上 下
125 / 139
オーディアス攻略作戦

指示厨なタイプのJK

しおりを挟む
「**************!」

 シュクレが、AGI特化の私ですら聞き取れない速度で朗々と詠唱を唱える。彼女のスキル、詠唱加速スペル・アクセラレーションは使い手の魔法攻撃力が高いほど、詠唱中のAGIが上昇するチートスキルだ。

「シャイニング・スレイライト!」

 シュクレが突き出した杖の先から、無数の小さな光が明滅めいめつする。やがてそれは先端せんたん螺旋らせんを描いて収束しゅうそくし、放たれた。

 半径2メートルを超えるビームが音を置き去りに空を穿うがつ。その光の柱はまるで時間が止まった様に未だ空中に浮かぶ悪魔付きへ向かって直進し、残りのHPを消し飛ばす。

「やったか!」

「ヨイニそれフラグ!」

 ヨイニの多分わかってやってであろう古典的なフラグにツッコミを入れると、案の定、悪魔付きのHPが復活した。

「ま、もうちょい戦いながら色々見てみるか」

 シマーズさんが、ニッ笑って半透明のコンソールを操作する。私たちを囲む用に半透明のドームが展開した。

*「アニーちゃん、がんばれー!」*

*「俺たちも並行して調べてみるぞー!」*

*「シマーズそこ変われー!」*

 ドームの内側には、シマーズさんの配信を見ていたリスナーのコメントが次々と表示される。それらのコメントの全ては温かい内容に溢れていて、それを見ているだけで少しだけ体が軽くなった。

 頭の霧は晴れ、今日はいつもより遠くが見渡せる。晴天の様に澄み渡った思考を回して、皆へ声をかけた。

「よぉし、悪魔付きは割と何とかなりそうだから作業分担だ」

 まずは忍者装束に身を包み、いつもビクビクと不安そうにしているけどなんだかんだいつも逃げ出さずに頑張るクダンちゃんへ視線を送る。

「クダンちゃんは、この部屋のトラップとか隠し通路とか何でも言い方とにかく怪しい感じの全部探して!」

「ふぇ!? わ、わかりました!」

 ヨイニの後ろに隠れて、周辺を警戒しながら悪魔付きの行動を監視していたクダンちゃんが驚きながらも頷く。

 悪魔付きのHP復活の原因が何かは現状じゃ分からない。探知に優れるクダンちゃんには隠し通路やギミックを探してもらう。

「シュクレはあの建物の中とか、何かヒントになりそうな物を探して! ヒントがあるとしたら、このボス部屋が一番怪しいから!」

 私はそう言って、ボス部屋の中央付近にある、元々悪魔付きが出てきた小屋の方を指差す。

「は、はい。わかりました」

 私のすぐ後にいたシュクレが頷いて走り出す。

「ヨイニとシマーズさんはそれぞれ2人を護衛して!」

 ヨイニは大盾を持っているし、カバームーブという移動防御技を持っている。戦闘中に2人のどちらかえヘイトが向かった時に即応しやすいだろう。シマーズさんも同じ理由で"宿地ッ"がある。

「ゴングマンさんは私と一緒に悪魔付きをボッコボコにする!」

 ゴングマンさんは、表側の風間流を習得している。他のメンバーより悪魔付きとの戦いに有利だ。

「ゴングじゃねぇゴリ……あれ、合ってる!?」

 ゴングマンさんが条件反射的に憤慨しかけて、びっくりした様に大袈裟なリアクションをとった。

 私はそれを口を開けて笑う。

「やっぱりゴリラなんじゃん」

「……ゴリラじゃねぇ! ゴングだ!」

 今度は言葉を一瞬、吟味してからゴングマンさんが怒り出した。

「ムエルケさんは私たちのサポートおなしゃ!」

「了解っす!」

 最後に、このパーティー唯一の回復役であるムエルケさんにサポートをお願いする。彼女は打てば響く用に答えてくれた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

