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パラレルワールドか、何かだって事で
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「ああああ、黒髪りっくんだああああ!萌ええええ!それで野球ユニフォーム着たら、完全に『スクリューボール・コメディ』の豪くん…。ウッ、ゴホッ!ゲヘッ、ゲヘッ!」
「風邪引いてんだから、無理すんなよ」
言って、雪兎くんの背中をさすってやった。予想はしてたけど、パジャマを着ている。ヤバい可愛いってか、色っぽい。ちょっと押し倒したくなったけど、体調不良なんだから気を使ってあげないと。ってかそもそも、今日はそんな目的で来た訳ではないんだ。
「ゴホゴホ、いつもすまないねぇ。りっくん、ついに黒髪に染めたんだ」
「『染め直さないと、駄目だぞ☆』とか言ってたのは、どこのどいつだよ。野球部に戻る時に、仕方なくね。監督や教師に従うのは、気が進まなかったけど…。これもコスプレみたいなもんだと思えば、ね。気分で、地毛の茶髪に戻すかも。ノリでね」
「うん。りっくんだったら、黒髪だろうが茶髪だろうが金髪だろうが何色でも似合うよ。だって、何してても中身のりっくんが格好いいんだもん。イケメンだし、背高いし筋肉あるし。それに、とっても優しいし…。俺、そんなりっくんが大好き。あ、言っちゃった」
何か知らんが、向こうの方から告白された。予想とは、だいぶ違う言葉だったけど…。だけど、めちゃくちゃ嬉しい。ちょっと、天にも昇る気持ち。ってかちょっと、涙出そうだ…。
「…オレの方から、言う筈だったのに。オレ、雪兎くんと会ってから今まで変わらずに大大大好きだって。あの、雪兎くん。こないだは、あんな事になって…」
言おうとしたオレを、雪兎くんが指で遮った。
「言わないで。りっくんは、悪くない。いつまでも過去に囚われて前に進もうとしない、俺の方が悪かったから…。あのねぇ、りっくん。りっくんが夢に向かって進んでいるように、俺も少し足を踏み出してみようと思うんだ。まだ自分の中でケリはついていないけど、これからは自分自身の恋を探してみようと思います」
「雪兎くん…それじゃ」
雪兎くんは、元々白い顔を真っ赤にして答えた。それは多分、熱のせいだけではなかったぽい。ってか普段の平熱が体温計に出ないくらい低いんで、風邪引いて熱出たとしても36度ちょいなんだってさ…。
「付き合ってもらえますか…?こんな俺で、良かったらだけどさ」
答える事は、なかった。その前に、オレの身体が反応していたからだ。雪兎くんの身体を寄せて、壊れそうなくらい力いっぱい抱きしめる。ってか冗談抜きで壊れそうな身体つきをしているので、ちょっと手加減しないと…。繰り返しながら、病人やしね。だけど、本当に本当に凄い嬉しい。野球でレギュラー取れた時だって、ここまでは嬉しくなかった…。
だけど喜びの余りキスしようとしたら、ここでも雪兎くんは少し嫌がった。
「…駄目だよ、りっくん。今更だけど、風邪がうつったら…」
「何だよ、本当に今更だな。馬鹿だから、風邪引かねぇって。それに、もしそうなったらアレだろ?雪兎くんの好きなシチュエーションで、『お返しに看病しに行く』みたいなやつ」
「うん、その流れは確かに好きっちゃ好きだけど…。違うんだ、そう言う事じゃなくて」
何だよ、ここまで来といて歯切れ悪いなぁ。せっかく晴れて付き合える事になったのに、お預け食らった犬の気分だ。
「…やっぱり雪兎くん、例の『誰だか分からない人』とやらを待ってるんだろ?オレと付き合うなんて、都合のいい事言ってさ」
「違うんだ、そうじゃない!りっくんには、分からないだろうけど…。俺、別作品で高校生の時に『これがファーストキス』みたいな発言したんだ!整合性が取れなくなる」
「は?」
何か知らんが雪兎くんが、えらくメタな事を言い出したぞ。ポッと出のオレにはよく分からんが、雪兎くんはキャラクターとしてオレよりも一年ほど早く登場している。その分、設定やエピソードの数もオレの比ではなかったようで…。
「いいじゃねぇか、そんなもん。パラレルワールドか、何かだって事で。ってか探してみたけど、コレだろ?『高校生でファーストキス』発言て」
「ほらな。『高校生でファーストキス』なんて、一言も書いてないよ。作者はいきあたりばったりだから、中学時代あたりでファーストキスの話を書いたんだ。そして、その相手がオレだったんだよ…!」
って、我ながらいい話風にまとめてみたけど…。正直このくだり、アルファポリスやカクヨムの読者さんには意味分からんだろうな。そう言う、いい加減な作者なんだと思って下さい。
ってかこの流れで言うと、そのうち小学生でファーストキスの話を書く事になったりして。でもなんか、目の前の雪兎くんは納得したみたい。
「そうか、過去に囚われないのと同様…。未来にも、決して縛られる事はないんだ。それに気づかせてくれたのは、りっくん。君だよ…」
「おう。オレは(マジで)何もしてないけど。それより、納得したって事は…いいんだよな?」
キスしても…。と言う暇もなく、雪兎くんが目を閉じた。「どうぞ」って事だな。いわゆるキス待ち顔も、ほんと可愛い…。オレは雪兎くんの身体を抱きしめたまま、そっと口づけをした。風邪引いてる事もあるし、こないだみたいに荒々しいんじゃなくて優しいやつでね。
本当、順番が真逆だった気もするけど…。ようやく、ここにたどり着いたって感じだ。舌は入れなかったけど、雪兎くんの唇の柔らかさだけでイっちゃいそうなくらい気持ちいい。それに、何だかほのかな甘さを感じる気がする。この甘さ、この味は…?
「D○Cの、薬用リップクリーム。オリーブバージンオイル配合のやつだな」
「何で、俺のつけてるリップクリーム分かるの!?りっくん、ちょっと怖いよ!?」
「風邪引いてんだから、無理すんなよ」
言って、雪兎くんの背中をさすってやった。予想はしてたけど、パジャマを着ている。ヤバい可愛いってか、色っぽい。ちょっと押し倒したくなったけど、体調不良なんだから気を使ってあげないと。ってかそもそも、今日はそんな目的で来た訳ではないんだ。
「ゴホゴホ、いつもすまないねぇ。りっくん、ついに黒髪に染めたんだ」
「『染め直さないと、駄目だぞ☆』とか言ってたのは、どこのどいつだよ。野球部に戻る時に、仕方なくね。監督や教師に従うのは、気が進まなかったけど…。これもコスプレみたいなもんだと思えば、ね。気分で、地毛の茶髪に戻すかも。ノリでね」
「うん。りっくんだったら、黒髪だろうが茶髪だろうが金髪だろうが何色でも似合うよ。だって、何してても中身のりっくんが格好いいんだもん。イケメンだし、背高いし筋肉あるし。それに、とっても優しいし…。俺、そんなりっくんが大好き。あ、言っちゃった」
何か知らんが、向こうの方から告白された。予想とは、だいぶ違う言葉だったけど…。だけど、めちゃくちゃ嬉しい。ちょっと、天にも昇る気持ち。ってかちょっと、涙出そうだ…。
「…オレの方から、言う筈だったのに。オレ、雪兎くんと会ってから今まで変わらずに大大大好きだって。あの、雪兎くん。こないだは、あんな事になって…」
言おうとしたオレを、雪兎くんが指で遮った。
「言わないで。りっくんは、悪くない。いつまでも過去に囚われて前に進もうとしない、俺の方が悪かったから…。あのねぇ、りっくん。りっくんが夢に向かって進んでいるように、俺も少し足を踏み出してみようと思うんだ。まだ自分の中でケリはついていないけど、これからは自分自身の恋を探してみようと思います」
