魔法と科学の境界線

北丘 淳士

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好意

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 素直で、そしてしっかりと地に付いたエディアの言葉に、旭は今まで以上の彼女の強さを感じた。それと同時に寂しさも。だけど普段のエディアからはそんな空気を微塵も感じさせない。旭はエディアの強さに惹かれていた。同情などという安いものではなく、真剣に自分に対して向き合い、答えを探るため直向に邁進する。そんな彼女に好意を覚え始めていたのは確かだった。
 ただエディアの目的に対し、旭はそのヒントを知っている。北野が彼女の父親を知っているのだ。そのことを顔に出さないようにしていた。
 北野がエディアの父親のことを知っていると言うべきか。言ってエディアの父親が誰だか判明して、彼女の願いを叶えるべきか。それか、「エディアにはそのうち伝える」と言っていた北野の言葉を信じ、何食わぬ顔でこれからもエディアと接するべきなのか。
「エディア、お父さんが見つかったらどうするつもり? 怒るのか?」
「……んー、別に怒ってはいないわ。ママもパパの意思を尊重して送り出したみたいだし、パパが頑張って送金してくれていたおかげで、私たちの生活も全然苦しくなかったから、見捨てられたとかは思ってない。ただパパが本当にママを愛していたのかだけ聞きたい。ママはパパのことを愛していたから、そうじゃなくてはママが可哀相だもん」
「そうか……」
 楽しそうにそう語るエディアを向かいに見ながら、ここで言ってしまうのも無粋だと旭は思った。
 自分の考えが関与する余地はない。エディアは自分の信念が行き着く末に、然るべきタイミングで然るべき事実を知ったほうがいいと思った。
「見つかるといいな、お父さん」
「うん、ありがと!」先程と同じく、エディアは力強く答えた。
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