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イルミネーションと私-裏-
しおりを挟む双葉は携帯電話を無事買うことができた。
さぁ次は使い方を教える為に遊びにでも誘おうか。
俺たちがショッピングモールを出るともう暗くなっていて、
広場にはもうすぐクリスマスのせいか
至るところがイルミネーションされキラキラと輝いていた。
双葉はイルミネーションを見上げている。
女子は本当にキラキラした物が好きだな。
「綺麗、、、もうすぐクリスマスですね」
「そうだな」
「最上先輩は大変ですね」
「なにが?」
「人気者だから、クリスマスは色々予定がつまってそうですからはしごするのが大変そうだなと思って」
俺は足を止めた。
双葉は何を言っているんだろう。
クリスマスと言ったら恋人たちで過ごすイベントだ。
いくら俺でもそれくらいは知ってるし、
付き合ったばかりでも俺は一緒に過ごそうと、
少しは考えていた。
「クリスマスは双葉といっ」
「伊織くん?」
俺の言葉が女子の声に遮られる。
俺は声の方を振り向く。
「あっやっぱ伊織くんだ」
咲だった。
カラオケ以来会っては居ない。
だが頻繁にLINEや電話は来ていて
俺は無視していた。
なんていうタイミングなんだろう。
咲は俺に近付き、腕を握った。
「さっ、咲!」
「久しぶりだね、なかなか連絡くれないんだもん」
「ちょっと離れて」
俺は咲の腕を剥がそうとする。
「この子だれ?私とも遊んでくれるって約束したのに」
「約束なんてしてないだろ?」
「えっ、この前カラオケで、、」
カラオケの事を双葉には知られたくない。
俺は手で咲の口をふさぐ。
早く咲をどうにかしないと。
また余計な事を言われても困る。
双葉を1人にするのは嫌だがしょうがない。
「双葉!ちょっとここで待ってて」
双葉にそう言うと俺は
咲を連れてショッピングモールの中へと入った。
「咲、帰ってくれないか?」
「なんで?遊ぼうよ」
「無理。さっきの彼女だから」
「彼女?いつの間に彼女なんて作ったの!!」
「咲に関係無いだろ」
「あるよ、私が伊織くん好きなの気付いてるくせに」
咲が俺を好きだって気付いてたし、
友人からも聞いた事があった。
でも俺は正直、咲を恋愛対象に見たことは
一度も無かった。
「それは気付かなかった。じゃあ、彼女待たせてるから」
「やだ待って!!」
咲は帰ろうとする俺の手を掴む。
「私絶対諦めないから」
「、、、ごめん諦めて」
俺は咲の手を振り払うと
双葉の元へと戻った。
だが待っててと行った場所に
双葉の姿はもう無かった。
俺は急いで携帯電話をポケットから出すと、
一件のLINEが届いていた。
"体調が悪くなったので先に帰ります"
双葉からの初めてのLINEだった。
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