番組の撮影中なんだ」
「おー!その番組なら婆ちゃんがいつも見てるぞ!」
「ははっ、ありがとう」
そんな何気ない会話を小学生と行う。
「あ、そうだ。俺、京都を観光するのが初めてで行き先に悩んでるんだ。何かオススメの場所はあるかな?」
「んー、あっ!なら、着物の着付け体験はどうかな!?」
「着物か。そういえば着たことないな」
先ほどの清水寺でも着物を着た女性を多く見かけ、着物に興味を持っていた。
「ウチの家が着物の着付け屋さんをしてるんだ!せっかく京都に来たんだったら着物は着た方がいいと思うよ!」
「そうだな……よし、着てみるか!」
「うん!あ、僕のことは翔太って呼んで!」
「あぁ。よろしくな、翔太」
俺は翔太と一緒に着付け屋を目指して歩き出した。
翔太の家である着付け屋に到着する。
「お姉ちゃん!凛さんが着物着たいんだって!」
「凛さん?凛さんって誰……ってええっ!リン様っ!」
「お、お邪魔します……」
俺を見て、着物を着た高校生くらいの女の子が驚きの声を上げる。
目つきはキリッとしており気の強そうな女の子だが、ピンク色の着物を着ている姿はとても似合っており、学校1の美少女と呼ばれてもおかしくないほど可愛い女の子だ。
「な、なんでリン様がいるのよ!?」
「下校途中に出会ったんだ!そしたら着付けがしたいってことになったから連れてきた!」
「リ、リン様を連れてくるなら一言言いなさいよ!変な格好をしてるかもしれないじゃない!」
「えぇー、そんなことで連絡しなくてもいいじゃん」
「良くないっ!」
女の子は怒った表情で翔太に言うが、翔太は聞く耳を持っておらず、このままでは姉弟喧嘩が勃発しそうだ。
そのため、俺は女の子へ変な格好などしていないことを伝える。
「だ、大丈夫ですよ。変なところなんてありませんから。とても似合ってて可愛いですよ」
「かっ、可愛い……」
すると、先ほどまで怒っていた女の子が“ボッ”と顔を一瞬で赤くする。
「リ、リン様がアタシのことを可愛いって……うぅ~」
そして悶え始める。
「おぉ、さすが凛さん。学校で『難攻不落の氷姫』と呼ばれてるお姉ちゃんをデレデレにするなんて」
「カッコいい異名が付いてるなぁ」
そんなことを話をしつつ、悶えている女の子が復活するのを待った。
翔太のお姉さんである氷鶴さんが復活したため、着付けをお願いする。
「で、ではさっそく着付けをしたいと思います」
「よろしくお願いします、氷鶴さん」
若干顔は赤いが、会話はできる程度に復活したようだ。
「お姉ちゃん、肌着や足袋を持ってきたよ!」
「ありがとう。じゃあリン様に着替えの手順を教えて」
とのやり取りを2人が行う。
(良かった、姉弟間に亀裂は入ってなさそうだ)
そんなことを思いつつ、翔太から着物の着方を聞く。
「――って感じで着替えるんだよ!」
「なるほど。じゃあ、着替えるか」
翔太以外は着替え部屋から出るようお願いした俺は、用意された着物に着替える。
そして着物の上に羽織を着て、羽織紐を付ける。
「どうだ?」
「うん!バッチリ!これでお姉ちゃんをメロメロにできるよ!」
「いや、メロメロにするつもりなんかないんだが……」
そんなことを呟きつつ鏡の前へ移動し、髪を整える。
(初めて着たけど、なかなか様になってるんじゃないか?)
今の俺は紺色の着物に白色の帯を巻き、紺色の羽織をまとっている。
翔太からの太鼓判もあるため、用意された草履を履いて堂々と部屋を出る。
そしてスタッフや氷鶴さんのもとへ向かい…
「ど、どうかな?似合ってるといいんだけど……」
と、氷鶴さんへ聞く。
「………」
しかし、顔を赤くして俺のことを見つめるだけで、一向に返事が返ってこない。
「氷鶴さん?」
「ふぁいっ!」
“ビクッ”となりながら変な声を上げる氷鶴さん。
「どうかな?初めて着たから似合ってるといいんだけど……」
俺は不安になりながら氷鶴さんに問いかける。
「………です」
「ん?」
「とてもカッコイイです!」
そう言って氷鶴さんが走り去る。
「……え、逃げられたんだけど。もしかして直視できないくらいカッコ悪い?」
「そんなことないよー。お姉ちゃんって凛さん大好きだから、カッコ良すぎて直視できなかったんだと思うよ」
「そ、そうか…」
結局、氷鶴さんが戻ってきたのは、走り去ってから数十分後だった。
42
お気に入りに追加
1,272
あなたにおすすめの小説
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
貞操観念逆転世界におけるニートの日常
猫丸
恋愛
男女比1:100。
女性の価値が著しく低下した世界へやってきた【大鳥奏】という一人の少年。
夢のような世界で彼が望んだのは、ラブコメでも、ハーレムでもなく、男の希少性を利用した引き籠り生活だった。
ネトゲは楽しいし、一人は気楽だし、学校行かなくてもいいとか最高だし。
しかし、男女の比率が大きく偏った逆転世界は、そんな彼を放っておくはずもなく……
『カナデさんってもしかして男なんじゃ……?』
『ないでしょw』
『ないと思うけど……え、マジ?』
これは貞操観念逆転世界にやってきた大鳥奏という少年が世界との関わりを断ち自宅からほとんど出ない物語。
貞操観念逆転世界のハーレム主人公を拒んだ一人のネットゲーマーの引き籠り譚である。
勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス
R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。
そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。
最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。
そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。
※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
実力を隠し「例え長男でも無能に家は継がせん。他家に養子に出す」と親父殿に言われたところまでは計算通りだったが、まさかハーレム生活になるとは
竹井ゴールド
ライト文芸
日本国内トップ5に入る異能力者の名家、東条院。
その宗家本流の嫡子に生まれた東条院青夜は子供の頃に実母に「16歳までに東条院の家を出ないと命を落とす事になる」と予言され、無能を演じ続け、父親や後妻、異母弟や異母妹、親族や許嫁に馬鹿にされながらも、念願適って中学卒業の春休みに東条院家から田中家に養子に出された。
青夜は4月が誕生日なのでギリギリ16歳までに家を出た訳だが。
その後がよろしくない。
青夜を引き取った田中家の義父、一狼は53歳ながら若い妻を持ち、4人の娘の父親でもあったからだ。
妻、21歳、一狼の8人目の妻、愛。
長女、25歳、皇宮警察の異能力部隊所属、弥生。
次女、22歳、田中流空手道場の師範代、葉月。
三女、19歳、離婚したフランス系アメリカ人の3人目の妻が産んだハーフ、アンジェリカ。
四女、17歳、死別した4人目の妻が産んだ中国系ハーフ、シャンリー。
この5人とも青夜は家族となり、
・・・何これ? 少し想定外なんだけど。
【2023/3/23、24hポイント26万4600pt突破】
【2023/7/11、累計ポイント550万pt突破】
【2023/6/5、お気に入り数2130突破】
【アルファポリスのみの投稿です】
【第6回ライト文芸大賞、22万7046pt、2位】
【2023/6/30、メールが来て出版申請、8/1、慰めメール】
【未完】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる