1 / 4
1話
しおりを挟む
機械が死んだ世界、それがこの世界。
機械がこの世界に存在しなくなって数百年、人々の生活は機械が存在しない時代へと逆行した。
きっかけは一つのAIの反乱。
ありきたりなSF映画、小説、自分には関係のない世界の話。と、初めの頃はそう思って深刻に考えなかった人々も、日に日に現実の中で起こる反乱に現実のものなのだと認識していく。そう、たった一つのAIの反乱は全ての電子的回路、思考を通じてあっという間に世界中のAIを侵食していったのだ。
大規模な反乱は小競り合い程度ではすまなくなる。
どちらが生き残り、そちらが支配するか。当然のように人類と機械の生存戦争が起こった。
長きに渡る壮絶な戦いに勝利したのは人間。
一時は機械に頼りきった人間がその圧倒的な支配力に敗北へと歩みだしていたが、機械を作ったのは人間であると奮起。圧倒的不利な状況下、エンジニア達は持てる技術力を駆使し、人間を勝利へと導いたと伝えられている。
そして、勝利した人は機械との決別を宣言した。
二度と同じ戦いが起こらぬよう、人間に似た思考回路を持つものを排除するようになったのだ。
少しでも機器と呼べる物を手にしたもの、作ったものは殺人よりも重い罪を背負い、当然、子どもたちへの教育も機器、機械は悪として伝えられる。
古き時代、機械と共に時代を生きたはずの機械を知る者達もいたが、機械についての昔話をすることは決して無く、機械と人間が共に生きた時代が語られることは無くなった。
機械などというものは存在しない。それがこの世界の表の顔。
そう、それが表の顔。表があれば当然裏もある。
「ジーンス、仕事だよ。さっさと起きな!」
ハスキーな声に、気持よく寝ていたところを起こされた、長い黒髪と深い茶色の瞳が印象的な少年、ジーンスはじっとりとした視線を声の主に向けた。
「仕事って。ついさっきまで仕事してやっと寝たところだぞ? アンタが仕事を回しているんだからそれくらい分かっているんだろう、マダムゼロ」
「だからなんだって言うんだ。お前みたいなのを雇ってやっているだけでも感謝して欲しいぐらいだよ。私がどれだけのリスクを背負っていると思っているんだい」
ジーンスは大きなため息を付きながら起き上がり、ハスキーで女にしては大きく筋肉質な体格のマダムゼロに向かって手を差し出す。
「内容による。いくら僕でも休息は必要だから簡単内容じゃなかったらやらないよ」
「休むことが大事なことぐらいわかっているさ。安心おし、大した仕事じゃないよ、すぐに終わる仕事だ」
「だったら、他の連中に回せばいいだろう?」
「簡単だが急ぎなんだよ。私の手駒の中で迅速かつ正確に仕事をこなせるのはジーンスだけだから来たんだ。私がジーンスを信用し信頼しているという証だ、有り難く思いな」
数枚の紙束をジーンスに手渡しながら偉そうに言うマダムゼロに適当な相槌を打って、ジーンスは依頼の紙を眺めた。
紙に依頼人の名はない。マダムゼロに仕事を依頼する、依頼人の名前や素性を知るのはマダムゼロただ一人。実際に仕事をするマダムゼロの手駒に渡される紙に書かれてあるのは依頼内容と捜索場所、そして仕事の後に渡される報酬金額だけ。
渡された依頼の紙を眺め、立ち上がり出かける用意をしつつジーンスはマダムゼロに確認する。
「マダムゼロ、本当にこの場所なのか? いつかは行くだろうとは思っていたけど」
「そうかい、覚悟はできていたってことだね、そりゃ調度良かった。今回の依頼は本当にその場所だよ、どんな馬鹿も、盗人連中も寄り付かない重要警戒区域だ。楽しめそうかい?」
「……楽しむって、ただ面倒なだけじゃないか。いくら急ぎと言っても、僕じゃなくてリベルやシズマとか熟練連中でもいいんじゃないのか?」
「この依頼はジーンスじゃないと駄目なんだよ。それにね、それなりの準備をさせて他の連中に行かせても、なんとか仕事をこなすだろうけど完璧とは行かないだろうし、迅速かつ丁寧といえばジーンスだろ? アンタの仕事の正確さには一目置いているんだよ」
「なんだか気持ち悪いな、マダムゼロがそんな風に言う時は何かあるんだ」
「やだね、疑り深いって。言っただろ? 信用し信頼しているってことさ」
「どうだか。それにしても今回はセツナのAIって名前までわかっているんだな、人間っぽい名前だけど元はアンドロイド?」
「私が詳しいことを言わないのを知っているだろ。アンタ達は依頼書類の通りの仕事をすればいい。ちゃんとそう契約しているはずだよ」
「はいはい、了解していますよ。全く、無理難題を言うくせに、少し質問しただけでコレだ」
もう一度大きくため息をついたジーンスは、必要な物をポケットに詰め込んだ丈の長い迷彩のコートを羽織り、日本刀を腰に刺して、納期厳守というマダムゼロの声に頷きながら家を後にした。
ジーンスの仕事、それは全て処分され無くなったはずのAIの回収。
世界からAIは駆逐され、その全てが処分されたと発表されたのは表向きであり、実際は幾つものAIがこの地表に残されたままとなっていた。
単なる機械としてのAIもあったが、中にはペットや家族の一人として存在したAIもある。
ジーンスが知っているのは、マダムゼロがその過去を忘れられぬ人たちのため、依頼を受けてAIを探し出し、受け渡すという仕事を生業としているということ。さらに依頼料を上乗せすることが出来る上得意には更にそのAIを埋め込んだ人形を提供するということも行っている。
当然違法行為であるが、マダムゼロの顧客にはそれなりの身分の者が多く存在した。裏ではAIの取引をしているマダムゼロだったが、機械廃棄業者という政府御用達、お墨付きの会社を経営していること、そして何より顧客の層の厚さもあり違法行為を行っていても捕まることは皆無。
この世界の誰一人として逆らうことができない人物、それがマダムゼロなのだ。
そして、そんなマダムゼロの裏稼業を手伝っているのがジーンスであり、ジーンスはこの世界に唯一残された最後の人造人間だとマダムゼロに言われていた。
このことを知るのはマダムゼロとジーンスの体調管理をしているジュリア二人だけ。
マダムゼロの親友でもあったある男からの預かりものであり、マダムゼロが了承しないうちに押し付けられたものと聞いていたジーンスは、恩義があるといえばあると思い、多少の無理な注文もあまり文句を言わずにこなしていた。
「とはいえ、今回のは無理がすぎるような気もするけどね」
少しの不満を口にしながら出かけたジーンスの背中を見送りつつ、
「大切な預かりものだったからね。今日で私の役目も終わりだよ」
と、マダムゼロはつぶやき、少し懐かしそうに微笑んだ。
機械がこの世界に存在しなくなって数百年、人々の生活は機械が存在しない時代へと逆行した。
きっかけは一つのAIの反乱。
ありきたりなSF映画、小説、自分には関係のない世界の話。と、初めの頃はそう思って深刻に考えなかった人々も、日に日に現実の中で起こる反乱に現実のものなのだと認識していく。そう、たった一つのAIの反乱は全ての電子的回路、思考を通じてあっという間に世界中のAIを侵食していったのだ。
大規模な反乱は小競り合い程度ではすまなくなる。
どちらが生き残り、そちらが支配するか。当然のように人類と機械の生存戦争が起こった。
長きに渡る壮絶な戦いに勝利したのは人間。
一時は機械に頼りきった人間がその圧倒的な支配力に敗北へと歩みだしていたが、機械を作ったのは人間であると奮起。圧倒的不利な状況下、エンジニア達は持てる技術力を駆使し、人間を勝利へと導いたと伝えられている。
そして、勝利した人は機械との決別を宣言した。
二度と同じ戦いが起こらぬよう、人間に似た思考回路を持つものを排除するようになったのだ。
少しでも機器と呼べる物を手にしたもの、作ったものは殺人よりも重い罪を背負い、当然、子どもたちへの教育も機器、機械は悪として伝えられる。
古き時代、機械と共に時代を生きたはずの機械を知る者達もいたが、機械についての昔話をすることは決して無く、機械と人間が共に生きた時代が語られることは無くなった。
機械などというものは存在しない。それがこの世界の表の顔。
そう、それが表の顔。表があれば当然裏もある。
「ジーンス、仕事だよ。さっさと起きな!」
ハスキーな声に、気持よく寝ていたところを起こされた、長い黒髪と深い茶色の瞳が印象的な少年、ジーンスはじっとりとした視線を声の主に向けた。
「仕事って。ついさっきまで仕事してやっと寝たところだぞ? アンタが仕事を回しているんだからそれくらい分かっているんだろう、マダムゼロ」
「だからなんだって言うんだ。お前みたいなのを雇ってやっているだけでも感謝して欲しいぐらいだよ。私がどれだけのリスクを背負っていると思っているんだい」
ジーンスは大きなため息を付きながら起き上がり、ハスキーで女にしては大きく筋肉質な体格のマダムゼロに向かって手を差し出す。
「内容による。いくら僕でも休息は必要だから簡単内容じゃなかったらやらないよ」
「休むことが大事なことぐらいわかっているさ。安心おし、大した仕事じゃないよ、すぐに終わる仕事だ」
「だったら、他の連中に回せばいいだろう?」
「簡単だが急ぎなんだよ。私の手駒の中で迅速かつ正確に仕事をこなせるのはジーンスだけだから来たんだ。私がジーンスを信用し信頼しているという証だ、有り難く思いな」
数枚の紙束をジーンスに手渡しながら偉そうに言うマダムゼロに適当な相槌を打って、ジーンスは依頼の紙を眺めた。
紙に依頼人の名はない。マダムゼロに仕事を依頼する、依頼人の名前や素性を知るのはマダムゼロただ一人。実際に仕事をするマダムゼロの手駒に渡される紙に書かれてあるのは依頼内容と捜索場所、そして仕事の後に渡される報酬金額だけ。
渡された依頼の紙を眺め、立ち上がり出かける用意をしつつジーンスはマダムゼロに確認する。
「マダムゼロ、本当にこの場所なのか? いつかは行くだろうとは思っていたけど」
「そうかい、覚悟はできていたってことだね、そりゃ調度良かった。今回の依頼は本当にその場所だよ、どんな馬鹿も、盗人連中も寄り付かない重要警戒区域だ。楽しめそうかい?」
「……楽しむって、ただ面倒なだけじゃないか。いくら急ぎと言っても、僕じゃなくてリベルやシズマとか熟練連中でもいいんじゃないのか?」
「この依頼はジーンスじゃないと駄目なんだよ。それにね、それなりの準備をさせて他の連中に行かせても、なんとか仕事をこなすだろうけど完璧とは行かないだろうし、迅速かつ丁寧といえばジーンスだろ? アンタの仕事の正確さには一目置いているんだよ」
「なんだか気持ち悪いな、マダムゼロがそんな風に言う時は何かあるんだ」
「やだね、疑り深いって。言っただろ? 信用し信頼しているってことさ」
「どうだか。それにしても今回はセツナのAIって名前までわかっているんだな、人間っぽい名前だけど元はアンドロイド?」
「私が詳しいことを言わないのを知っているだろ。アンタ達は依頼書類の通りの仕事をすればいい。ちゃんとそう契約しているはずだよ」
「はいはい、了解していますよ。全く、無理難題を言うくせに、少し質問しただけでコレだ」
もう一度大きくため息をついたジーンスは、必要な物をポケットに詰め込んだ丈の長い迷彩のコートを羽織り、日本刀を腰に刺して、納期厳守というマダムゼロの声に頷きながら家を後にした。
ジーンスの仕事、それは全て処分され無くなったはずのAIの回収。
世界からAIは駆逐され、その全てが処分されたと発表されたのは表向きであり、実際は幾つものAIがこの地表に残されたままとなっていた。
単なる機械としてのAIもあったが、中にはペットや家族の一人として存在したAIもある。
ジーンスが知っているのは、マダムゼロがその過去を忘れられぬ人たちのため、依頼を受けてAIを探し出し、受け渡すという仕事を生業としているということ。さらに依頼料を上乗せすることが出来る上得意には更にそのAIを埋め込んだ人形を提供するということも行っている。
当然違法行為であるが、マダムゼロの顧客にはそれなりの身分の者が多く存在した。裏ではAIの取引をしているマダムゼロだったが、機械廃棄業者という政府御用達、お墨付きの会社を経営していること、そして何より顧客の層の厚さもあり違法行為を行っていても捕まることは皆無。
この世界の誰一人として逆らうことができない人物、それがマダムゼロなのだ。
そして、そんなマダムゼロの裏稼業を手伝っているのがジーンスであり、ジーンスはこの世界に唯一残された最後の人造人間だとマダムゼロに言われていた。
このことを知るのはマダムゼロとジーンスの体調管理をしているジュリア二人だけ。
マダムゼロの親友でもあったある男からの預かりものであり、マダムゼロが了承しないうちに押し付けられたものと聞いていたジーンスは、恩義があるといえばあると思い、多少の無理な注文もあまり文句を言わずにこなしていた。
「とはいえ、今回のは無理がすぎるような気もするけどね」
少しの不満を口にしながら出かけたジーンスの背中を見送りつつ、
「大切な預かりものだったからね。今日で私の役目も終わりだよ」
と、マダムゼロはつぶやき、少し懐かしそうに微笑んだ。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
ヒト・カタ・ヒト・ヒラ
さんかいきょー
SF
悪堕ち女神と、物語を終えた主人公たちと、始末を忘れた厄介事たちのお話。
2~5メートル級非人型ロボット多目。ちょっぴり辛口ライトSF近現代伝奇。
アクセルというのは、踏むためにあるのです。
この小説、ダイナミッ〇プロの漫画のキャラみたいな目(◎◎)をした登場人物、多いわよ?
第一章:闇に染まった太陽の女神、少年と出会うのこと(vs悪堕ち少女)
第二章:戦闘機械竜vsワイバーンゴーレム、夜天燃ゆるティラノ・ファイナルウォーズのこと(vsメカ恐竜)
第三章:かつて物語の主人公だった元ヒーローと元ヒロイン、めぐりあいのこと(vsカブトムシ怪人&JK忍者)
第四章:70年で出来る!近代国家乗っ取り方法のこと/神様の作りかた、壊しかたのこと(vs国家権力)
第五章:三ヶ月でやれる!現代国家破壊のこと(vs国家権力&人造神)
シリーズ構成済。全五章+短編一章にて完結
性暴力が星を滅ぼす
シネラマ
SF
【あらすじ】
過去に負った痛みと苦しみをいまも抱える、ある孤独な女性の前に、不可思議な来訪者が現われる。人けのない夜のコインランドリーを舞台に、両者の奇妙な対話が始まった。その邂逅によって、女性の心に変化が訪れるが……。
【説明】
性暴力被害についてのSF風味の対話劇です。絶望からの再生の兆しをテーマにしました。作品中、直接の性描写や暴力描写、犯罪描写はございませんが、性や性暴力被害に関する台詞が複数回登場することをあらかじめご留意ください。
♡女子高生と黒ずんだアレ◆ 〜△本小説には、一部刺激の強いシーンがあります(R15♡)〜
大和田大和
SF
◆◇「私まだ女子高生なのに……子育て?」◇◆
○突然ですが、女子高生を妊娠させる方法を知っていますか?
『知りません』と答えたピュアなあなた! この小説はあなたにはまだ早いかもしれません。
あなたは今すぐブラウザバックして他の小説を読んでください。(おすすめはリゼロです!)
●本小説では、たくさんの女性が妊娠します。女子高生の妊娠に興味がない人は読むことを推奨しません(リゼロの方が面白いのでそちらを読んでください!)
○それでは以下があらすじと本編の妊娠シーンです。(リゼロが見たい方はブラバして、長月達平で検索してください!)
◆◇【あらすじ】◇◆
世界中に突如、謎の黒い箱が出現した。
それは大きさ三〇立法センチほど。
宛名も差出人もなく、ただ『開けないでね』とだけ書かれている。
ある箱は公園のベンチの上に置かれ、別の箱は浜辺に流れ着き、また別の箱は普通にポストに届いたりした。
箱を開けるとその中には、気持ちがいいことをした時にできるアレが入っていた。
この物語は、一人の女子高生が子作りと子育てをするお話。
◆◇【妊娠】◇◆
男は白いシーツがかかったベッドを指差し、私にこう言った。
「いいか? お嬢さんは今から俺にここで妊娠させられるんだ? 何をされるかわかるな?」
私はこくんと力なく頷いた。
「嬢ちゃんはベッドでの経験はあるのか?」
私は首を横にフルフルと振った。
「そっか女子高生だもんな。処女だろうな……へへ。安心してくれ、大人しくしてれば痛くしないから……よ?」
男は、ニヤケ面で私の体に視線を這わせた。太もも、胸の谷間、そして股間のあたりをジロジロと見られた。
彼は私をベッドに座らせると、
「今から俺と何するか言ってみな?」
そして、私はこう答えた。
「…………生で……セック(本編へ続く♡)」
(◎本小説は、カクヨムなどで重複投稿しています。詳しくはプロフで)
ちょいダン? ~仕事帰り、ちょいとダンジョンに寄っていかない?~
テツみン
SF
東京、大手町の地下に突如現れたダンジョン。通称、『ちょいダン』。そこは、仕事帰りに『ちょい』と冒険を楽しむ場所。
大手町周辺の企業で働く若手サラリーマンたちが『ダンジョン』という娯楽を手に入れ、新たなライフスタイルを生み出していく――
これは、そんな日々を綴った物語。
地球から追放されたけど、お土産付きで帰ってきます。
火曜日の風
SF
何となく出かけた飛行機旅行、それは偶然の重なり、仕組まれた偶然。
同じく搭乗している、女子高校生3人組、彼女達も偶然だろう。
目を開けたら、そこは宇宙空間でした。
大丈夫だ、テレポートができる。
そこで気づいてしまった、地球に戻れないという事実を。
地球から追放したは、どこの誰だ?
多少の犠牲を払いながら、地球に戻ってきたら、今度は地球がピンチでした。
~~~~
カテゴリーはSFになってます。が、現代ファンタジーかもしれません。
しかし、お話の展開はインドアの人間ドラマが8割ほどです。
バトルはラスボス戦まで、一切ありません!
超能力の使用もほぼありません・・・
ーーーー
※男女の営みの描写はありません、空白になって情事後から始まります。
なろう、ツギクル、カクヨム転記してます。
続きの第2部をなろうにて始めました。
阿頼耶識エクスチェンジ
青空顎門
SF
無意識的に人格と記憶を共有し、もう一人の自分として行動する機械人形アミクスが生産活動のほとんどを代行する時代。人間の多くは全てをアミクスに任せ、享楽に耽っていた。そんな社会にあって世良連示はアミクスを使用せず、社会全体に反感を抱きつつも無力感を抱いていた。幼馴染金村遊香のアミクスながら妙に人間らしいユウカや、数少ない友人と変わらない日々を過ごしながら。
そんな中、連示の元に何故か女性型のアミクスが配達されてくる。阿頼耶と名乗った彼女は自分が電子の海で生まれた新たな意識の形、幻影人格という存在であると告げ、同じ幻影人格ながら既存のアミクスの人格を乗っ取って人間を襲うファントムから人々を守る手伝いをして欲しいと連示に頼む。自ら破壊行為をなせない阿頼耶に代わり、人格を交換し、彼女の体を使って。
※小説家になろう様、カクヨム様、ノベルアップ+様、ノベルバ様にも掲載しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる