著恋凛の単発集!

著恋凛

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終わり

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「悪いけどさ、推薦諦めて。」
夫婦喧嘩の中、そばにいた俺に向けての言葉に俺は酷く頭にきた。
俺はバレーボールでの推薦がほぼ決まっており、次のテストで正式に決定する。なのに、テスト2週間前にそんなことを言われた。
「は?ふざけんなよ。」
俺はそう言い残し、リビングを後にする。
部屋に戻り、ベッドに横になる。喧嘩の内容は金のこと。姉は専門大学に進学、俺は私立高校に推薦で入学。もちろん金がかかるのは子供の俺でも分かる。だけど、言ったんだ。親が「金なら平気」ってなのになんだよ。
自然と涙が出る。
俺は勉強は得意な方ではなかった。2年の最後に貰った通知表だって45分の19だ。でも、俺を取ってくれると言った高校は45分の30。頑張って頑張って3年になり、初めてもらった通知表ら45分の26まで上がった。加点を使えばあと、1点で推薦取れる。
バレーボールだって最初は楽しいから始めた。ただバレーが楽しい。先輩がカッコよくスパイクを決めるのを真似したい。
そして夏になり、3年生は引退。それと同時に同年代の人が辞めた。同年代は元々1人だったため、俺は1年生一人になった。それでも俺はバレーボールを辞めなかった。理由は楽しいからだ。
秋の新人戦、俺は初めて公式戦の舞台に立った。最初は緊張したが、時が経つと共に緊張はほぐれていき、自分の力を発揮できるようになった。
結果は3位。自分にとっては上出来だ。そこから一年俺はレギュラーを外されることは無かった。
1年経ち、今度は俺にとっての最後の先輩の引退がきた。結果はフルセットまでもつれた末に負けた。
そして俺の代になった。人数は6人ギリギリ。だが、後輩5人はダメダメだ。運動神経が悪すぎる。そして迎えた2度目の新人戦。俺は言葉が出なかった。これまでに無いボロ負け。取ったのはたった8点。俺のサービスエースとブロックだけだ。
時は過ぎ、新年を迎えた時ぐらい。春の大会に目掛けて頑張っていた。トスも上がるようになり、点が取れるようになってきた。
でも、春の大会は開かれなかった。武漢から発生したウイルスのせいで。
7月になり、部活ができるようになった。顧問は変わってしまったが目標は変わらない。勝つこと。
それと同時に、推薦の話が入ってきた。
最後の大会は無くなったが、交流戦をすることになった。でも、その相手はベスト8で180cmがいるチーム。
試合当日、俺のコンディションは最高。腕もよく振れる。ブロッカー、レシーバーもよく見える。
そして試合が始まった。
序盤は均衡していたが、中盤あたりから後輩のカットミスが目立ってきた。そこから一気に持っていかれ、結局負けた。アピールは出来た。試合を見に来た高校の先生に。
180cmを5本ブロック、フロントでは上がったボールを全て決め切り、バックでも打ち切った。でも、結果は変わらない。負けは負け。そこで俺の中学校バレーは終わった。


勉強も部活もひっくるめた約3年間を親は「諦めて」の一言で無意味なことに変えたのだ。
もう嫌だ。最悪だ。俺の3年間はなんのためにあったのかな?
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