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派遣勇者の進む道
101.新しいメンバー?
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■ファミリーセブン 札幌駅前店
~第9次派遣帰還~
ダイスケが怪我をした翌日、そしてその翌日もスタートスで各自修練することにした。
ダイスケは4日目まで寝かせておいたが、帰還するときには顔色はかなり元に戻っていた。
ナカジーは魔法を、アキラさんは体術を、タケルは槍をそれぞれが修練したが、3人ともダイスケのことが頭に残っていて、集中できなかったと思う。
倉庫に戻ってくると、ダイスケの顔色は一気に良くなった。
こっちと向こうでは違う体なのだから当たり前だが、タケルも少し安心した。
それでも、今後のことも含めて西條と色々話し合う必要があった。
「タケル君、お疲れさま。今回は苦労したらしいね、中島さんがかなり落ち込んでいたからね」
「何か言ってましたか?」
「うん、ダイスケ君の怪我の話と自分が役に立たなかったってね」
-やはり、責任を感じているのか。
「そうでしたか、向こうでもそんな感じだったんで心配です」
「そうだよね、タケル君のチームはこれまで順調でメンバー交替も無かったけどね。女性は怪我とか血を見るとかそう言うのがあると、一気に冷めちゃうんだ」
「ある程度覚悟をしてくれていると思ってたですけどね」
「男は、いやタケル君はこの派遣に真剣に取り組んでいるから、色んな覚悟をしてくれていると思うけど、残念ながらほとんどの勇者候補はそうじゃないみたいだね。だから、異世界での現実が厳しくなったら、リーダーもメンバーも簡単に辞めてしまうんだ」
-そういえば勇者リーダーが続かないのが最初の課題だったな。
「せっかく一緒にやってきたんで、できれば今のメンバーで頑張りたいと思っているんですけど」
「もちろんそうだろうね、僕もそれが良いとは思うけど・・・、中々難しいかもしれないね。中島さんだけでなく、ダイスケ君もね」
「ダイスケは明日も来るとは言ってました」
「うん、それは良いんだけど。来週の平日はダイスケ君休みなんでしょ?」
「ええ、月曜から木曜までは試験があるって言ってました」
「それで、この際だから一人、いや二人のメンバーを追加できないかと思ってるんだけど、今は他のチームが動いてないから新しい人材は全部タケル君のチームに投入したいんだ。もし、この後時間があったら僕と一緒に面接してくれないかな」
- 人が増えるのはありがたいが、ナカジー達が気を悪くしないだろうか?
「一人は土日で中島さんが来られないときのために、それともう一人は経験者だから、いざと言うときに役に立つと思うんだ」
「経験者?」
■YUHA商会本部事務所 応接室
タケルは自分が最初に面接をしてもらった応接で西條の横に並んで座っていた。
目の前には若い女性が緊張した顔で座っている。
化粧のせいか目つきがきつく見えるが美人の部類だと思う。
事前に見せてもらった履歴書によると・・・
北川 まゆみ 女 24歳 無職(フリーター)
勤務 いつでも可(但し不定休)
既に契約書は交わしていて異世界派遣の件は理解しているが、西條はタケルの意見でどこのチーム入れるかを決めることにしたそうだ。
もっとも、今はリーダーが一人なのでタケルが断ればしばらく待機することになる。
「北川さん、こちらが派遣リーダーの山田さん。向こうに30日ぐらい行ってるから、ざっくばらんに、いろんなことを聞いてもらっていいよ。山田さん・・・、タケル君でいいか、タケル君も聞きたい事があれば遠慮なく北川さんに聞いて」
「北川です、よろしくお願いします」
「山田です、こちらこそよろしくお願いします。向こうの世界についてはどんなイメージで聞かれてますか?」
「昔のヨーロッパ? みたいな? そんな感じですかね?」
- なんか軽い感じだし、イントネーションが関西?
