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第三章・我校引線
14話 いつだって、子を思う親はマジ最強 【OVER TIME】
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「イぃで水ゥ!お前を殺す‼︎」
「マジかよ…お前は‼︎」
窓ガラスを突き破って部屋に入って来たのは先程自分が倒したはずの浅雨凛太郎だった。
「…生み出したボールを積み上げてここに入って来やがったのか…‼︎」
「殺ォす‼︎」
出水はすぐさま校長室のドアを蹴破り、廊下に躍り出た。浅雨父もそれを追う。
「…邪魔が入ったか。よし、改めて君のアンサーを…あれ」
狩野が振り向いた時には、ソファに座っていた筈の時墺は開けられたドアの方に立っていた。
「急用を思い出したので…失礼します‼︎」
そして時墺は出て行った。
「…まぁいい。今は後回しだ」
狩野は棚の鍵穴に鍵を差し込んで開けると、そこから麻酔銃を取り出した。
「時墺鈴…もしかして、記憶がないのか?そうとしか考えられないが…」
「『アイズ』‼︎『スリーポイントレーザー』‼︎」
三つの『アイズ』から放たれたレーザーが、螺旋を描いて一本のレーザーに収束されて行き、十メートル先の出水の頭を真正面から撃ち抜いた。
「さっきより強くなってんじゃねぇか…!」
『One more time』で蘇った出水は冷や汗をかいた。浅雨凛太郎…こいつ、戦闘経験は無いように思えるが、その分私の命への執着がとてつもない。普通なら三日間眠り続ける薬を打ち込んだ筈だのに、それでも先程より動きが洗練されている。
「『アイズ』‼︎『スリーポイントレーザー』‼︎」
「いよいしょお‼︎」
出水は放たれた極太レーザーを、後ろにのけぞることで回避した。
「凛太郎!お前の息子を人質に取られてるんだろう⁈安心しろ、私の友達に明日辺って奴がいて、そいつなら」
「信用できるか‼︎」
浅雨父は出水の言葉を無視して更なる攻撃を送った。
「出水を囲め『アイズ』‼︎」
その言葉とともに『アイズ』が出水の周りで跳ね始めた。
「…またかよ!」
出水はすぐさま近くの教室に飛び込んだ。その瞬間、廊下から眩い光と轟音と熱風が溢れた。
その音に驚いた生徒と教師が叫び声を上げる。
「きっ君っ‼︎これは一体…」
教室で授業をしていた数学教師が出水にそう尋ねる。
「今は説明無理です‼︎」
教師の問いに対してそう濁しつつ、出水は教室の空いている窓から外へ飛び出した。
「やれやれ…凛太郎め、的確に私に狙いをつけて来やがる!だが、麻酔が効いてないわけでは無さそうだ」
実際、浅雨父の足取りは千鳥足で、足取りがおぼつかなかった。それでも私を殺すために立ち向かってくるとは、浅雨父の覚悟の強さが伺える。だが、覚悟の強さなら私とて同じだ。今やるべきは、『浅雨父を出来るだけ殺さずに無力化する』これだけだ!
意識が朦朧とする。まるで視界に霧がかかっているように感じる。だが、俺は…有太のために、有太の為に、耐えなければならない…!
