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【番外編】君が天使になった日-前編-
しおりを挟むこれはいままで秘密にしていた私だけの”能力”のお話。
18歳になりルイ様と結婚した後も
私は、ホワイトローズとして変わらず病院で働いている。
変わった事といえば病院勤めが週1回から、
週3回に変わって、
私の手伝い役として、主従契約を結ぶアクトが
公私共に私をサポートしている。
今日最後の患者様、ジェイド・ブラウン様。
高校時代はいろいろあったが、
今も昔も変わらず私の患者様だ。
「こんばんわ、ホワイトエンジェル」
「こんばんわ、ジェイド様、体調はいかがですか?」
私はカルテをアクトから受け取り、
パラパラと捲った。
「順調だよ。少し食欲が無いくらいで、夏だからかな?」
「そうですね、最近は暑いですし。では治療を始めますね」
私は順調に治療をおこなった。
順調だった。
全て。
うまくやってた。
でも、気づいてしまった。
「いやっ!!!」
私はとっさに声をあげしゃがみこみ、
魔法を止めてしまった。
「ホワイトエンジェル?」
「ホワイトエンジェル様!!どうされました?」
ジェイドは診察台から起き上がり、
アクトは側へ駆け寄った。
「ご、、ごめんなさい」
「どうされました?すごい汗ですよ、ご気分がよく無いのでは?」
「大丈夫よ、、、ジェイド様申し訳ありませんでした。治療を再開しますので横になって下さい」
「あぁ、わかった」
私は、ジェイドの治療を再開した。
僕はスノウ様が大好きだ。
ルイ様と結婚されても、
どれだけ歳をとっても、
僕たちの主従契約は永遠で、
愛よりも深いと僕は思っている。
スノウ様の事はなんでも知っている。
だれよりも、ルイ様よりも、この時まで思ってた。
スノウ様が回復魔法を
失敗する事は絶対ないし、
治療を途中で止めた事も今までなかった。
治療を中断した後の
スノウ様の様子はあきらかさっきとは違った。
一瞬異変を見せたが、
患者を心配させまいとあきらかに平然を装っている。
「ジェイド様、お疲れ様でした」
「ありがとうホワイトエンジェル」
「途中で中断してしまい申し訳ありませんでした」
「僕は大丈夫。それより君の体調の方が心配だよ」
「私は大丈夫です」
「それより、ルイとは順調?」
「はい」
「良かった。いじめられたらすぐ僕に言うんだよ」
「いじめたりなんてされませんよ」
「うん。わかってる、、、でもホワイトエンジェル、君は結婚してもやっぱり魅力的だね」
「そんな事、、、」
「やっぱりあの時無理にでも僕の物にすればよかったかな、、、なんちゃって」
ジェイドはスノウにニコッと笑うと、
いままでとは変わった真剣な表情を浮かべた。
「君、外してもらえるかな?」
ジェイドが僕を見る。
「アクト、外して」
僕は一礼し、ドアの外へ出た。
スノウ様と二人きりにするのは心配だが仕方ない。
僕はドアの前で待った。
「ホワイトエンジェル、、、」
ジェイドが近付き、私の頬を触る。
「君に今日はお願いがあって来たんだ」
「お願いですか?」
「そうだよ」
「僕からの最後のお願い。聞いて欲しいな」
ジェイドは私の耳元で願いを囁いた。
そして私から離れる。
「じゃあ、、、またね」
ジェイドは私を残し部屋から出ると帰って行った。
私は、足の力が抜けその場にしゃがみ込み、我慢していた涙が溢れた。
「ホワイトエンジェル様、、、入りますよ、、、!?」
「、、、、、」
「大丈夫ですか?あの男に何かされましたか?」
「大、丈夫、、、」
私は泣きながらアクトに抱きついた。
「何かあったんですね」
「、、、、、」
「話してくれませんか?」
「、、、、、」
「一旦屋敷に帰りましょう」
私は抱きついたまま、頷いた。
屋敷に着くとアクトは私を抱え車から降りる。
私は自室の前でアクトから離れた。
「しばらく一人にして」
「ちょっ、、スノウ様、、」
私はアクトに言うと、
自室に入り部屋のドアの鍵を閉めた。
電気も付け無い真っ暗の中、
部屋には月明かりだけが
差し込んでいた。
私はホワイトローズが刺された花瓶の前に立つと、
花瓶からローズを一輪抜いた。
「アクト?」
「ルイ様、おかえりなさいませ」
僕はスノウ様の部屋の前でルイ様に一礼した。
「スノウは部屋か?」
「はい、仕事から帰ってから一人になりたいと」
「何かあったのか?」
「いつもと少し様子が、、、」
「わかった、後は俺がなんとかするからアクトは下がっていろ」
「でも!!僕も、、、」
「アクトがスノウを心配な気持ちもわかるが、俺に任せてくれ」
「、、、わかりました」
ルイ様がスノウ様のドアを叩く。
「スノウ、、、今帰った。アクトから体調が悪いと聞いたが大丈夫か?、、、顔が見たいドアを開けてくれないか」
するとドアの鍵が外れる音が聞こえた。
「入るぞ」
ルイ様が部屋に入った。
僕が言っても開けてくれなかったのに、、、。
僕は部屋の扉に寄りかかりたたずんだ。
真っ暗な部屋の中、スノウは床に座っていた。
俺は近ずくとスノウを抱き上げ、
ベットに座らせ横に座ると、
乱れた髪を分け顔を覗いた。
スノウの目からは涙が流れ、目が腫れていた。
俺はスノウをそっと抱きしめた。
「何かあったのか」
「、、、、、」
「俺にも話せない事なのか」
「、、、、、」
スノウは何も語らず、小さく頷いた。
「俺はずっと側にいる、、、落ち着いたら話してもらえないか」
俺はスノウの頭を、背中を、落ち着かせるように撫でる。
そして時刻は0時になり、
時計の音がなったのと同時にスノウの体は
ビクッと反応し震え始めた。
そしてスノウは俺を見上げた。
「、、、私は、、、私は、、無力です、、」
「どうしたんだ、いきなり?スノウには素晴らしい能力があるじゃないか」
「私は、、、残酷な、、、人間です、、、」
するとアクトが部屋のドアを叩いた。
「ルイ様!!ブラウン家から電話が入ってます。緊急の事なので出てきてもらえますか!!」
ブラウン家?ジェイドか?
俺はスノウにすぐ戻ると言うと部屋から出ると電話をとった。
そして真実を知った。
「ジェイドが、、死んだ、、、だと」
繋がれたままの受話器が手から落ちた。
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