「確かにそんな感じです。若い女性に理解して欲しいのは、トイレは水洗じゃないし、風呂はできたけど露天だし、水道はおろか洗面所も鏡もない世界だってことかな」
「なるほど、ほんなら山奥で3・4日キャンプするぐらいの覚悟が要るんですね」
「そうかな、それよりはましだけど、その覚悟があれば大丈夫だと思う」
「なるほど、そしたら食事はどんな感じですか?」
「食事は、肉とパン、後は野菜スープが中心だね。調味料をこっちから持って行ってるから味はまあまあかな」
「ちゃんと3食は食べさせてもらえる?」
「ええ、お腹がすくことは無いと思うよ」
「それやったら、問題はありません」
- 食事だけで満足なのか?
「それと、派遣の目的は魔竜の討伐だから、剣なり魔法なりを真剣に練習してもらう必要があるし、地球には存在しないような魔獣と戦ってもらわないといけない。怪我をすれば血も出るし痛みはこの世界と同じように感じる。それを覚悟してもらわないといけないけど大丈夫?」
「はい、そう言う仕事やと聞いてますから、大丈夫です」
- あっさりと言うが、理解してるのかな?
「北川さんはどうしてこの仕事をしてみようと思ったの?」
「・・・それは、ちょっと個人的な理由なんですけど、どうしても言わなダメですかね?」
「いや、個人的なことなら良いけど、北川さんの覚悟というか動機を知りたかったんだ」
「覚悟・・・、うーん。派遣している間はこの世界に居てないんですよね?それが一番の理由かな。ここにおったら色々と面倒くさいことが多いんで」
-これ以上聞くのは失礼かもしれない。結局は一緒に行って見ないと本当のやる気は判らないだろう。
タケルは西條を見て小さくうなずいた。
「じゃあ、北川さんには明日からタケル君のチームに入ってもらうってことでお願いします。朝7時30分までに札幌駅前店に来てもらえるかな。シフトはタケル君たちと同じ8時から18時の10時間で土日に入ってください」
「ほんまですか!? 私、絶対頑張りますから、よろしくお願いします!」
タケルが驚くぐらい喜んで頭を下げた。
とりあえず、明日明後日の土日で続きそうかを見極めよう。
この人が一人目で、これから会うもう一人は元?勇者リーダーか。
一緒に行くかは別にしても、何故リーダーを辞めたのかをタケルは聞いておくべきだと思っていた。
~第9次派遣帰還~
ダイスケが怪我をした翌日、そしてその翌日もスタートスで各自修練することにした。
ダイスケは4日目まで寝かせておいたが、帰還するときには顔色はかなり元に戻っていた。
ナカジーは魔法を、アキラさんは体術を、タケルは槍をそれぞれが修練したが、3人ともダイスケのことが頭に残っていて、集中できなかったと思う。
倉庫に戻ってくると、ダイスケの顔色は一気に良くなった。
こっちと向こうでは違う体なのだから当たり前だが、タケルも少し安心した。
それでも、今後のことも含めて西條と色々話し合う必要があった。
「タケル君、お疲れさま。今回は苦労したらしいね、中島さんがかなり落ち込んでいたからね」
「何か言ってましたか?」
「うん、ダイスケ君の怪我の話と自分が役に立たなかったってね」
-やはり、責任を感じているのか。
「そうでしたか、向こうでもそんな感じだったんで心配です」
「そうだよね、タケル君のチームはこれまで順調でメンバー交替も無かったけどね。女性は怪我とか血を見るとかそう言うのがあると、一気に冷めちゃうんだ」
「ある程度覚悟をしてくれていると思ってたですけどね」
「男は、いやタケル君はこの派遣に真剣に取り組んでいるから、色んな覚悟をしてくれていると思うけど、残念ながらほとんどの勇者候補はそうじゃないみたいだね。だから、異世界での現実が厳しくなったら、リーダーもメンバーも簡単に辞めてしまうんだ」
-そういえば勇者リーダーが続かないのが最初の課題だったな。
「せっかく一緒にやってきたんで、できれば今のメンバーで頑張りたいと思っているんですけど」
「もちろんそうだろうね、僕もそれが良いとは思うけど・・・、中々難しいかもしれないね。中島さんだけでなく、ダイスケ君もね」
「ダイスケは明日も来るとは言ってました」
「うん、それは良いんだけど。来週の平日はダイスケ君休みなんでしょ?」
「ええ、月曜から木曜までは試験があるって言ってました」
「それで、この際だから一人、いや二人のメンバーを追加できないかと思ってるんだけど、今は他のチームが動いてないから新しい人材は全部タケル君のチームに投入したいんだ。もし、この後時間があったら僕と一緒に面接してくれないかな」
- 人が増えるのはありがたいが、ナカジー達が気を悪くしないだろうか?