JKがいつもしていること

フルーツパフェ
大衆娯楽
平凡な女子高生達の日常を描く日常の叙事詩。 挿絵から御察しの通り、それ以外、言いようがありません。

アルケミア・オンライン

メビウス
SF
※現在不定期更新中。多忙なため期間が大きく開く可能性あり。 『錬金術を携えて強敵に挑め!』 ゲーム好きの少年、芦名昴は、幸運にも最新VRMMORPGの「アルケミア・オンライン」事前登録の抽選に当選する。常識外れとも言えるキャラクタービルドでプレイする最中、彼は1人の刀使いと出会う。 宝石に秘められた謎、仮想世界を取り巻くヒトとAIの関係、そして密かに動き出す陰謀。メガヒットゲーム作品が映し出す『世界の真実』とは────? これは、AIに愛され仮想世界に選ばれた1人の少年と、ヒトになろうとしたAIとの、運命の戦いを描いた物語。

[恥辱]りみの強制おむつ生活

rei
大衆娯楽
中学三年生になる主人公倉持りみが集会中にお漏らしをしてしまい、おむつを当てられる。 保健室の先生におむつを当ててもらうようにお願い、クラスメイトの前でおむつ着用宣言、お漏らしで小学一年生へ落第など恥辱にあふれた作品です。

性欲排泄欲処理系メイド 〜三大欲求、全部満たします〜

mm
ファンタジー
私はメイドのさおり。今日からある男性のメイドをすることになったんだけど…業務内容は「全般のお世話」。トイレもお風呂も、性欲も!? ※スカトロ表現多数あり ※作者が描きたいことを書いてるだけなので同じような内容が続くことがあります

鐘ヶ岡学園女子バレー部の秘密

フロイライン
青春
名門復活を目指し厳しい練習を続ける鐘ヶ岡学園の女子バレー部 キャプテンを務める新田まどかは、身体能力を飛躍的に伸ばすため、ある行動に出るが…

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

Beyond the soul 最強に挑む者たち

Keitetsu003
SF
 西暦2016年。  アノア研究所が発見した新元素『ソウル』が全世界に発表された。  ソウルとは魂を形成する元素であり、謎に包まれていた第六感にも関わる物質であると公表されている。  アノア研究所は魂と第六感の関連性のデータをとる為、あるゲームを開発した。  『アルカナ・ボンヤード』。  ソウルで構成された魂の仮想世界に、人の魂をソウルメイト(アバター)にリンクさせ、ソウルメイトを通して視覚、聴覚、触覚、嗅覚、味覚、そして第六感を再現を試みたシミュレーションゲームである。  アルカナ・ボンヤードは現存のVR技術をはるかに超えた代物で、次世代のMMORPG、SRMMORPG(Soul Reality Massively Multiplayer Online Role-Playing Game)として期待されているだけでなく、軍事、医療等の様々な分野でも注目されていた。  しかし、魂の仮想世界にソウルイン(ログイン)するには膨大なデータを処理できる装置と通信施設が必要となるため、一部の大企業と国家だけがアルカナ・ボンヤードを体験出来た。  アノア研究所は多くのサンプルデータを集めるため、PVP形式のゲーム大会『ソウル杯』を企画した。  その目的はアノア研究所が用意した施設に参加者を集め、アルカナ・ボンヤードを体験してもらい、より多くのデータを収集する事にある。  ゲームのルールは、ゲーム内でプレイヤー同士を戦わせて、最後に生き残った者が勝者となる。優勝賞金は300万ドルという高額から、全世界のゲーマーだけでなく、格闘家、軍隊からも注目される大会となった。  各界のプロが競い合うことから、ネットではある噂が囁かれていた。それは……。 『この大会で優勝した人物はネトゲ―最強のプレイヤーの称号を得ることができる』  あるものは富と名声を、あるものは魂の世界の邂逅を夢見て……参加者は様々な思いを胸に、戦いへと身を投じていくのであった。 *お話の都合上、会話が長文になることがあります。  その場合、読みやすさを重視するため、改行や一行開けた文体にしていますので、ご容赦ください。   投稿日は不定期です 「小説家になろう」でも投稿していますが、投稿は終了しています

処理中です...