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やられたら、やりかえそう!
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「ヒィ!」
思わず声が出てしまう。
だってすごいんだよ、般若がそこに居るのかと思うほど凄い顔だったんだよ。
肩にある指だってすんごい力でギリギリ食い込んでくるし。
「お、お母様、落ち着いてください」
肩を掴んでいる手を叩いていえば、マルグリットさんは大きく息を吸い込んで吐き出し、口の端を少し引き上げて笑う。
「いい機会です。なかったことにすればよろしいのでは?」
笑顔のマルグリットさんの言葉に2人の兄が大きく頷いた。
「僕もそう思う。いい機会だから殺っちゃってもいいとも思う」
「だから、ずっと俺が言ってるだろ。殺っちまおうって」
兄の顔も凄い。笑顔で怒っている。
あっちの世界の俳優さんの笑いながら怒るという芸を思い出す。
この展開はもしかして……と思わなくはないが、とりあえず、どういう話題なのか聞いておくのが無難なはず。
「あの、何の話なのでしょう?」
マルグリットさんの顔を覗き込むように聞けば、マルグリットさんの表情が少々寂しそうになった。
「エマはとても丁寧な喋り方になったのね。なんだか他人行儀で違和感があるけれど、今の貴女にとっては知らない人と喋っているようなものだもの、仕方ないわね」
「す、すみません。この方が喋りやすくて」
申し訳無さで少しうつむけば、頭を優しく撫でてくれ、見上げると長兄のジャンさんが優しい笑みになっていた。
「自分がやりやすいようにやるのが一番だ。こっちは慣れていけばいいだけだからな」
「はい。あの、で、何の話だったんでしょう?」
「エマの婚約者の話だよ」
次兄のロジェさんが言い、やっぱりと思いつつも実際聞くと驚く。
だってね、16だよ? 16。高校一年生だよ。
さらに、今となっては、中身男でアラサーなんだよね。
いや~結婚とか流石に無理じゃね?
っていうか、考えてみればやばい案件だらけじゃないか? だって、中身男、っていうことは色々と……マジヤバイ。
一瞬色々考え込みそうになったが、今はそれどころではない。
とりあえず婚約者とやらについて聞かねば。
「婚約者、ですか?」
「やはり覚えていないのだな。まぁ、一番記憶から消去したい事柄だろうしな」
「消去したいということは、あまりいいことでないのですか?」
「ふぅ、エマには婚約者が居る」
それはさっきも聞いた、と言いかけたのをぐっと抑えて頷くだけにした。
「エマはずっと結婚は自分の理想の相手とじゃないとしないと言っていてな、当然私もそう思うから結婚話が来ても門前払いをしていた」
「エマはね、つい数ヶ月前までは婚約者なんて居なかったんだよ」
「それが、王命とやらで無理やり婚約者が出来ちまったんだ」
「王命……。王様からっていうことですよね、それは断れませんね」
「いや、断ったんだよ。きっぱり、はっきりと」
「へ?」
断ったのにどうして? と聞こうと思えば、マルグリットさんが横でチッと舌打ちをした。
思わず声が出てしまう。
だってすごいんだよ、般若がそこに居るのかと思うほど凄い顔だったんだよ。
肩にある指だってすんごい力でギリギリ食い込んでくるし。
「お、お母様、落ち着いてください」
肩を掴んでいる手を叩いていえば、マルグリットさんは大きく息を吸い込んで吐き出し、口の端を少し引き上げて笑う。
「いい機会です。なかったことにすればよろしいのでは?」
笑顔のマルグリットさんの言葉に2人の兄が大きく頷いた。
「僕もそう思う。いい機会だから殺っちゃってもいいとも思う」
「だから、ずっと俺が言ってるだろ。殺っちまおうって」
兄の顔も凄い。笑顔で怒っている。
あっちの世界の俳優さんの笑いながら怒るという芸を思い出す。
この展開はもしかして……と思わなくはないが、とりあえず、どういう話題なのか聞いておくのが無難なはず。
「あの、何の話なのでしょう?」
マルグリットさんの顔を覗き込むように聞けば、マルグリットさんの表情が少々寂しそうになった。
「エマはとても丁寧な喋り方になったのね。なんだか他人行儀で違和感があるけれど、今の貴女にとっては知らない人と喋っているようなものだもの、仕方ないわね」
「す、すみません。この方が喋りやすくて」
申し訳無さで少しうつむけば、頭を優しく撫でてくれ、見上げると長兄のジャンさんが優しい笑みになっていた。
「自分がやりやすいようにやるのが一番だ。こっちは慣れていけばいいだけだからな」
「はい。あの、で、何の話だったんでしょう?」
「エマの婚約者の話だよ」
次兄のロジェさんが言い、やっぱりと思いつつも実際聞くと驚く。
だってね、16だよ? 16。高校一年生だよ。
さらに、今となっては、中身男でアラサーなんだよね。
いや~結婚とか流石に無理じゃね?
っていうか、考えてみればやばい案件だらけじゃないか? だって、中身男、っていうことは色々と……マジヤバイ。
一瞬色々考え込みそうになったが、今はそれどころではない。
とりあえず婚約者とやらについて聞かねば。
「婚約者、ですか?」
「やはり覚えていないのだな。まぁ、一番記憶から消去したい事柄だろうしな」
「消去したいということは、あまりいいことでないのですか?」
「ふぅ、エマには婚約者が居る」
それはさっきも聞いた、と言いかけたのをぐっと抑えて頷くだけにした。
「エマはずっと結婚は自分の理想の相手とじゃないとしないと言っていてな、当然私もそう思うから結婚話が来ても門前払いをしていた」
「エマはね、つい数ヶ月前までは婚約者なんて居なかったんだよ」
「それが、王命とやらで無理やり婚約者が出来ちまったんだ」
「王命……。王様からっていうことですよね、それは断れませんね」
「いや、断ったんだよ。きっぱり、はっきりと」
「へ?」
断ったのにどうして? と聞こうと思えば、マルグリットさんが横でチッと舌打ちをした。
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