「一人は土日で中島さんが来られないときのために、それともう一人は経験者だから、いざと言うときに役に立つと思うんだ」
「経験者?」
■YUHA商会本部事務所 応接室
タケルは自分が最初に面接をしてもらった応接で西條の横に並んで座っていた。
目の前には若い女性が緊張した顔で座っている。
化粧のせいか目つきがきつく見えるが美人の部類だと思う。
事前に見せてもらった履歴書によると・・・
北川 まゆみ 女 24歳 無職(フリーター)
勤務 いつでも可(但し不定休)
既に契約書は交わしていて異世界派遣の件は理解しているが、西條はタケルの意見でどこのチーム入れるかを決めることにしたそうだ。
もっとも、今はリーダーが一人なのでタケルが断ればしばらく待機することになる。
「北川さん、こちらが派遣リーダーの山田さん。向こうに30日ぐらい行ってるから、ざっくばらんに、いろんなことを聞いてもらっていいよ。山田さん・・・、タケル君でいいか、タケル君も聞きたい事があれば遠慮なく北川さんに聞いて」
「北川です、よろしくお願いします」
「山田です、こちらこそよろしくお願いします。向こうの世界についてはどんなイメージで聞かれてますか?」
「昔のヨーロッパ? みたいな? そんな感じですかね?」
- なんか軽い感じだし、イントネーションが関西?
「確かにそんな感じです。若い女性に理解して欲しいのは、トイレは水洗じゃないし、風呂はできたけど露天だし、水道はおろか洗面所も鏡もない世界だってことかな」
「なるほど、ほんなら山奥で3・4日キャンプするぐらいの覚悟が要るんですね」
「そうかな、それよりはましだけど、その覚悟があれば大丈夫だと思う」
「なるほど、そしたら食事はどんな感じですか?」
「食事は、肉とパン、後は野菜スープが中心だね。調味料をこっちから持って行ってるから味はまあまあかな」
「ちゃんと3食は食べさせてもらえる?」
「ええ、お腹がすくことは無いと思うよ」
「それやったら、問題はありません」
- 食事だけで満足なのか?
「それと、派遣の目的は魔竜の討伐だから、剣なり魔法なりを真剣に練習してもらう必要があるし、地球には存在しないような魔獣と戦ってもらわないといけない。怪我をすれば血も出るし痛みはこの世界と同じように感じる。それを覚悟してもらわないといけないけど大丈夫?」
「はい、そう言う仕事やと聞いてますから、大丈夫です」
- あっさりと言うが、理解してるのかな?
「北川さんはどうしてこの仕事をしてみようと思ったの?」
「・・・それは、ちょっと個人的な理由なんですけど、どうしても言わなダメですかね?」
「いや、個人的なことなら良いけど、北川さんの覚悟というか動機を知りたかったんだ」
「覚悟・・・、うーん。派遣している間はこの世界に居てないんですよね?それが一番の理由かな。ここにおったら色々と面倒くさいことが多いんで」
-これ以上聞くのは失礼かもしれない。結局は一緒に行って見ないと本当のやる気は判らないだろう。
タケルは西條を見て小さくうなずいた。
「じゃあ、北川さんには明日からタケル君のチームに入ってもらうってことでお願いします。朝7時30分までに札幌駅前店に来てもらえるかな。シフトはタケル君たちと同じ8時から18時の10時間で土日に入ってください」
「ほんまですか!? 私、絶対頑張りますから、よろしくお願いします!」
タケルが驚くぐらい喜んで頭を下げた。
とりあえず、明日明後日の土日で続きそうかを見極めよう。
この人が一人目で、これから会うもう一人は元?勇者リーダーか。
一緒に行くかは別にしても、何故リーダーを辞めたのかをタケルは聞いておくべきだと思っていた。
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