「雪兎くん…それじゃ」
雪兎くんは、元々白い顔を真っ赤にして答えた。それは多分、熱のせいだけではなかったぽい。ってか普段の平熱が体温計に出ないくらい低いんで、風邪引いて熱出たとしても36度ちょいなんだってさ…。
「付き合ってもらえますか…?こんな俺で、良かったらだけどさ」
答える事は、なかった。その前に、オレの身体が反応していたからだ。雪兎くんの身体を寄せて、壊れそうなくらい力いっぱい抱きしめる。ってか冗談抜きで壊れそうな身体つきをしているので、ちょっと手加減しないと…。繰り返しながら、病人やしね。だけど、本当に本当に凄い嬉しい。野球でレギュラー取れた時だって、ここまでは嬉しくなかった…。
だけど喜びの余りキスしようとしたら、ここでも雪兎くんは少し嫌がった。
「…駄目だよ、りっくん。今更だけど、風邪がうつったら…」
「何だよ、本当に今更だな。馬鹿だから、風邪引かねぇって。それに、もしそうなったらアレだろ?雪兎くんの好きなシチュエーションで、『お返しに看病しに行く』みたいなやつ」
「うん、その流れは確かに好きっちゃ好きだけど…。違うんだ、そう言う事じゃなくて」
何だよ、ここまで来といて歯切れ悪いなぁ。せっかく晴れて付き合える事になったのに、お預け食らった犬の気分だ。
「…やっぱり雪兎くん、例の『誰だか分からない人』とやらを待ってるんだろ?オレと付き合うなんて、都合のいい事言ってさ」
「違うんだ、そうじゃない!りっくんには、分からないだろうけど…。俺、別作品で高校生の時に『これがファーストキス』みたいな発言したんだ!整合性が取れなくなる」
「は?」
何か知らんが雪兎くんが、えらくメタな事を言い出したぞ。ポッと出のオレにはよく分からんが、雪兎くんはキャラクターとしてオレよりも一年ほど早く登場している。その分、設定やエピソードの数もオレの比ではなかったようで…。
「いいじゃねぇか、そんなもん。パラレルワールドか、何かだって事で。ってか探してみたけど、コレだろ?『高校生でファーストキス』発言て」
「ほらな。『高校生でファーストキス』なんて、一言も書いてないよ。作者はいきあたりばったりだから、中学時代あたりでファーストキスの話を書いたんだ。そして、その相手がオレだったんだよ…!」
って、我ながらいい話風にまとめてみたけど…。正直このくだり、アルファポリスやカクヨムの読者さんには意味分からんだろうな。そう言う、いい加減な作者なんだと思って下さい。
ってかこの流れで言うと、そのうち小学生でファーストキスの話を書く事になったりして。でもなんか、目の前の雪兎くんは納得したみたい。
「そうか、過去に囚われないのと同様…。未来にも、決して縛られる事はないんだ。それに気づかせてくれたのは、りっくん。君だよ…」
「おう。オレは(マジで)何もしてないけど。それより、納得したって事は…いいんだよな?」
キスしても…。と言う暇もなく、雪兎くんが目を閉じた。「どうぞ」って事だな。いわゆるキス待ち顔も、ほんと可愛い…。オレは雪兎くんの身体を抱きしめたまま、そっと口づけをした。風邪引いてる事もあるし、こないだみたいに荒々しいんじゃなくて優しいやつでね。
本当、順番が真逆だった気もするけど…。ようやく、ここにたどり着いたって感じだ。舌は入れなかったけど、雪兎くんの唇の柔らかさだけでイっちゃいそうなくらい気持ちいい。それに、何だかほのかな甘さを感じる気がする。この甘さ、この味は…?
「D○Cの、薬用リップクリーム。オリーブバージンオイル配合のやつだな」
「何で、俺のつけてるリップクリーム分かるの!?りっくん、ちょっと怖いよ!?」
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