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第二章・異国騒音
5話 その依頼者、カストロ
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出水は取り敢えず、側のダンボール箱に腰掛けると、向かいのダンボールにカストロに座ってもらおうと、そこに向かって座ってと言った。
「でけぇ面をしやがる女だな」
「は?なんか言った?」
「言ってない」
「…とにかく、あたしは兎に角命が危ないから、安全が確保できるまで、ここに匿ってほしい」
「えぇ…?」
カストロは出水の要求を聞くと、露骨に嫌そうな顔をした。
「そんな嫌そうな顔しないでよ。匿わせてもらう以上、アンタの『雷獣』討伐を手伝う」
「何?」
カストロの嫌そうな顔が怪訝そうな顔に変わった。
「私は奴に顔を見られてるし、間違えて自分の名前を教えてしまった。つまりもう私の身元は割れている。これじゃいつまで経っても安心できないから、あんたと協力して『雷獣』を無力化したいわけ」
「やだね。俺は奴を自分1人で殺すために二年間準備をしてきたんだ。お前に邪魔されるいわれはない」
「ふーん」
出水はダンボールから立ち上がり、側の別のダンボールの蓋をあけ、中を探り始めた。
「いっぱい銃火器とか持ってきてるけど、奴に当たると思ってんの?」
「まさか。その武器達は『お守りであり、お飾り』だ。後、その横にあるでかい黒い奴に触るんじゃないぞ。誤射でもしたらここがぶっ飛ぶ」
『アルテミス』と英語で刻印された高級感あふれる箱を横目に出水はため息をつきつつ、周囲をまた探索し始めた。
「どーせゴムで出来たスーツでも来て殺すつもりなんでしょ…ってほんとにあったわ」
出水は右手に持った肌色のぴちぴちのゴムのスーツをひらひらとたなびかせながらそう言った。
「馬鹿にした風に言うな。それ着るのが最善だろ?異論があったら是非聞かせてほしいもんだね」
「異論はないわ。絶縁体だけがあの化け物に突き立てられる唯一の武器なのは分かる」
ゴムのスーツを側のダンボールに投げつつ出水は話を続ける。
「だけどそんな事、奴だって百も承知で対策を用意してくるに決まってる。その対策が何かわからん以上、不安材料は消えないってこと」
そう言うと出水は右手を丸め、親指だけを突き出し、その先端を自分に向け、こう言った。
「そこで私という一人の能力者が協力してあげるのよ?あんたを残して死んでいった仲間のことを考えると、あんた一人でおっ死んで行くのは嫌だと思うけど?」
出水のこの言葉を聞いたカストロは座ったまま目を閉じて悩んだ。
ここまで悩んでいるということはすなわち、自分の能力に自信がないということに他ならない。出水は十中八九私の提案をこの男は受け入れると踏んだ。
そこから出水は、自分の能力、『One more time』の説明をし、それが終わるとカストロは、出水の協力を受け入れる。と、渋々ながら言った。
「私の能力を話したんだからあんたの能力も話しなさいよ」
この当然とも言える要求には、カストロは「明日答えてやるからもう寝ろ」としか言わず、カストロは右手にあるドアの向こうに行ってしまった。
「全く…ずいぶんとマイペースな男だな」
出水はそう呟くと、先程ダンボールを漁っている時に見つけた毛布を段ボールから引っ張り出した。
「でけぇ面をしやがる女だな」
「は?なんか言った?」
「言ってない」
「…とにかく、あたしは兎に角命が危ないから、安全が確保できるまで、ここに匿ってほしい」
「えぇ…?」
カストロは出水の要求を聞くと、露骨に嫌そうな顔をした。
「そんな嫌そうな顔しないでよ。匿わせてもらう以上、アンタの『雷獣』討伐を手伝う」
「何?」
カストロの嫌そうな顔が怪訝そうな顔に変わった。
「私は奴に顔を見られてるし、間違えて自分の名前を教えてしまった。つまりもう私の身元は割れている。これじゃいつまで経っても安心できないから、あんたと協力して『雷獣』を無力化したいわけ」
「やだね。俺は奴を自分1人で殺すために二年間準備をしてきたんだ。お前に邪魔されるいわれはない」
「ふーん」
出水はダンボールから立ち上がり、側の別のダンボールの蓋をあけ、中を探り始めた。
「いっぱい銃火器とか持ってきてるけど、奴に当たると思ってんの?」
「まさか。その武器達は『お守りであり、お飾り』だ。後、その横にあるでかい黒い奴に触るんじゃないぞ。誤射でもしたらここがぶっ飛ぶ」
『アルテミス』と英語で刻印された高級感あふれる箱を横目に出水はため息をつきつつ、周囲をまた探索し始めた。
「どーせゴムで出来たスーツでも来て殺すつもりなんでしょ…ってほんとにあったわ」
出水は右手に持った肌色のぴちぴちのゴムのスーツをひらひらとたなびかせながらそう言った。
「馬鹿にした風に言うな。それ着るのが最善だろ?異論があったら是非聞かせてほしいもんだね」
「異論はないわ。絶縁体だけがあの化け物に突き立てられる唯一の武器なのは分かる」
ゴムのスーツを側のダンボールに投げつつ出水は話を続ける。
「だけどそんな事、奴だって百も承知で対策を用意してくるに決まってる。その対策が何かわからん以上、不安材料は消えないってこと」
そう言うと出水は右手を丸め、親指だけを突き出し、その先端を自分に向け、こう言った。
「そこで私という一人の能力者が協力してあげるのよ?あんたを残して死んでいった仲間のことを考えると、あんた一人でおっ死んで行くのは嫌だと思うけど?」
出水のこの言葉を聞いたカストロは座ったまま目を閉じて悩んだ。
ここまで悩んでいるということはすなわち、自分の能力に自信がないということに他ならない。出水は十中八九私の提案をこの男は受け入れると踏んだ。
そこから出水は、自分の能力、『One more time』の説明をし、それが終わるとカストロは、出水の協力を受け入れる。と、渋々ながら言った。
「私の能力を話したんだからあんたの能力も話しなさいよ」
この当然とも言える要求には、カストロは「明日答えてやるからもう寝ろ」としか言わず、カストロは右手にあるドアの向こうに行ってしまった。
「全く…ずいぶんとマイペースな男だな」
出水はそう呟くと、先程ダンボールを漁っている時に見つけた毛布を段ボールから引っ張り出した。
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