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あれ、ここはどこだ?
目を開けると自分のぼろアパートではない天井。
大きな窓からは朝日が差し込んでいる。
上半身をベッドから起こし、辺りを見回すが人の気配はない。
まだ覚醒しきらない頭で思考を巡らせる。
昨日は大学の試験期間が終わって、打ち上げだーって友達と酒を飲んで、楽しくなって飲み過ぎて、それから、、、
「起きたか」
不意に声をかけられ肩がビクッと揺れる。
声の方に目線を向けるとそこには人間の様に二足で立つ白い虎がいた。
ひゅっと喉の奥が鳴る。
ど、どうしよ、俺食べられるんじゃ?!
俺に近づいてくる虎は、一目見ただけで分かる強靭な肉体を持ち、白と黒の美しい毛並みに覆われている。
エメラルドの様な瞳はキラキラと輝いて見える。
しゃべったし、服着てるし、二足歩行だし、! !
「おい、大丈夫か?」
「だ、大丈夫!」
「私はレイモンド・バークハウゼン。ここは私の屋敷だ。お前のことは昨日街で拾った。」
「街、で?」
「ああ。」
街で拾った?倒れていたのを助けてくれたってことだろうか。
「お前は人間であっているか?」
「え?人間だけど、、」
「やはりそうか。人間は何百年も前に滅んだ存在だと思っていたが、存在したんだな。」
「滅んだ?!人間が?」
「そうだが?幼子でも知っているくらい有名なことじゃないか。」
もしかして、ここ異世界?!
異世界転移しちゃったのか俺!
「そんなことより、お前の名前は?」
はっ、そう言えば名乗ってないや。
俺は背筋を伸ばし、レイモンドの瞳に視線を合わせる。
「俺は八戸那桜。多分だけど、こことは違う世界から来たんだと思う?」
「違う、世界、?頭がまだ混乱しているのか?」
「あ、違くて、、」
それから、俺は昨日友達と酒を飲みその後の記憶がないこと、そして元の世界について簡単に説明した。
「ふむ、お前の話を聞く限り、やはりこことは違う世界から来たようだな。」
やっぱり、これ異世界転生だ。
俺、帰れるのかな?
「今までにも人間が突然現れたこととかってあった?」
「私の知る限り無いな。」
「じゃあ、元の世界に帰る方法とかって、」
「すまない、検討がつかないな。」
うわぁ、まじか、向こうの世界でやり残したこといっぱいあるのに。
一人暮らしと言えど、俺がいなくなれば両親だって悲しむし、友達だって、
でも、前例が無いってことはそういうこと、だよな。
「ナオ、大丈夫か?」
黙ってしまった俺を心配したレイモンドが声をかけてくる。
「え、ああ、大丈夫、、だよ。」
「そうか、」
帰れないなら気持ちを切り替えなきゃだよな。
そう思って俺は無理やり笑顔を作った。
目を開けると自分のぼろアパートではない天井。
大きな窓からは朝日が差し込んでいる。
上半身をベッドから起こし、辺りを見回すが人の気配はない。
まだ覚醒しきらない頭で思考を巡らせる。
昨日は大学の試験期間が終わって、打ち上げだーって友達と酒を飲んで、楽しくなって飲み過ぎて、それから、、、
「起きたか」
不意に声をかけられ肩がビクッと揺れる。
声の方に目線を向けるとそこには人間の様に二足で立つ白い虎がいた。
ひゅっと喉の奥が鳴る。
ど、どうしよ、俺食べられるんじゃ?!
俺に近づいてくる虎は、一目見ただけで分かる強靭な肉体を持ち、白と黒の美しい毛並みに覆われている。
エメラルドの様な瞳はキラキラと輝いて見える。
しゃべったし、服着てるし、二足歩行だし、! !
「おい、大丈夫か?」
「だ、大丈夫!」
「私はレイモンド・バークハウゼン。ここは私の屋敷だ。お前のことは昨日街で拾った。」
「街、で?」
「ああ。」
街で拾った?倒れていたのを助けてくれたってことだろうか。
「お前は人間であっているか?」
「え?人間だけど、、」
「やはりそうか。人間は何百年も前に滅んだ存在だと思っていたが、存在したんだな。」
「滅んだ?!人間が?」
「そうだが?幼子でも知っているくらい有名なことじゃないか。」
もしかして、ここ異世界?!
異世界転移しちゃったのか俺!
「そんなことより、お前の名前は?」
はっ、そう言えば名乗ってないや。
俺は背筋を伸ばし、レイモンドの瞳に視線を合わせる。
「俺は八戸那桜。多分だけど、こことは違う世界から来たんだと思う?」
「違う、世界、?頭がまだ混乱しているのか?」
「あ、違くて、、」
それから、俺は昨日友達と酒を飲みその後の記憶がないこと、そして元の世界について簡単に説明した。
「ふむ、お前の話を聞く限り、やはりこことは違う世界から来たようだな。」
やっぱり、これ異世界転生だ。
俺、帰れるのかな?
「今までにも人間が突然現れたこととかってあった?」
「私の知る限り無いな。」
「じゃあ、元の世界に帰る方法とかって、」
「すまない、検討がつかないな。」
うわぁ、まじか、向こうの世界でやり残したこといっぱいあるのに。
一人暮らしと言えど、俺がいなくなれば両親だって悲しむし、友達だって、
でも、前例が無いってことはそういうこと、だよな。
「ナオ、大丈夫か?」
黙ってしまった俺を心配したレイモンドが声をかけてくる。
「え、ああ、大丈夫、、だよ。」
「そうか、」
帰れないなら気持ちを切り替えなきゃだよな。
そう思って俺は無理やり笑顔を作った。
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