「出水ぅ露ぉ沙‼︎」
血走った目をぎらつかせながら浅雨父が叫ぶ。冷静さや、周りへの配慮もなく、浅雨父は出水に対する殺意を心からたぎらせた。
「どこだ!殺してやる…!殺さなければ…!出水露沙‼︎」
その時、学園のあちこちにある放送用スピーカーから音が響いた。
「凛太郎様、凛太郎様、出水さんからの伝言です。『屋内プールにお越しください』、『屋内プールにお越しください』。以上です」
そう伝え終わると、時墺は放送室から出た。
「私の一声で放送室の鍵を渡してくれるとはね…やっぱり何かおかしいわこの学校…」
そう独り言を呟くと、時墺はメールで送られて来た出水の指示を見つめた。
「頑張ってね露沙」
時墺は願いを込めてそう言った。
温室プールの入り口から、一つのバスケットボールが跳ねながら飛び込んできた。そのバスケットボールは跳ねるごとに増殖し、その上更なるボールたちが跳ねながら飛び込んでくる。
「…来たな。浅雨凛太郎!」
数多のバスケットボールに身を隠している浅雨父の姿を見て出水はそう言った。
現在、出水と浅雨父はプールを挟んで立っている。そして浅雨父にとって、この状況は有利としか言いようがない。何故なら出水の飛び道具は、『アイズ』の壁で防ぐことができるので、言ってしまえば、距離をとって次から次へと『アイズ』のレーザーを当ててしまえば良いのだ。
「『スリーポイント・レーザー』‼︎」
収束されたレーザーが、周囲を薙ぎ払うかのように放たれる。出水はこれを難なく避けた。
「分裂しろ‼︎」
が、その掛け声とともにレーザーが3つに分かれた。完全に不意を突かれた出水は一本のレーザーによって右肩から左横腹にかけて火傷を負った。
「がぁぁあぁああッ‼︎」
出水は焼けるような痛みに思わず左手を火傷に添え、『アイズ』で身を覆う浅雨父と距離をとった。
「『距離を取る』イコール『お前の負け』だ!今度こそ死ね出水露沙ァ‼︎」
「来いよオラァ‼︎」
浅雨父の叫びに、出水は渾身のシャウトで答えた。
出水の策、それは結局のところ、『能力のゴリ押しで、とにかく相手に近づく』。ただこれだけである。
「『アイズ』‼︎爆ぜろ‼︎」
浅雨父は10m先の出水のすぐ近くにあるアイズに向かってそう叫んだ。その瞬間、『アイズ』は赤熱を纏って爆裂した。
「こんどこそ…倒した」
出水の近くで『アイズ』が爆裂したのを見届けると、浅雨凛太郎は前のめりに倒れた。
「マジかよ…お前は‼︎」
窓ガラスを突き破って部屋に入って来たのは先程自分が倒したはずの浅雨凛太郎だった。
「…生み出したボールを積み上げてここに入って来やがったのか…‼︎」
「殺ォす‼︎」
出水はすぐさま校長室のドアを蹴破り、廊下に躍り出た。浅雨父もそれを追う。
「…邪魔が入ったか。よし、改めて君のアンサーを…あれ」
狩野が振り向いた時には、ソファに座っていた筈の時墺は開けられたドアの方に立っていた。
「急用を思い出したので…失礼します‼︎」
そして時墺は出て行った。
「…まぁいい。今は後回しだ」
狩野は棚の鍵穴に鍵を差し込んで開けると、そこから麻酔銃を取り出した。
「時墺鈴…もしかして、記憶がないのか?そうとしか考えられないが…」
「『アイズ』‼︎『スリーポイントレーザー』‼︎」
三つの『アイズ』から放たれたレーザーが、螺旋を描いて一本のレーザーに収束されて行き、十メートル先の出水の頭を真正面から撃ち抜いた。
「さっきより強くなってんじゃねぇか…!」
『One more time』で蘇った出水は冷や汗をかいた。浅雨凛太郎…こいつ、戦闘経験は無いように思えるが、その分私の命への執着がとてつもない。普通なら三日間眠り続ける薬を打ち込んだ筈だのに、それでも先程より動きが洗練されている。
「『アイズ』‼︎『スリーポイントレーザー』‼︎」
「いよいしょお‼︎」
出水は放たれた極太レーザーを、後ろにのけぞることで回避した。
「凛太郎!お前の息子を人質に取られてるんだろう⁈安心しろ、私の友達に明日辺って奴がいて、そいつなら」
「信用できるか‼︎」
浅雨父は出水の言葉を無視して更なる攻撃を送った。
「出水を囲め『アイズ』‼︎」
その言葉とともに『アイズ』が出水の周りで跳ね始めた。
「…またかよ!」
出水はすぐさま近くの教室に飛び込んだ。その瞬間、廊下から眩い光と轟音と熱風が溢れた。
その音に驚いた生徒と教師が叫び声を上げる。
「きっ君っ‼︎これは一体…」
教室で授業をしていた数学教師が出水にそう尋ねる。
「今は説明無理です‼︎」
教師の問いに対してそう濁しつつ、出水は教室の空いている窓から外へ飛び出した。
「やれやれ…凛太郎め、的確に私に狙いをつけて来やがる!だが、麻酔が効いてないわけでは無さそうだ」
実際、浅雨父の足取りは千鳥足で、足取りがおぼつかなかった。それでも私を殺すために立ち向かってくるとは、浅雨父の覚悟の強さが伺える。だが、覚悟の強さなら私とて同じだ。今やるべきは、『浅雨父を出来るだけ殺さずに無力化する』これだけだ!
