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一度も会わない日-表-
しおりを挟むあの日からというもの、
私は最上先輩を露骨に避け続け数日が経つ。
いつなくなるか解らない
心の中の黒いモヤモヤが
私の心を犯す。
最上先輩からLINEも電話も来たが、
見ていないし、出ていない。
学校でも最上先輩には会わないように避けた。
今日は平日で学校だが、
私は以前から病院で定期検診を受ける予定になっていた。
明日からは土日で、最上先輩に会わなくて済む。
診察の順番までソファーに座って
待つことにした。
今思えば、私が記憶喪失になろうと
思ったのは最上先輩にフラれて悲しいから、
忘れようと思った為だ。
だからこのまま距離を置いて
自然に消滅するのもいいかもしれない。
診察の番になり診察室へ入る。
「どう調子は?なにか思い出した事とかあるかな?」
「いえ何も、、思い出せません」
「そうか、まぁ無理はしないで、ゆっくりで大丈夫だよ。カウンセリングとかもあるから考えてみて。後、手のリハビリも忘れないこと」
「はい、ありがとうございます」
私は診察を終え病院を出た。
お昼を食べ、買い物をした。
気付けばもう夜になっていた。
家に帰ろうとした時、歌が聞こえて来た。
声の方向を見ると、男性が路上ライブを行っていた。
私は声に引かれ男性の前に腰をおろした。
"貴方は私に嘘をついた。貴方はその嘘を許して欲しい?。貴方は私に嘘をついた。すぐには無理だけど、待ってて。私は貴方を許すから"
「今日が初めてだよね」
「、、、、、」
「たまにここで弾いてるからまた聞きにきて?」
「なんで?」
「んっ?」
「歌詞、、、なんで許したの?嘘ついてたのに」
「決まってんじゃん、好きだから」
「好きだから?」
「そう、嘘つかれてもそれ以上に好きだから」
お礼と言って男性から
使っていたピックが渡された、、、。
「聞いてくれてありがと、双葉葵さん」
「なんで名前、、、」
男性はギターを置くと、
私の頬に触れ見つめる。
「記憶喪失だって聞いた、、、」
「あなた私の事知ってるんですか?」
「うん」
私は男性の事を思い出せない。
「双葉?」
声の方を振り抜くと
最上先輩が立っていた。
「誰そいつ?、、、帰るよ」
最上先輩は私の手を無理やり引っ張った。
「ねぇまた会いたいな」
男性は笑いながら手を軽くふった。
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