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涙目で甘える彼女と観覧車-裏-

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「葵、帰ろう」

俺は放課後、
葵の教室へと行く。

俺に呼ばれて振り向いた顔は、
少し恥ずかしそうな、
少し怒っているような顔をしていた。

葵は俺に近づくと、
俺の腕にしがみつく。

きっと今日1日こんなんで、
葵にとってはもう限界なんだろう。


帰り道、俺たちの方を
チラチラとみる生徒たちに
葵はいちいち反応していた。


ちょっと仕返ししすぎだろうか。
俺はふと見上げると、
駅前に新しく出来た観覧車を見つける。



「葵、あれ乗ろうか」



俺は葵の手を引っ張った。
観覧車は空いていて、
乗ると葵は俺の隣に座った。


「伊織、、、」


そう俺を呼ぶ葵は涙目だった。


「悪い悪い、ちょっと意地悪しすぎた」
「んっ、、」


俺は鞄から、
こっそり預かっていた葵のリボン返す。


「跡消えるまでリボンでいろよ、だけど消えたらまたネクタイに戻す事」

葵はリボンを受けとると
頷いた。


「でもまー、あれだな」
「?」
「俺がやったことだけど、俺以外の男に見られるの嫌だわ」
「私も、、、伊織以外嫌」



俺は愛おしくなり、
葵の頭を撫でた。









家に帰ると俺は部屋の
コルクボード手をかける。

今日、初めての観覧車記念に
買った写真。

その写真をコルクボード貼る。


償いで始まったこの恋も
今では本気で葵との将来を考えている。


葵は笑顔が可愛い。
だからずっと笑ってて欲しいし、
笑わせるのは俺でありたい。



俺は電話をする。
保留にしていた雑誌の仕事を受ける事にした。

しゃくだけど、山下に教えてもらった、
葵の誕生日。
俺は最高の誕生日にしたいと考えていた。



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