フラれたので、記憶喪失になってみました。この事は一生誰にも内緒です。

君にはもっといい男が現れる-裏-

「伊織くん、中学の時から、大好きでした。私だったら、趣味も合うし、仕事の相談にものれる、ずっと伊織くんを見てきたから、誰よりも貴方の事がわかる、だから、、、私と付き合って下さい」


こんな校門で人気も気にせず、
真っ直ぐに俺を見て咲ちゃんは言う。


咲ちゃんと出会ったのは
中学1年の時だった。
違うクラスだったけど、
友達同士知り合い繋がった。

いつも部活を見に来てくれた。
休み時間たまに話したり、
お昼を食べたり。

モデル仕事もやってて、
一緒なることもあった。

話を聞いてくれて、
なんとなく趣味もあって。

そして友達伝で聞いた、
俺を好きだって気持ち。

友達にはうらやましいとか
言われて調子に乗ったことも
あった。

だけど、俺は咲ちゃんと
恋人にはなれなかった。

咲ちゃんが悪い訳じゃない。
俺が悪いんだ。




でももう俺も逃げないよ。
俺は握っていた葵の手を少し強く握る。



「俺を好きなってくれてありがとう」

「伊織くん、、、」

「だけど、、、今、生涯かけて大事にしたい子がいるんだ。だから、咲ちゃんとは恋人にはなれません」

「、、、うん、わかってた」

「今まで、はっきり出来なくてごめん、、、こんな事、言える立場じゃ全然ないけど、、、きっと俺よりいい奴が咲ちゃんを幸せしてくれる思う」

「いないよ、、伊織くんよりいい人なんて」

「いるよ、大丈夫だよ」

「伊織くん、、、」

「何？」

「幸せな時間をありがとう」

「、、、こちらこそありがとう」




咲ちゃんは、
涙を拭き笑った。



その笑顔はこの場にいる誰よりも、
凛としかっこよかった。