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だから頼むぞ-外-
しおりを挟む「おーきーろー!!」
「!?」
俺は伊織の
布団をゆすり寝ている伊織を
無理矢理起こす。
まだ少し寝ぼけている伊織は
布団から体を起こし、
目を擦りながら言う。
「今何時だよ?」
「7時、朝食前に滑ろうぜ」
俺は伊織に朝すべり行こうと誘うと、
ウェアに着替えゲレンデに出た。
人気はまだ少なく、
まだ踏まれていない雪が
少し寂しくもキラキラして見えた。
そして数分の間、俺たちは
夢中で滑った。
俺は清々しい気分だった。
それは、今度はちゃんと告白を
する事が出来たからだ。
もちろん結果は俺の望んだ結果じゃ
無かったけれど、自然と終る事はなく
しっかりと自分の気持ちにけじめを
付けられた。
そして滑り終えて、
朝食に行こうとホテルに戻る
事になった。
ホテルに戻る最中俺は足を止め、
伊織の方を振り返る。
「伊織!」
伊織が俺を見る。
本当は葵ちゃんとの事、
聞きたくて、聞きたくて、
堪らないくせに。
自然と平然を伊織は装う。
「俺、フラれたから!」
「えっ」
「だから頼むぞ、葵ちゃんの事!」
俺は笑顔で笑った。
「当たり前だ!俺が葵の彼氏なんだから!」
「別れたら、俺がもらうからな」
「別れる訳無いだろ」
俺たちはそんな冗談混じりの会話をした。
付き合った理由は、
償いだったかも知れないけど、
今は伊織が今まで付き合ってきた誰よりも、
葵ちゃんに本気で、
葵ちゃんが大切で、
葵ちゃんが大好きだって、
俺はわかってる。
だから親友よ。
俺の分まで、
葵ちゃんを笑顔してくれよな。
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