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プロローグ
2話 世界に降り立つ
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「熱い…熱い…‼︎熱い…!やめろーっ‼︎やめてくれ‼︎顔が、顔が溶ける…‼︎」
俺は頭に残る感触に絶叫していた。
「溶けてないですよ。今は。顔を触ってみなさい」
突然耳に入ってきたその声に我に帰った俺は、もう一度改めて顔を触ってみた。
「あ、あれ?」
硫酸だか塩酸(化学はからっきしできないのでよく分からない)だかをぶっかけられて、俺の顔はボロボロになった筈だ。
「貴方は死んだんですよ」
「…‼︎…じゃ、じゃあ誰なんだアンタは…そもそもここはどこなんだ‼︎」
周りのとにかく真っ白な景色をキョロキョロと見渡しながら、俺は声の限り叫んだ。
「ここは『裁判所』、私は『裁判官』です…まぁ生前の業をここで判断して、貴方の魂をもう一度どこかに産み落とさせるか、はたまたそのまま落とすか。もしくは『ここよりも真っ白な世界に』ずっと漂わせておくかを判断する場所です。…因みに、貴方の死因は」
「…聞きたかねぇよ。そんなもん」
死因は多分窒息死だ。硫酸を流し込まれてドロドロに溶けた俺の口内の組織が喉に詰まったんだ。…思い出すだけで地獄にいるみたいな気分になる。
「…それで…その、俺はこれから一体どうなるんだ」
何故か、裁判官が口をつぐんだ。
「おい…大丈夫か?」
すると、また声が頭の中に響いてきた。
「貴方にはチャンスを与えましょう。見たところ、貴方は今まで『熱くなった』ことがないようですしね。貴方がこれから行くのは『熱くなれる世界』…」
「…?何を…」
「さよなら。三島ハジメ」
瞬間、下の真っ白い地面が、ハンマーで壊されたガラス板のように割れ、その隙間から何も見えない暗黒の空間が姿を現した。
「…なんなんだよ!これはよォォオ‼︎」
ハジメはそう叫びながら、黒い空間に落ちて行った。
「…い‼︎…お…い‼︎…『お兄』‼︎」
「ウワァァアッ‼︎」
「なーにやってんのお兄…もう学校行く時間でしょ」
「あ、あぁ」
何か、特別に長い夢を見ていた気がする。俺、『山岸ワタル』は妹、『山岸ユウ』に起こしてくれた事を感謝しながら起床した。
俺は…『学校』の二年生だ。だから、これからいつも通り朝食を済ましてスマホを触ってから登校するはずだ。
なのになんだ…この違和感は?
朝食を食べ終わり、その後自室に戻った俺は、あくびをしつつパジャマのポケットにあるスマホを取り出した。
「あー…ねむ」
結局違和感の正体は食パンをかじっている最中もわからなかったし…まぁ置いておくか。俺は適当にそう考えると、ゲームアプリを開いた。
「ダメです」
「は?」
突然の声に、俺はスマホから目線を上げた。そこには、際どい衣装を着た『天使』が立っていた。
チャイナドレスのような横に深い切れ目が入った長いスカートに、胸がX字に露出している(ギリギリ見えない)際どいがゆったりとした上着に、風神雷神のあの羽衣のような布が合わさっている。そして、大胆に露出している背面からは神々しい真っ白な翼が生えており、頭頂部には輪っかが浮かび、光っている。
そして、何より目を引くのが髪だ。肩まで伸ばされた金色の髪が艶やかな光をあちらこちらに反射している。なんというか…エロいを通り越して…神々しい…!
「髪フェチですか」
「ち、ちがわい!てか誰なんだアンタ‼︎」
「私の名前はキューベラ」
それから、沈黙が俺の部屋を支配した。
俺は頭に残る感触に絶叫していた。
「溶けてないですよ。今は。顔を触ってみなさい」
突然耳に入ってきたその声に我に帰った俺は、もう一度改めて顔を触ってみた。
「あ、あれ?」
硫酸だか塩酸(化学はからっきしできないのでよく分からない)だかをぶっかけられて、俺の顔はボロボロになった筈だ。
「貴方は死んだんですよ」
「…‼︎…じゃ、じゃあ誰なんだアンタは…そもそもここはどこなんだ‼︎」
周りのとにかく真っ白な景色をキョロキョロと見渡しながら、俺は声の限り叫んだ。
「ここは『裁判所』、私は『裁判官』です…まぁ生前の業をここで判断して、貴方の魂をもう一度どこかに産み落とさせるか、はたまたそのまま落とすか。もしくは『ここよりも真っ白な世界に』ずっと漂わせておくかを判断する場所です。…因みに、貴方の死因は」
「…聞きたかねぇよ。そんなもん」
死因は多分窒息死だ。硫酸を流し込まれてドロドロに溶けた俺の口内の組織が喉に詰まったんだ。…思い出すだけで地獄にいるみたいな気分になる。
「…それで…その、俺はこれから一体どうなるんだ」
何故か、裁判官が口をつぐんだ。
「おい…大丈夫か?」
すると、また声が頭の中に響いてきた。
「貴方にはチャンスを与えましょう。見たところ、貴方は今まで『熱くなった』ことがないようですしね。貴方がこれから行くのは『熱くなれる世界』…」
「…?何を…」
「さよなら。三島ハジメ」
瞬間、下の真っ白い地面が、ハンマーで壊されたガラス板のように割れ、その隙間から何も見えない暗黒の空間が姿を現した。
「…なんなんだよ!これはよォォオ‼︎」
ハジメはそう叫びながら、黒い空間に落ちて行った。
「…い‼︎…お…い‼︎…『お兄』‼︎」
「ウワァァアッ‼︎」
「なーにやってんのお兄…もう学校行く時間でしょ」
「あ、あぁ」
何か、特別に長い夢を見ていた気がする。俺、『山岸ワタル』は妹、『山岸ユウ』に起こしてくれた事を感謝しながら起床した。
俺は…『学校』の二年生だ。だから、これからいつも通り朝食を済ましてスマホを触ってから登校するはずだ。
なのになんだ…この違和感は?
朝食を食べ終わり、その後自室に戻った俺は、あくびをしつつパジャマのポケットにあるスマホを取り出した。
「あー…ねむ」
結局違和感の正体は食パンをかじっている最中もわからなかったし…まぁ置いておくか。俺は適当にそう考えると、ゲームアプリを開いた。
「ダメです」
「は?」
突然の声に、俺はスマホから目線を上げた。そこには、際どい衣装を着た『天使』が立っていた。
チャイナドレスのような横に深い切れ目が入った長いスカートに、胸がX字に露出している(ギリギリ見えない)際どいがゆったりとした上着に、風神雷神のあの羽衣のような布が合わさっている。そして、大胆に露出している背面からは神々しい真っ白な翼が生えており、頭頂部には輪っかが浮かび、光っている。
そして、何より目を引くのが髪だ。肩まで伸ばされた金色の髪が艶やかな光をあちらこちらに反射している。なんというか…エロいを通り越して…神々しい…!
「髪フェチですか」
「ち、ちがわい!てか誰なんだアンタ‼︎」
「私の名前はキューベラ」
それから、沈黙が俺の部屋を支配した。
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