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俺の親友-外-

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勝負は引き分け。
次で最後。

俺と伊織はリフトに乗って頂上まで行く。
正直勝負はギリギリだった。
やっぱり伊織は何をしても上手いしセンスがある。
努力しないでもなんでも出来る、
俺とは正反対のタイプだ。

「ははっ、なんか今日のお前すごいな、初めて負けるかも」

本当は余裕だろ?
嘘ばっか言いやがって。

「、、、、、」
「山下?」

リフトは頂上へと着き、
俺たちは再びスタート地点に並ぶ。

俺はずっと考えていた。
いつ伊織に俺の気持ちを打ち明けるべきなのか。

気持ちを言いたい反面、言ってしまったら
今の関係が壊れてしまうのではないか、
今更ながら思ってしまう。


だけど、、、やっぱり。
言わない訳にはいかない。
俺は一呼吸つき伊織に話す決心をする。


「なぁ、伊織」
「なんだよ?」


俺は伊織と向き合う。

「やっぱ言うわ、フェアじゃないし」
「何を?」

伊織は不思議そうに見る。

「俺が勝った時のお願いだよ」
「えっ、、、ああ、焼肉?ラーメン?それとも合コン開いて欲しいとか?」


伊織は笑いながら言う。

確かに今までだったらそれを望んでいただろう。
だけど、、、。


「夕飯の後、葵ちゃんと二人きりにして欲しい」


伊織の表情が固まる。


「はっ?今なんて?」

「葵ちゃんと二人きりになりたい」


伊織は戸惑いをみせ、
言葉に詰まっている。

そうだよな、俺からそんな事言われるなんて
想像もしてなかったよな。


「中学の時、同じクラスの香織ちゃん。バスケ部マネージャーの桃先輩。後輩の梓ちゃん、、最近だと麻央もそうか、、みんな伊織の事が好きだった」

「山下?」

「中学の時の応援団長、生徒会長、高校1年の時の学級委員長、俺もやりたかったのに、、みんな伊織に譲った」

「何言ってんだよ?お前も俺がやればって言っただろ?」

「あぁ、みんな俺より伊織がよかったからな、俺が引き下がったんだよ!、、、でも、、、今回は譲りたくない」


俺はゴーグルをつけ、正面を向く。


「おい!山下!それってどう言う意味だよ」

「、、、ははっ、、そっくりだな、、、伊織ゴーグル付けろよ、スタートするぞ」


伊織は俺に言われたがままに
ゴーグルを付ける。


「伊織、、、悪いが今回は俺が勝つ、もうお前には譲らない」
「だからどう言う、、、」



本当はわかってるだろ?
本当に、伊織も葵ちゃんも、、、。



「わかるだろ?言わなくても、、、そう言う意味だよ」



そしてスタートの音が鳴り、
俺は全速力で滑り終えた。


伊織、悪いな。
俺は勝つよ。




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