優しいユメと君に微睡む。

第5話「君と生きる未来」

君の決心。

　それから2年後。
　俺は医科大学に合格した。
　春弥と会える時間が少し減ったりして寂しさもあったが春弥に俺の気持ちを伝えたらむしろ応援したいと言ってくれた。

「僕も早く治せるように頑張る」

　と笑顔で言ってくれて、その笑顔が見れただけでも俺にとってはすごく幸せだった。

　春弥の両親とも会っていろいろな話をした。
　とても優しい人たちで俺の親父と同じように俺たちの交際を認めてくれた。

　俺が大学に通い始めて一年ほど経ったときに、春弥から造血幹細胞移植をする、という話を聞かされた。
　それと同時にデメリットについても話してくれて、正直俺としては反対したい一心だった。
　命を落とす可能性もあるという話に、簡単には頷くことも出来なかった。

　それでも春弥は真剣な顔で

「ちゃんと凛空と普通に生きていきたい。完治できる可能性があるなら、試せることを試したい」

　軽い気持ちで言っている訳じゃないことはわかった。
　だから、俺も春弥を信じることにした。

　手術日までの毎日は勉強もなかなか身が入らず、心の中もぐちゃぐちゃだった。
　春弥が死んでしまうのではないか、移植したあと、拒絶反応などでもっと春弥が苦しむのではないか。
　そんな考えがずっと頭を過ぎっていた。

　手術当日。
　俺は大学を休んで春弥の両親と手術室の前でとりあえず今は手術が無事に終わるように祈った。
　手術室の灯りが消え中から先生が出てきて、とりあえず手術は成功したことを告げられ、その後に術後の経過や副作用、拒絶反応などの様子を見るためにまだしばらくは入院が必要なことも告げられた。

　その後は、俺は大学の勉強をしながらも春弥に何度も会いに行った。
　心配で気が気じゃないことの方が多く、それでも医者になるという夢を諦めたくはなかった。