あのときは泣きたかった。

エピソード59

　やはり、野球道は厳しい。
　
　北の大地にもそう言って成長する人達が多いのだと、山口も堀も思っていた・・。


　「ゲームセット。」
　「ありがとうございます。」
　　初夏の頃、また、Jrは勝ってしまった。

　　・・まさかホリーがショートを超える３安打とは・・。
　「ナイスラン。真広。」
　「センキュ―。」
　遠藤真広は陸上大会で結果を残していた・・。野球との繋がりを持つ彼女だったがそれは正しい選択であるため、プレーとランを変えている・・。これが私にとっての野球道である・・・・。
　北海道ホエールズの所属選手の出場という立場で後輩のJrのチームをこの大会でも見ていた・・。確かに、彼女の道は本物だ。室内練習場でも上手く走れているそうだし、何より、ホリーが惚れるのも無理はない・・。
　しかし、それでも様々なプレーのある野球か・・。
　さすがの山口も先輩である選手にはそれ以上のことを考える余裕はなかった・・。それはそれで北の大地らしくてそれを崩してしまうのが怖かったのだ・・。だからこそ、彼女は陸上だけではなく野球をやっているのかもしれない・・・・。結局まとめられるのはそれだけだ・・。それこそ、記録が掛かってるんだからプレッシャーも大きい。集中力を変えている彼女はすごい。山口はそう思っていた・・。