魔法と科学の境界線

北丘 淳士

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アマニ

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 日曜日の朝、旭たち3人が朝食をとっていると、北野からメールが届いた。香苗のLOTにも同時にメールの着信音が鳴る。
 内容はタイトルを見ないでも旭は、すぐに分かった。ザンビアの謎の物体だ。
 養殖の秋刀魚をほぐしていた旭は、すぐに箸を止めLOTを開く。エディアが横目で何か言いたそうにしていたが、旭は無視して北野からの”アマニ”とタイトルが付けられたメールを開いた。
 ”発掘された物体の画像が現地から送られてきたので転送する。その物体の名称を何にするか知り合いの考古学者がせっついていたので、その考古学者と話し合って現地の公用語の一つベンバ語で『卵』の意味を持つ『アマニ』を採用した。詳細は月曜日に再び連絡するそうだ”
 旭は添付画像を見た。そこには黒い光沢を放つラグビーボールのような、先端がやや尖った物体が、縦になって半分地中に埋まっている。地中から姿を見せたばかりだが、土砂がこびり付いている感じがなく、穴に今置いたかのように黒光している。動画も添付されていたので旭は再生してみると、小さなブラシで物体の周りの土を丁寧に擦っていた。だが見た感じ、それは傷1つ付いてない。ブラシで丁寧に掘らなくても大丈夫な雰囲気が動画から見て取れる。動画はそこで終わっていた。
「ってことは、2日ぐらいで掘り出して、3日ほど検査を受けて、アシンベルに到着するのは来週末か明けぐらいか……」
 メールを見ながら、旭は気付かないうちに一人ごちていた。
「アキラ、やっぱりアレのメールだったの?」
「ん……? ああ」
「ホント、あの子の事になると我を忘れるんだから」
「お前なー、勘繰り過ぎだぞ」
「……秋刀魚とられたのも気付かないくせに」
「えっ? あっ!! エディア、食べやがったな!」
 旭の眼前にあった食べかけの秋刀魚の塩焼きが、エディアの皿の上で骨だけになっていた。
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