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第二章★

057:冥王星の秘密ごと。

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――同時刻
■星華高校_屋上
 (植村 柚子)


 海王星の能力はおそらく。身体の至るところから武器を召喚する。ウチは金属化しながらレイピアで善戦をしていた。

「女ノ子ナノニ君ハナカナカ強イネ」

 海王星は制服の袖から剣を、ズボンの袖からナイフを出し、ウチに投げつける。

「無駄です!ウチに物理的攻撃は効きません!」

 ウチの身体にナイフが接触し、渇いた金属音が響く。すぐにウチは海王星の後ろに回り込みレイピアを海王星の背中向けて構える。

「クッ……!」

 レイピアから機械の音声が流れる。技を使用している。

━━━━━━━━━━━
※技発動!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
★スピンスイング
━━━━━━━━━━━

 レイピアの刀身が白く光り輝き始める。ウチは力を溜め、一気に突きの攻撃を行う。

 目にも止まらぬ速さでウチの腕は動き、海王星の背中や肩に強烈な打撃が襲う。早すぎてまるで光の閃光のようですね。ウチはさらに攻撃を続ける。

「オマエエェ"エエエ"」

――ヴゥゥンッ

不思議な音がすると同時に海王星の背中にいくつもの盾が召喚された。もうこの攻撃は喰らってくれないと思い、ウチは一旦、距離を取る。

「ヤッテクレルジャナイカ。Lv60程度ガア……」

 ウチは徐々に海王星を押し始めていた。一方で会長はとても苦戦している。

 先程、冥王星から発動された技を会長は避けきれずかなり喰らってしまっていた。会長が負けるとは全く思わないけどウチは少し心配していた。

今の会長は色々と抱えかかえ込みすぎてしまっていていつもの圧倒的な迫力…攻撃にキレがないようなそんな気がします…

早く海王星を倒して助けたいです…

ウチは強く力を込めて走り出す。

◇◇◇◇◇◇

ーー同時刻
■星華高校屋上
(霜月 零)


 私は八蛇の鏡の能力を使う。
 ガラスでできた足場を出現させる。星華高校屋上の上空から冥王星を見下ろす。冥王星は屋上から私を見上げている。

「けっこうダメージ入ったと思ったけど、直撃はできなかったかー。残念」

 会長は思考を張り巡らせる。
 上手いこと防御にも気を回しながら戦わないと少し危ないわね。

 さっきの攻撃…私のLvじゃなかったら完全に消し飛んでた。たぶん植村の絶対防御でさえも直撃したら消し飛ぶ。

 本当に危なかったわ。
 私としたことが油断してたわ。

 私は足場から飛び降り、屋上に再び戻る。

「どうした?攻撃はしてこないのか?もしかして俺に臆しているのかい? 」

「違うわ」

━━━━━━━━━━━
※技発動!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
★幻夢鏡の呪い
━━━━━━━━━━━

 もう油断はしない。
 徹底的にこいつは追い込み倒す。

 本当は私の現時点、最強技である明鏡止水を使いたいところだけど、温存しておきたい。

 この技は相手にとって少し厄介。
 
「ん?何かしたのか?」

 冥王星はやはり気付かない。
 しばらく何をされたか気付かないでしょうね。でもそれは致命的になってくる。

 私は鏡からガラスでできた剣を取り出し、一気に冥王星のすぐ近くまで接近する。間合いに入る。

 冥王星は私が振り下ろす斬撃を拳で受け止める。そして空いている拳を私に放つが、私は簡単に避ける。

 さらにジャブを私に行う。
 それも相当なスピードで見切るのはかなり困難。だけど私はギリギリ避ける。

 攻防を繰り返しながら、私と冥王星はお互い疲労や怪我が蓄積されてくる。

 ふと、冥王星が私に言う。

「あなたは今、自分の学校で起こっていることについて気づいているかな?」

「どういうことかしら?」

「俺の学校にはね、切り札があってね。とある人物と関わりがあるんだよね」

「…とある人物? 」

の使い手の一人さ」

「私と同じ……使い手ってことかしら?」

 私は自分の胸元に浮かぶ「八蛇の鏡」に目を向ける。これも神器の一つ。三種の神器は日本史とかで勉強していたので知っているけど…あと、ポン雑魚だった彼の武器もそうよね。

「そうさ。そして彼は今……」

「……今なんなの? 」

「我が高校の生徒、【彗星】として立心館高校に乗り込んでもらっている。たぶんあんたも知っている人物だよ。なんせ前回の大戦の時から潜り込まさせてたからね」


 冥王星は冷たく笑う。
 そして会長を見つめていた。

「……なかなか用意周到なのね。まさか前回の大戦から仕込まれてたのにはさすがに気付かなかったわ。そもそもこよ神器って強いのかしら?」

「ああ、神器があれば、さらに我が校は強くなれる。最強の高校になるのも夢じゃないだろう?まさか近隣の高校に神器が二つもあるの分かれば、狙いたくなるのも当然だろ?お前の学校はすでにいくつもの学校に狙われてるのさ。三種の神器は詳細情報ではAランクとあるが実質Sランクの超レアな武器なんだよ」

 私はたしかにこの神器は強力な支給品だと分かっていた。これが使いのこなせれば相当な実力者になれるとも思っている。だけどまさか他校が狙いたくなるほどのものという認識はなかった。

 冥王星や他にもうちの高校を狙っているという学校は一体どこからその情報を仕入れてるのかしら。私は気になり聞いてみる。

「その情報は誰から教えてもらったのかしら?」

「色々とあって言えないね」

 誰と繋がっているかはまだ分からないけど、この危険人物はなんとかしたい。

 それにという人物も気になる。凄い胸騒ぎがさっきからしている。ら

 私の大切な学校を守るためにもできるだけ早く…決着をつけよう。

 私はガラスの剣を強く握りしめた。
 私の頭には、私の帰りを信じて待ってくれている立心館の皆んなが浮かんでいた。

 待っててね。皆。
 すぐに終わらせるわ。
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