上 下
86 / 96

Ⅱ-28 内外情勢報告

しおりを挟む
■リーブル宮殿 皇帝執務室

「ハンスよ。そなたは自分の国を離れて他国で暮らしたくなる民の気持ちがわかるか?」

「私もリーブルだけで暮らしておりますので、想像するだけですが、食べるものが無ければそうなるのでしょう」

「ふむ、サウザンドの王はどう思うのであろうな?」

「王でございますか・・・、喜んではおりませんでしょうが、国内の食い扶持が減るのも事実でございますから、難しいところでございますね」

-俺なら・・・、やはり判らんな。何が良いことなのか

「陛下、ラインハルトが参りました」

「陛下、本日もご機嫌麗しく存じます」

「うむ、そなたもな」

「さっそくでございますが、帝国軍に新しい動きはございません。ですが、軍を再編成するという噂がございます」

「どのように再編するのじゃ?」

「はい、時期皇帝候補とされている次男と三男で軍を二つに分けるようでございます」

「何が狙いなのであろう?」

「後継者を見極めるため競わせるのであろうと」

-ふむ、そう言うものなのか。

「従いまして、再編が終れば二つの軍が競ってアメリアへ侵攻してくる可能性がございます」

「やはり、来年は戦争があると言うことだな?」

「はい、恐らくは」

「うむ、ならば軍務卿とも相談しておくことにしよう」

「それから、国内の領主達ですが目立った動きはございません。ですが、妙な話を耳にいたしました」

「妙な話?」

「はい、イシュバール公爵の嫡男が婚約されたのですが、そのお相手が前外務卿であったトットナム伯爵の未亡人であると言うことです」

-ブッフバルトの娘、アリスの姉か!

「年齢的におかしくはございませんが、イシュバール家の嫡男の正室に相応しいとは思えませんゆえ、噂になっております。公爵が良くお認めになったものだと・・・」

-確かに格式としては釣り合いが取れんのかもな。

「うむ、そうじゃな。近々ブッフバルトと会うゆえに、いきさつ等を聞いておこう」

-確かイシュバールの長男はコリンだったな、影が薄い印象であったが・・・

「陛下、最後になりますがクローナのエイドリアン王子とは最近お会いになられましたか?」

「いや、即位式の後以降はお会いしておらんな」

「なにやら個人的にご相談したいことがあるようで。陛下との面談を希望されております」

「公使としてでなく会いたいと言うことじゃな。ふむ、構わぬ会おうぞ。こちらから日取りを伝えるようにしよう」

「お心遣いに感謝申し上げます。かの王子も陛下とは違う形でアシーネ様に愛されておりますので、お付き合いされても間違いないと存じます」

「どう言う意味なのじゃ?」

「本人から聞いた訳では無いのですが、私は王子がドリーミアに行った事があると思っております」

「どうやって行ったのじゃ!? 一人で無いとドリーミアには入れんのでは無かったか?」

「はい、招かれたものしか入れない国でございます。どうされたかは判りかねますが、私どもはドリーミア出身者や来訪者が不思議とわかるのでございます」

会った時にドリーミアへの行き方を教えてくれるだろうか?
確かに玉無しだから、俺にとっても不思議な人であるのは間違いない。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】神スキル拡大解釈で底辺パーティから成り上がります!

まにゅまにゅ
ファンタジー
平均レベルの低い底辺パーティ『龍炎光牙《りゅうえんこうが》』はオーク一匹倒すのにも命懸けで注目もされていないどこにでもでもいる冒険者たちのチームだった。 そんなある日ようやく資金も貯まり、神殿でお金を払って恩恵《ギフト》を授かるとその恩恵《ギフト》スキルは『拡大解釈』というもの。 その効果は魔法やスキルの内容を拡大解釈し、別の効果を引き起こせる、という神スキルだった。その拡大解釈により色んなものを回復《ヒール》で治したり強化《ブースト》で獲得経験値を増やしたりととんでもない効果を発揮する! 底辺パーティ『龍炎光牙』の大躍進が始まる! 第16回ファンタジー大賞奨励賞受賞作です。