意識が朦朧とする。まるで視界に霧がかかっているように感じる。だが、俺は…有太のために、有太の為に、耐えなければならない…!
「出水ぅ露ぉ沙‼︎」
血走った目をぎらつかせながら浅雨父が叫ぶ。冷静さや、周りへの配慮もなく、浅雨父は出水に対する殺意を心からたぎらせた。
「どこだ!殺してやる…!殺さなければ…!出水露沙‼︎」
その時、学園のあちこちにある放送用スピーカーから音が響いた。
「凛太郎様、凛太郎様、出水さんからの伝言です。『屋内プールにお越しください』、『屋内プールにお越しください』。以上です」
そう伝え終わると、時墺は放送室から出た。
「私の一声で放送室の鍵を渡してくれるとはね…やっぱり何かおかしいわこの学校…」
そう独り言を呟くと、時墺はメールで送られて来た出水の指示を見つめた。
「頑張ってね露沙」
時墺は願いを込めてそう言った。
温室プールの入り口から、一つのバスケットボールが跳ねながら飛び込んできた。そのバスケットボールは跳ねるごとに増殖し、その上更なるボールたちが跳ねながら飛び込んでくる。
「…来たな。浅雨凛太郎!」
数多のバスケットボールに身を隠している浅雨父の姿を見て出水はそう言った。
現在、出水と浅雨父はプールを挟んで立っている。そして浅雨父にとって、この状況は有利としか言いようがない。何故なら出水の飛び道具は、『アイズ』の壁で防ぐことができるので、言ってしまえば、距離をとって次から次へと『アイズ』のレーザーを当ててしまえば良いのだ。
「『スリーポイント・レーザー』‼︎」
収束されたレーザーが、周囲を薙ぎ払うかのように放たれる。出水はこれを難なく避けた。
「分裂しろ‼︎」
が、その掛け声とともにレーザーが3つに分かれた。完全に不意を突かれた出水は一本のレーザーによって右肩から左横腹にかけて火傷を負った。
「がぁぁあぁああッ‼︎」
出水は焼けるような痛みに思わず左手を火傷に添え、『アイズ』で身を覆う浅雨父と距離をとった。
「『距離を取る』イコール『お前の負け』だ!今度こそ死ね出水露沙ァ‼︎」
「来いよオラァ‼︎」
浅雨父の叫びに、出水は渾身のシャウトで答えた。
出水の策、それは結局のところ、『能力のゴリ押しで、とにかく相手に近づく』。ただこれだけである。
「『アイズ』‼︎爆ぜろ‼︎」
浅雨父は10m先の出水のすぐ近くにあるアイズに向かってそう叫んだ。その瞬間、『アイズ』は赤熱を纏って爆裂した。
「こんどこそ…倒した」
出水の近くで『アイズ』が爆裂したのを見届けると、浅雨凛太郎は前のめりに倒れた。
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