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14. 小話 聖女になってしまった(リリアージュ視点)
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リーン、ゴーン、晴れ渡った青空に鐘の音が鳴り響く。
あれ、そういえば結婚式の時もこんな青空だった。凄く澄み渡った綺麗な青空。カンジーン様は私が聖女、と皆に知られるのを神様も喜んでいるからじゃないか、なんておっしゃるけど、そうだろうか。今日は私が聖女に成りました、って儀式が行われる日。
新婚、ふふっ、新婚旅行を兼ねての聖国への旅行と言われて喜んで聖国に来てしまったけれど、よく考えると、旅行の先には聖女が……。私なんかが聖女に成って良いのだろうか。と言うか、聖女って何をするんだろう。光を纏っているから聖女、みたいなんだけど。
思い起こせば、教皇猊下にお会いした時、
「初めまして。聖女様。聖国の教皇をしておりますフランコ・パウロと申します。聖女様にお会いする事ができて本当に幸せです」
「初めまして、私こそ教皇猊下にお目にかかれて光栄です。リリアージュ・ファウヌスと申します。あの、どうして、私が聖女なんでしょうか?」
「おお、お目にかかれて直ぐにわかりました。リリアージュ様は光に包まれています。そして、その光は貴女様の内から溢れてくるものです。聖女だからこそ、その光を纏う事ができるのです。私が何故教皇でいるかというと、私は聖女の光を認識する事ができるのです」
フランコ教皇は私に対して膝を折り眩しそうに見上げると、そのまま頭を下げた。どうしよう。こんな扱いをされると困ってしまう。困った私がカンジーン様に助けを求めると小さな声で
「頭をお上げください、座ってお話をさせて下さい、と言って」と教えて下さったのでそのまま伝えると教皇猊下はカンジーン様と私を見て穏やかに微笑んだ。
「聖女、リリアージュ様の配偶者でいらっしゃるカンジーン様も光を帯びていますね。その光はリリアージュ様と似ているような気がいたしますが、ご夫婦で聖なる光の持ち主とは有難い事です」
「私もですか」
カンジーン様は少し、戸惑ったような顔をされた。
「お二人が穏やかに幸せにおられる事がこの世界の安寧に繋がります。どうか、お健やかに過ごされます様に」
「有り難うございます」
教皇猊下はとても優しい人だった。それにカンジーン様とお揃いの光を帯びていると言われるのは嬉しかった。
歴代の聖女たちは、聖国に留まって聖女として聖国にくる人達に謁見したり視察をしていたそうだけど、聖女は本来、自由なので時々聖国に遊びに来てくれればそれだけで有難い、と言われた。
そういう風に言われると、時々は聖国に行かないと、って思ってしまう。と思うと同時に、光の粒が現れて部屋中に散らばり、一部は教皇猊下の中に吸い込まれていった。
「ああ、何と温かい。有り難うございます」
「ど、どういたしまして」
光の粒は自分の意志で出てくるわけではないけれど、喜んでもらえたので良し、としよう。
で、その後は観光や視察をして目に楽しく美味しいモノも食べて、カンジーン様もずっと側にいるし、満足して今日の日を迎えてしまった。何も心構えもないままに。
でも、純白の美しいレースを複雑に重ねた聖女の正装に身を包み、カンジーン様に手を引かれて、教皇猊下から祝福を受けると、教会中に光の粒が降り注いだ。自分では光の制御ができないので、どういう時に光があふれるのか良く分からない。
でも、カンジーン様が側で笑ってくれるから、私は幸せ。
あれ、そういえば結婚式の時もこんな青空だった。凄く澄み渡った綺麗な青空。カンジーン様は私が聖女、と皆に知られるのを神様も喜んでいるからじゃないか、なんておっしゃるけど、そうだろうか。今日は私が聖女に成りました、って儀式が行われる日。
新婚、ふふっ、新婚旅行を兼ねての聖国への旅行と言われて喜んで聖国に来てしまったけれど、よく考えると、旅行の先には聖女が……。私なんかが聖女に成って良いのだろうか。と言うか、聖女って何をするんだろう。光を纏っているから聖女、みたいなんだけど。
思い起こせば、教皇猊下にお会いした時、
「初めまして。聖女様。聖国の教皇をしておりますフランコ・パウロと申します。聖女様にお会いする事ができて本当に幸せです」
「初めまして、私こそ教皇猊下にお目にかかれて光栄です。リリアージュ・ファウヌスと申します。あの、どうして、私が聖女なんでしょうか?」
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フランコ教皇は私に対して膝を折り眩しそうに見上げると、そのまま頭を下げた。どうしよう。こんな扱いをされると困ってしまう。困った私がカンジーン様に助けを求めると小さな声で
「頭をお上げください、座ってお話をさせて下さい、と言って」と教えて下さったのでそのまま伝えると教皇猊下はカンジーン様と私を見て穏やかに微笑んだ。
「聖女、リリアージュ様の配偶者でいらっしゃるカンジーン様も光を帯びていますね。その光はリリアージュ様と似ているような気がいたしますが、ご夫婦で聖なる光の持ち主とは有難い事です」
「私もですか」
カンジーン様は少し、戸惑ったような顔をされた。
「お二人が穏やかに幸せにおられる事がこの世界の安寧に繋がります。どうか、お健やかに過ごされます様に」
「有り難うございます」
教皇猊下はとても優しい人だった。それにカンジーン様とお揃いの光を帯びていると言われるのは嬉しかった。
歴代の聖女たちは、聖国に留まって聖女として聖国にくる人達に謁見したり視察をしていたそうだけど、聖女は本来、自由なので時々聖国に遊びに来てくれればそれだけで有難い、と言われた。
そういう風に言われると、時々は聖国に行かないと、って思ってしまう。と思うと同時に、光の粒が現れて部屋中に散らばり、一部は教皇猊下の中に吸い込まれていった。
「ああ、何と温かい。有り難うございます」
「ど、どういたしまして」
光の粒は自分の意志で出てくるわけではないけれど、喜んでもらえたので良し、としよう。
で、その後は観光や視察をして目に楽しく美味しいモノも食べて、カンジーン様もずっと側にいるし、満足して今日の日を迎えてしまった。何も心構えもないままに。
でも、純白の美しいレースを複雑に重ねた聖女の正装に身を包み、カンジーン様に手を引かれて、教皇猊下から祝福を受けると、教会中に光の粒が降り注いだ。自分では光の制御ができないので、どういう時に光があふれるのか良く分からない。
でも、カンジーン様が側で笑ってくれるから、私は幸せ。
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