残滓と呼ばれたウィザード、絶望の底で大覚醒! 僕を虐げてくれたみんなのおかげだよ(ニヤリ)

SHO
ファンタジー
15歳になり、女神からの神託の儀で魔法使い(ウィザード)のジョブを授かった少年ショーンは、幼馴染で剣闘士(ソードファイター)のジョブを授かったデライラと共に、冒険者になるべく街に出た。 しかし、着々と実績を上げていくデライラとは正反対に、ショーンはまともに魔法を発動する事すら出来ない。 相棒のデライラからは愛想を尽かされ、他の冒険者たちからも孤立していくショーンのたった一つの心の拠り所は、森で助けた黒ウサギのノワールだった。 そんなある日、ショーンに悲劇が襲い掛かる。しかしその悲劇が、彼の人生を一変させた。 無双あり、ザマァあり、復讐あり、もふもふありの大冒険、いざ開幕!

うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生

野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。 普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。 そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。 そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。 そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。 うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。 いずれは王となるのも夢ではないかも!? ◇世界観的に命の価値は軽いです◇ カクヨムでも同タイトルで掲載しています。

少年神官系勇者―異世界から帰還する―

mono-zo
ファンタジー
幼くして異世界に消えた主人公、帰ってきたがそこは日本、家なし・金なし・免許なし・職歴なし・常識なし・そもそも未成年、無い無い尽くしでどう生きる? 別サイトにて無名から投稿開始して100日以内に100万PV達成感謝✨ この作品は「カクヨム」にも掲載しています。(先行) この作品は「小説家になろう」にも掲載しています。 この作品は「ノベルアップ+」にも掲載しています。 この作品は「エブリスタ」にも掲載しています。 この作品は「pixiv」にも掲載しています。

異世界転移物語

月夜
ファンタジー
このところ、日本各地で謎の地震が頻発していた。そんなある日、都内の大学に通う僕(田所健太)は、地震が起こったときのために、部屋で非常持出袋を整理していた。すると、突然、めまいに襲われ、次に気づいたときは、深い森の中に迷い込んでいたのだ……

虐げられた皇女は父の愛人とその娘に復讐する

ましゅぺちーの
恋愛
大陸一の大国ライドーン帝国の皇帝が崩御した。 その皇帝の子供である第一皇女シャーロットはこの時をずっと待っていた。 シャーロットの母親は今は亡き皇后陛下で皇帝とは政略結婚だった。 皇帝は皇后を蔑ろにし身分の低い女を愛妾として囲った。 やがてその愛妾には子供が生まれた。それが第二皇女プリシラである。 愛妾は皇帝の寵愛を笠に着てやりたい放題でプリシラも両親に甘やかされて我儘に育った。 今までは皇帝の寵愛があったからこそ好きにさせていたが、これからはそうもいかない。 シャーロットは愛妾とプリシラに対する復讐を実行に移す― 一部タイトルを変更しました。

いらないスキル買い取ります!スキル「買取」で異世界最強!

町島航太
ファンタジー
 ひょんな事から異世界に召喚された木村哲郎は、救世主として期待されたが、手に入れたスキルはまさかの「買取」。  ハズレと看做され、城を追い出された哲郎だったが、スキル「買取」は他人のスキルを買い取れるという優れ物であった。

究極妹属性のぼっち少女が神さまから授かった胸キュンアニマルズが最強だった

盛平
ファンタジー
 パティは教会に捨てられた少女。パティは村では珍しい黒い髪と黒い瞳だったため、村人からは忌子といわれ、孤独な生活をおくっていた。この世界では十歳になると、神さまから一つだけ魔法を授かる事ができる。パティは神さまに願った。ずっと側にいてくれる友達をくださいと。  神さまが与えてくれた友達は、犬、猫、インコ、カメだった。友達は魔法でパティのお願いを何でも叶えてくれた。  パティは友達と一緒に冒険の旅に出た。パティの生活環境は激変した。パティは究極の妹属性だったのだ。冒険者協会の美人受付嬢と美女の女剣士が、どっちがパティの姉にふさわしいかケンカするし、永遠の美少女にも気に入られてしまう。  ぼっち少女の愛されまくりな旅が始まる。    

処理中です...