【完結】ねこの国のサム

榊咲

文字の大きさ
上 下
37 / 135
〈本編〉

クロ兄弟の横暴への罰2

しおりを挟む
 あの公園での事件後の休日になりました。夜に長老の家に集落の人達が集まってきました。夜で危ない事から子ども達は家に留守番となりました。長老は集まった人達に言いました。

「今日は集まってくれ、ありがとう。今日の案件はクロ兄弟の事じゃ。皆も知っていると思うがクロ兄弟はよく公園で遊んでいる子ども達に暴言や暴力をふるっているようじゃ。皆の意見を聞きたい」

 長老は集まった人達に意見を聞き、クロ兄弟の処分を決めようと思っていました。もちろんクロ兄弟の母親にも意見を言わせ、クロ達が反省すれば良し反省しなければ人の国への追放も考えていました。

「クロ達は前にも注意されましたよね。それでも反省しないで……、反省する事は無いんじゃないですか?」と1人の母親が言いました。それに賛同する母親達が『そうよ、そうよ』と言います。

 また違う母親が「あの子達は何がしたいんですかね。何時も公園で遊んでいる子達に絡んで」と言います。また違う母親が「そうよ。絡んでくるし、危ないから注意すると暴力を振るってくるし」と言います。

 クロ達の母親のチィはクロ達がまさかこの様な暴力や暴言をいっているとは知りませんでした。一度、それらしい事を近所の人に聞いてクロ達に聞きましたが『そんな事してないよ、母さん。反対にあっちが仲間外れにしてくるんだ』と言っていたのです。

 まさかクロ達が嘘をついていて、本当は近所の人が言っていた事が真実だったなんて…‥‥、夢にも思っていませんでした。チィはここまで集落の人が言うって事はこれが真実なのだと思いました。

「チィさん、何か言う事はないかね」と長老が聞いてきました。
「申し訳ありません。前に近所の方に聞いた時にうちの子に聞いたのですが、そんな事してないと…反対に仲間外れになっていると…言ってました。まさか嘘をつかれていたなんて………」チィは泣きながら長老に話をしました。

 長老はチィに「なぜ自分の子達だけに聞いて、よその子達に聞かなかったのかね。聞いていればこんなに問題になる前に解決したと思うがのぅ」と言いました。
「そうですね。申し訳ありません」とチィは謝りました。

「長老、チィさんだけの問題だけではないと思います」とアゴ母さんが長老に言いました。
「アゴさん、どう言うことかね」と長老が聞きます。
「まず、クロちゃん達が公園に初めて来た時に一緒に遊んであげなかった事が発端かもしれません」とアゴ母さんが言いました。

「チィさん、どうなのかね」と長老がチィに聴きます。
「はい、初めて公園に行った時は誰も公園にはいませんでした。次に行った時もいませんでした」とチィは思い出しながら言います。

「時間はいつ行ってましたか?」とアゴ母さんが聞きました。
「初めてと次の時は夕方です」とチィが言いました。

 アゴ母さんは長老に「公園に出掛けた時間が遅くて誰も居なかったんですね。それで朝、公園に行くと子ども達がたくさんいて遊ぶことが出来なかったのではないでしょうか。前は遊べたのに遊べない。それなら居なくなれば遊べると思ったのでしょう」と言いました。

「朝と夕方では子ども達の数も、確かに違うわ」と1人の母親が言いました。
「そうね、確かに違うわね」と違う母親達が言いました。

 長老は母親達の意見を聞いてクロの母親のチィに言いました。

「チィさん、今回の件は最初の行動が原因じゃな。だが、それでも暴力や暴言はいけないのぅ。これからは暴力や暴言を辞めさせて皆んなで遊ぶ様に仕付けられるかね。もし出来ない様ならここから人の国への追放もあり得るが、どうかね」
「長老… ありがとうございます。これからはちゃんと仕付けます…。皆さん、ご迷惑をお掛けしました」

 こうしてクロ兄弟の問題はクロ達の母親のチィが責任を持ってしつける事で解決しました。
しおりを挟む
感想 13

あなたにおすすめの小説

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?

冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。 オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・ 「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」 「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

王妃そっちのけの王様は二人目の側室を娶る

家紋武範
恋愛
王妃は自分の人生を憂いていた。国王が王子の時代、彼が六歳、自分は五歳で婚約したものの、顔合わせする度に喧嘩。 しかし王妃はひそかに彼を愛していたのだ。 仲が最悪のまま二人は結婚し、結婚生活が始まるが当然国王は王妃の部屋に来ることはない。 そればかりか国王は側室を持ち、さらに二人目の側室を王宮に迎え入れたのだった。

この度、皆さんの予想通り婚約者候補から外れることになりました。ですが、すぐに結婚することになりました。

鶯埜 餡
恋愛
 ある事件のせいでいろいろ言われながらも国王夫妻の働きかけで王太子の婚約者候補となったシャルロッテ。  しかし当の王太子ルドウィックはアリアナという男爵令嬢にべったり。噂好きな貴族たちはシャルロッテに婚約者候補から外れるのではないかと言っていたが

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?

gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。 そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて 「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」 もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね? 3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。 4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。 1章が書籍になりました。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

転生令嬢は現状を語る。

みなせ
ファンタジー
目が覚めたら悪役令嬢でした。 よくある話だけど、 私の話を聞いてほしい。

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

処理中です...