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勇者候補たちの想い
99.北の洞窟 後編
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■シベル大森林北の洞窟
~第9次派遣2日目~
タケル達は再び暗く重たい洞窟を奥に進み出した。
先頭が二人になったことで、縦に4人並んだ時よりは明るいが天井までは届かない。
タケルは進む方向の天井へ10メートル間隔ぐらいで炎を放つことにした。
槍の穂先を天井に向け、頭の中で火の神に祈りを捧げる。
音もなく天井に炎が灯り30秒ぐらいで消える。
歩く先で点灯し通過すれば消える、人感センサーつきの通路のようになった。
おかげで、次の天井ムカデにはダイスケが先に気がついた。
「あそこですね」
立ち止まって、少し先の天井を刀で差した。
「ナカジー、ここからならいけるでしょ?」
「うん、大丈夫。さっきのカタキをとらないと」
カタキ?何のカタキだ?
だが、真剣な表情を浮かべたナカジーはロッドを天井に向けて叫んだ。
「ファイアウィンド!」
ロッドから炎と風が交じり合った火炎風が天井を襲った。
焼かれたムカデ、風で吹き飛ばされたムカデ、両方が天井から床に落ちてくる。
タケルは落ちてきたヤツを槍の火炎風で焼き払った。
1分も掛からず、上下の両面焼きでやっつけることが出来た。
敵より先に見つけることの重要性をみんなが理解した。
その後も2箇所でムカデ天井を焼き払って怪我もせずに奥へ進んで行けた。
洞窟の大きさはかわらないままだが、時折右、そして左に曲がっている。
通路がジグザグになっているような感じだ。
先頭の二人には曲がり角で一度止まるように言っているが、左に曲がっている角で止まったまま進まなくなった。
「どうしたの?」
追いついたタケルが角を除くと通路は大きなホールのような場所に繋がっていた。
かなり広い空間のようだが、向こうのほうが暗くてよく見えない。
先がわからないので、ダイスケ達は一旦停止したようだ。
タケルは20メートルほど先の上と下に炎を二つ出した。
炎に照らし出された丸い空間はバスケットコートより広く、今までよりも天井が高くなっているが、天井に変な魔獣は見えなかった。
入ってきた通路以外に向こう側に2箇所通路が開いている。
奥へ進む前にまずはこの場所自体を調べてみたいと思った、何か隠れているかもしれない。
「手分けして、壁に何か隠されてないか調べてよ。俺とナカジーは右回り、ダイスケ達は左回りでヨロシク」
二チームはランプと炎の明かりで壁際をてらして、上から下までチェックしながら進んでいく。
半分ぐらい進んだところで、物音に気がついた。
「気をつけろ!」
タケル大声をだしてから、音のする通路へ槍先を向けた。
暗い二つの通路から綺麗な大鹿が2匹現れた。
全身が氷で覆われて頭には立派で鋭い氷の角がついている。
鹿に見とれている暇は無かった。
2頭の鹿は二手に分かれてタケル達とダイスケ達へまっしぐらに突っ込んでくる。
タケルは躊躇せずに左足を踏み込んで槍を突き出しながら火炎風を放った!
「ファイアウィンド!!」
強烈な風と強い炎が交じり合った火炎風が鹿を包んで後ろへ弾き飛ばした。
だが、横倒しになった鹿はもう一度立ち上がろうとしている。
タケルは炎を伸ばして倒れた鹿全体を炎で包んだ。
鹿は立ち上がったが、全身を炎に包まれて絶叫しながら死のダンスを踊り、もう一度横倒しになって動かなくなった。
「グゥー!」
「ダイスケ!」
変な悲鳴とアキラさんの声が重なるほうを見ると、ダイスケの腰辺りに鹿の角が突っ込んでいる!
慌ててサポートに行くタケルの前で、アキラさんが右ストレートを鹿の横腹に打ち込んだ!
氷が割れる甲高い音と、肉と骨が千切れる音がして鹿の胴体から風の拳が突き抜けた。
「ウゥゥー」
鹿が血と肉片を垂らしながら倒れて行くと角はダイスケから抜けたが、腰の横からかなり血が出ている。
「キャー!!」
ナカジーが血を見て悲鳴を上げている。
治療はタケルがやった方がよさそうだ。
膝を突いてうずくまるダイスケをアキラさんと地面に横たえて、光の神に祈りを捧げる。
ダイスケは顔色が真っ青だ、腰からの出血が多いようだ。
(アシーネ様、大事な友人です。お力をお貸しください)
「癒しの光を!」
タケルの胸が少し熱くなったと同時に温かい風がダイスケに流れるのを感じる。
見ていると真っ青だったダイスケの顔に血の気が戻って来た。
「だ、大丈夫です、痛みはもうなくなりました」
ダイスケは顔をしかめながらも、ゆがんだ笑みを口元に浮かべた。
治療魔法は血液までは再生できないのかもしれない、マシになったとはいえいつもよりも青白い顔をしている。
「一応、傷口もみせてよ」
ダイスケの腰紐を解いて、シャツとズボンをずらしてみる。
角が刺さったのは、腰と言うよりはわき腹の下辺りだった。
出血は止まって、傷口は既にふさがっているがカサブタのような血の塊で覆われている。
「気分が悪かったりはしない?」
「大丈夫ですけど、少し寒気がしますかね」
やはり出血の影響だろう。
いずれにせよ、これ以上奥まで行くことはできない。
すぐに転移してスタートスに戻るべきだ。
タケルはダイスケを寝かせたまま、周りに聖教石(転移用)を5本埋めた。
アキラさんとナカジーを集めて、転移魔法を使う。
「ジャンプ」
タケル達は文字通り大きな痛手をおってスタートスまで戻って来た。
~第9次派遣2日目~
タケル達は再び暗く重たい洞窟を奥に進み出した。
先頭が二人になったことで、縦に4人並んだ時よりは明るいが天井までは届かない。
タケルは進む方向の天井へ10メートル間隔ぐらいで炎を放つことにした。
槍の穂先を天井に向け、頭の中で火の神に祈りを捧げる。
音もなく天井に炎が灯り30秒ぐらいで消える。
歩く先で点灯し通過すれば消える、人感センサーつきの通路のようになった。
おかげで、次の天井ムカデにはダイスケが先に気がついた。
「あそこですね」
立ち止まって、少し先の天井を刀で差した。
「ナカジー、ここからならいけるでしょ?」
「うん、大丈夫。さっきのカタキをとらないと」
カタキ?何のカタキだ?
だが、真剣な表情を浮かべたナカジーはロッドを天井に向けて叫んだ。
「ファイアウィンド!」
ロッドから炎と風が交じり合った火炎風が天井を襲った。
焼かれたムカデ、風で吹き飛ばされたムカデ、両方が天井から床に落ちてくる。
タケルは落ちてきたヤツを槍の火炎風で焼き払った。
1分も掛からず、上下の両面焼きでやっつけることが出来た。
敵より先に見つけることの重要性をみんなが理解した。
その後も2箇所でムカデ天井を焼き払って怪我もせずに奥へ進んで行けた。
洞窟の大きさはかわらないままだが、時折右、そして左に曲がっている。
通路がジグザグになっているような感じだ。
先頭の二人には曲がり角で一度止まるように言っているが、左に曲がっている角で止まったまま進まなくなった。
「どうしたの?」
追いついたタケルが角を除くと通路は大きなホールのような場所に繋がっていた。
かなり広い空間のようだが、向こうのほうが暗くてよく見えない。
先がわからないので、ダイスケ達は一旦停止したようだ。
タケルは20メートルほど先の上と下に炎を二つ出した。
炎に照らし出された丸い空間はバスケットコートより広く、今までよりも天井が高くなっているが、天井に変な魔獣は見えなかった。
入ってきた通路以外に向こう側に2箇所通路が開いている。
奥へ進む前にまずはこの場所自体を調べてみたいと思った、何か隠れているかもしれない。
「手分けして、壁に何か隠されてないか調べてよ。俺とナカジーは右回り、ダイスケ達は左回りでヨロシク」
二チームはランプと炎の明かりで壁際をてらして、上から下までチェックしながら進んでいく。
半分ぐらい進んだところで、物音に気がついた。
「気をつけろ!」
タケル大声をだしてから、音のする通路へ槍先を向けた。
暗い二つの通路から綺麗な大鹿が2匹現れた。
全身が氷で覆われて頭には立派で鋭い氷の角がついている。
鹿に見とれている暇は無かった。
2頭の鹿は二手に分かれてタケル達とダイスケ達へまっしぐらに突っ込んでくる。
タケルは躊躇せずに左足を踏み込んで槍を突き出しながら火炎風を放った!
「ファイアウィンド!!」
強烈な風と強い炎が交じり合った火炎風が鹿を包んで後ろへ弾き飛ばした。
だが、横倒しになった鹿はもう一度立ち上がろうとしている。
タケルは炎を伸ばして倒れた鹿全体を炎で包んだ。
鹿は立ち上がったが、全身を炎に包まれて絶叫しながら死のダンスを踊り、もう一度横倒しになって動かなくなった。
「グゥー!」
「ダイスケ!」
変な悲鳴とアキラさんの声が重なるほうを見ると、ダイスケの腰辺りに鹿の角が突っ込んでいる!
慌ててサポートに行くタケルの前で、アキラさんが右ストレートを鹿の横腹に打ち込んだ!
氷が割れる甲高い音と、肉と骨が千切れる音がして鹿の胴体から風の拳が突き抜けた。
「ウゥゥー」
鹿が血と肉片を垂らしながら倒れて行くと角はダイスケから抜けたが、腰の横からかなり血が出ている。
「キャー!!」
ナカジーが血を見て悲鳴を上げている。
治療はタケルがやった方がよさそうだ。
膝を突いてうずくまるダイスケをアキラさんと地面に横たえて、光の神に祈りを捧げる。
ダイスケは顔色が真っ青だ、腰からの出血が多いようだ。
(アシーネ様、大事な友人です。お力をお貸しください)
「癒しの光を!」
タケルの胸が少し熱くなったと同時に温かい風がダイスケに流れるのを感じる。
見ていると真っ青だったダイスケの顔に血の気が戻って来た。
「だ、大丈夫です、痛みはもうなくなりました」
ダイスケは顔をしかめながらも、ゆがんだ笑みを口元に浮かべた。
治療魔法は血液までは再生できないのかもしれない、マシになったとはいえいつもよりも青白い顔をしている。
「一応、傷口もみせてよ」
ダイスケの腰紐を解いて、シャツとズボンをずらしてみる。
角が刺さったのは、腰と言うよりはわき腹の下辺りだった。
出血は止まって、傷口は既にふさがっているがカサブタのような血の塊で覆われている。
「気分が悪かったりはしない?」
「大丈夫ですけど、少し寒気がしますかね」
やはり出血の影響だろう。
いずれにせよ、これ以上奥まで行くことはできない。
すぐに転移してスタートスに戻るべきだ。
タケルはダイスケを寝かせたまま、周りに聖教石(転移用)を5本埋めた。
アキラさんとナカジーを集めて、転移魔法を使う。
「ジャンプ」
タケル達は文字通り大きな痛手をおってスタートスまで戻って来た。
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