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小話4 星に願いを(リーナ視点) 

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今日は七夕、私の誕生日。   
 今年のお誕生日のお祝いは王宮で開催する事に……。

 これまでは私の誕生日のついでにひっそりとお兄様と二人で小さな短冊に願い事を書いてたりしたんだけど……。
 アルファント殿下と七夕の話が出た時にそういえば七夕飾りを飾った事がなかった、一緒に誕生日とあわせて七夕祭りもしようという話になってしまった。
 といってもこの世界に笹の葉なんてあるのかしら、と思っていたのにブラックさんとグリーンさんにアルファント殿下が依頼を出して笹? を探し出してきたので、王宮の桜の木の側に笹の植木鉢を置いて2週間前から飾りを付けたり、短冊に願い事をかいて結びつけたりしていたら、いつの間にか短冊が増えていた。

 お兄様の願い事は美味しい物が食べたい。そして具体的な料理が短冊に箇条書きにされていたけど数が多いし、最後に小さく『リーナ様、お願い』と書いてあるのは星に願いを、ではなく私に願い事をしているみたい。
 アルファント殿下の願い事は『いつまでも仲良くしてほしい』裏側に『可愛いリーナへ』と書いてあって……これはもはやメッセージカードになっているのではないだろうか。

 他の人の短冊も圧倒的に食べ物のリクエストが多い。それも皆、裏側に可愛いリーナ様、とか麗しのリーナ様とか中には有名な詩の名前だけをリーナに変えている。一応私の誕生日だから私あてのメッセージがあっても良いかなとは思うけど。
 でも、それ単に料理のリクエストになってない? 願い事の相手が私になっているような気がする。

 アルファントの願い事は二人でお忍びデートがしたい、とか二人でお弁当(お握り弁当)持ってピクニックに行きたいとか、手作りの和菓子(羊羹、おはぎ、大福)が食べたいとかチーズケーキが食べたいとか、こっちも私への願い事になっているような気がする。それにしてもあれが食べたいとかこれが食べたいとか、……皆、願い事がおかしい。

「おっ、ここの七夕飾りは願い事がかなえられるのか」
「本当だ。凄いな。願いが叶う笹だ」
「よーし、俺は何を頼もうかな」
「俺はやっぱり、シンプルにお雑煮にしようかな」
「おい、夏だぞ」
「夏こそ温かい物を食べるのが良いんだ」
「そうか、じゃぁ……シチュー、いや豚汁にしようかな」

 皆さん、間違ってますよ! これはリクエスト短冊ではありません。
 でも、お兄様とアルファント殿下の短冊が沢山ある中で違う字も……。陛下の署名いり短冊もありました。陛下は短冊に「鶏ゴボウご飯をお願いします」と書いていた。この国の国王陛下は炊き込みご飯がお好きなのです。
 王宮の食事でもわりと和食が出てくるようになったみたいだけど、やはり私の作るものは違うと言われる。それは「液体の加護」のおかげではあるんだけど、内緒にしているので「微妙な味付けの塩梅かもしれませんねぇ」と誤魔化している。

「今回の七夕は星に願いをではなく、リーナに願いを、になっちゃったなぁ」
「そもそも、お兄様が最初に短冊に願い事を書いたんだし、それに食べたい物のリクエストを書いたのが悪いんでしょ! しかも私にお願い! とか書き足しているし」
「それは確かに。でもさ、実際に作るのはリーナだからやっぱりお願いしたほうがいいかな、って思ってさ」
「もう、しょうがないわね」
「そういえば、俺の母さんも時々短冊に願い事、書いて木の枝にぶら下げていた」
「えっ? お母様って転生者? じゃないわよね」
「違うよ。何か、卵の時に仲良くなった子に教えてもらったらしい」
「卵の時? そういえばお母様、どうしてお父様と一緒になったのかしら?」
「あっ、それは間違ったって言ってた」
「間違い?!」
「卵の時に好きになった相手だと勘違いしたんだって。それよりさ~、早く御馳走食べよう」
「そうね。誕生日だけど、私の手料理を食べる日になってるけどね」
「リーナの料理は最高!」

 そうして、七夕兼私の誕生日は皆で集まって楽しく過ごす事ができた。プレゼントも気合の入ったものを沢山もらったので、まぁ、こんな日があっても良いかな、と思う。

 アルファント殿下からは指輪とネックレス、金貨の詰まった可愛い巾着袋を貰った。巾着袋がメインで中身は好きな物を買って入れてほしいそうだ。変わったプレゼントだけど、物凄く考えて実用性を兼ねたキラキラという事で金貨にしたそうだ。
 お兄さまからは羨ましがられた。
 金貨をザラッとテーブルに開けると中に一つ、金の細工物が混ざっていた。金の表面にアイラブユーと日本語で彫ってある。
 アルファント、わかりにくいサプライズをありがとう。




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