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Ⅱ-23 王女たちの想い
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■ウラーナ国のアン(12歳)
今日からやっと宮殿に入れる。
宮殿入りの支度なんて最初から整っていたから、直ぐで良かったのに。
初めてお会いした日から随分と待たされたわ。
父上からも母上からも神に愛されるお方に全てを捧げるようにと言われたけど・・・
そんなことは言われなくても判っていたの。
あの方はアシーネ様から多くを与えられし真の王。
そして、私の可愛い陛下!
くるくるの金髪に青い大きな目!
白いふっくらとした頬・・・全てがたまらなく愛らしい!
あんなに可愛い子は見たことが無かったわ、ウラールには一人も居ないはず。
いますぐ、この腕に抱きしめたい!
ああ、やっとお会いできる・・・
これから毎日あの子と・・・
■サウザンド国のイアナ(6歳)とリリィ(4歳)
「リリィ、そろそろお城へ出かけるわよ」
「イアナお姉ちゃん、リリィはやっぱり行くのが怖いの・・・、母さまや他のみんなとも会いたいの。なんでリリィ達だけここに置いていかれたの?」
「お父様が何度もお話されたでしょ。あなたと私は選ばれたのよ。言う事聞かないと、お父様とお母様にすごく叱られるわよ」
「うん、でも・・・」
「それに、お城に行けばお腹いっぱい、美味しいものが食べられるわよ。リリィもこの前お城でもらった『焼き菓子』って言うの美味しかったでしょ?」
「うん、美味しかった。あんなの初めて食べた」
「お城に行けば、あの焼き菓子がいくらでも食べられるのよ」
「本当かなぁ? そんなに沢山の食べ物があるなんて・・・」
「きっと大丈夫よ、立派なお城だったし、あんな大きな虎が飼えるんだから、食べるものぐらい、いくらでもあるんだから」
「うん、わかった。あの白い大きな子は私達と遊んでくれるの?」
「リリィが良い子にしていれば、きっと遊んでくれるわ。さあ、行きましょう」
「うん、リリィは良い子にする」
■モンハル国のミユ(6歳)
ここの空はモンハルと違って狭い。
家の床も石で硬いし外に出ても馬も羊も居ない。
いつも遊んでくれる姉妹たちも帰ったし、兄さまは何か忙しそうで構ってくれない。
なんだか面白くない、母様達に会えないのがやっぱり寂しいな。
今日からお城・・・
あんな大きな建物を見たのも入ったのも初めてだったけど、一番驚いたのはあの子。
私より年下って父様は言ってたけど、大人の変な話し方をしてた。
でも、私を見た目が凄く寂しそうだった。
それに・・・
どこからか優しい変な声が聞こえたのよね。
-へいかのおそばにいてあげてください-
私も思わず放って置けなくてあんなこと言っちゃったけど。
あとで父様に叱られたわ。
あの声は何だったんだろう?
それに、あの子はどうしているのかしら?
■リーブル宮殿 中庭
今日もマリーの花壇は綺麗に手入れされている。
緩やかな風に色とりどりの花びらが揺れていた。
城に居る日は一日に一度はここに来ている。
さすがに涙の量は前より減っているはずだ。
「マリーよ、今日から余の婚約者が宮殿に来るのじゃ。みな年が近いので、楽しみにしておる」
「じゃが、相変らず余の周りにおると危ないようじゃ。だから、あまり仲良くはせんようにするつもりじゃ」
「出来るだけ守ってやりたいと思ってはおるが・・・、そなたさえ守れんかった・・・親しくすると失った時に寂しいからのう・・・」
うむ、こんなに泣くのはもう嫌だからな。
友達を作るのはあきらめることにしたのだ。
今日からやっと宮殿に入れる。
宮殿入りの支度なんて最初から整っていたから、直ぐで良かったのに。
初めてお会いした日から随分と待たされたわ。
父上からも母上からも神に愛されるお方に全てを捧げるようにと言われたけど・・・
そんなことは言われなくても判っていたの。
あの方はアシーネ様から多くを与えられし真の王。
そして、私の可愛い陛下!
くるくるの金髪に青い大きな目!
白いふっくらとした頬・・・全てがたまらなく愛らしい!
あんなに可愛い子は見たことが無かったわ、ウラールには一人も居ないはず。
いますぐ、この腕に抱きしめたい!
ああ、やっとお会いできる・・・
これから毎日あの子と・・・
■サウザンド国のイアナ(6歳)とリリィ(4歳)
「リリィ、そろそろお城へ出かけるわよ」
「イアナお姉ちゃん、リリィはやっぱり行くのが怖いの・・・、母さまや他のみんなとも会いたいの。なんでリリィ達だけここに置いていかれたの?」
「お父様が何度もお話されたでしょ。あなたと私は選ばれたのよ。言う事聞かないと、お父様とお母様にすごく叱られるわよ」
「うん、でも・・・」
「それに、お城に行けばお腹いっぱい、美味しいものが食べられるわよ。リリィもこの前お城でもらった『焼き菓子』って言うの美味しかったでしょ?」
「うん、美味しかった。あんなの初めて食べた」
「お城に行けば、あの焼き菓子がいくらでも食べられるのよ」
「本当かなぁ? そんなに沢山の食べ物があるなんて・・・」
「きっと大丈夫よ、立派なお城だったし、あんな大きな虎が飼えるんだから、食べるものぐらい、いくらでもあるんだから」
「うん、わかった。あの白い大きな子は私達と遊んでくれるの?」
「リリィが良い子にしていれば、きっと遊んでくれるわ。さあ、行きましょう」
「うん、リリィは良い子にする」
■モンハル国のミユ(6歳)
ここの空はモンハルと違って狭い。
家の床も石で硬いし外に出ても馬も羊も居ない。
いつも遊んでくれる姉妹たちも帰ったし、兄さまは何か忙しそうで構ってくれない。
なんだか面白くない、母様達に会えないのがやっぱり寂しいな。
今日からお城・・・
あんな大きな建物を見たのも入ったのも初めてだったけど、一番驚いたのはあの子。
私より年下って父様は言ってたけど、大人の変な話し方をしてた。
でも、私を見た目が凄く寂しそうだった。
それに・・・
どこからか優しい変な声が聞こえたのよね。
-へいかのおそばにいてあげてください-
私も思わず放って置けなくてあんなこと言っちゃったけど。
あとで父様に叱られたわ。
あの声は何だったんだろう?
それに、あの子はどうしているのかしら?
■リーブル宮殿 中庭
今日もマリーの花壇は綺麗に手入れされている。
緩やかな風に色とりどりの花びらが揺れていた。
城に居る日は一日に一度はここに来ている。
さすがに涙の量は前より減っているはずだ。
「マリーよ、今日から余の婚約者が宮殿に来るのじゃ。みな年が近いので、楽しみにしておる」
「じゃが、相変らず余の周りにおると危ないようじゃ。だから、あまり仲良くはせんようにするつもりじゃ」
「出来るだけ守ってやりたいと思ってはおるが・・・、そなたさえ守れんかった・・・親しくすると失った時に寂しいからのう・・・」
うむ、こんなに泣くのはもう嫌だからな。
友達を作るのはあきらめることにしたのだ。
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